私が思うフェンダージャズベースピックアップ3種の特徴
ベーシストの楽器の出したい音を出すお手伝いをしているhirokiと申します。
主にエレクトリックベースを弾いていて楽器の調整や楽器、pu製作、ジャズベースタイプのpu集めが好きなことから、puはじめとしたパーツ選びの相談を受けることが多いです。
少し前に楽器の調整、サウンドコンサルティングの依頼をいただきフェンダージャズベースのピックアップを色々試す機会があったこと、また少し前に1965年製のビンテージのピックアップを手に入れたことなど一定期間に沢山のフェンダージャズベースのピックアップを試す機会がありました。
その時の記憶が薄れないうちに、私自身が感じた各ピックアップの特徴を私の言葉でまとめておこうかなと思います。
あくまで個人の感想でエレクトリックベースの音はピックアップだけでできているわけでもなく、色んな要素(木材、パーツ、弦、ポットなどの部品、弦高、ピックアップ高さなどの調整、究極は弾き手の弾き方)のフィルターが重なり合って音となっていると思うので、色んな意見はあると思いますが、コイツはこんなこと思っているんだ、、、とか感じていただければと思います。
今回は3種類紹介しようと思います。
1 Pure Vintage '62 Jazz Bass Pickups
① 商品ウェブサイト
サウンドハウスhttps://www.soundhouse.co.jp/products/detail/item/36251/
フェンダー公式ウェブサイト
② 特徴
アタックが柔らかくアンサンブルを包み込むような低音、
だと思います。
エレクトリックベースのピックアップはアルニコ5マグネットをつかっているものが多いですが、これはアルニコ2を使っています。アルニコ5はアルニコ2 に比べて高音域が目立つ音がします。
私がここで述べる高音域を具体的にあげると、
・押弦したとき弦とフレットが当たる音
・2フィンガーピッキングをしたときの弦とフレットが当たる音
・ピック弾きで弦に斜めに当てた時の擦れる音
・スラップのサム、プルしたときのアタック音
この辺りの粗が目立ちにくい音になります。
目立ちにくいので荒をあえて出した弾き方をしてもアンサンブルで必要以上のベースのピッキングニュアンスや音程感、タイトさがでにくくアンサンブルでのベースの帯域をふわっと馴染ませるような音になると思います。
このあと紹介するcustom shopの音と対局にある音だと思います。
③ オススメする方
ベースが必要以上に目立つ必要のない歌ものとかに合いそうな気がしています。
今のベースが必要以上にバキバキの音がでてしまうとか、
バキバキの音が出やすいベースを少し和らげるためにトーンを少し絞ったりプリアンプやアンプでハイを少しさげめにしたけどしっくりこない、
とかいう方にオススメしたいです。
④ オススメしない方
沢山の楽器がいるバンドでベースの音が抜けてこなくて何弾いているかわかりにくく悩んでいる方、
ギターが歪んでて低音も結構出すバンド、ハードロックでツインギターのバンドの方、
スムースジャズでのキラキラした上品なスラップサウンド、Jフュージョンでのバギバキのスラップをやりたい方
なんかには向かないと思います。
2 Custom Shop Custom '60s Jazz Bass Pickup
① 商品ウェブサイト
サウンドハウス
フェンダー公式
② 特徴
ベーシックで完成された音とギラギラしたシャープで元気、タイトなカッコ良さを兼ね備えた音
、だと思います。
①で紹介したピックアップと違って、
強くフィンガーピッキングした時の弦とフレットが当たる音、
弦が大きく振動した際の弦とフレットが当たるビビり音
ゴーストノート、
ピック弾きで斜めに当てた時のざらっとした擦れる音、
スラップのゴーストノート、サム、プルの金属的なアタック音
これがとても目立つ音、目立ち方もカッコいい音です。
私がビンテージ所有者でないため気軽なこと言いづらいですがビンテージとは違う強い音、
現代のレンジが広い音楽や分厚いギターの歪みとかに負けない存在感あるアンサンブルで音程感やニュアンス、アタック音がでる抜けてくる音が作りやすいピックアップです。
③ オススメする方
アンサンブルで強い、主張するカッコいい音、ジャズベースの特徴と言える2つのピックアップを活かしたシャープで切れのある音を作りたい方、
にオススメします。
好みの方向性を間違えたりよっぽどセットアップされてピックアップ以外の要素も素晴らしいベースでなければ交換したときに、音かっこよくなった、と実感できるピックアップです。
スラップで目立ちたい音作りたくてフェンダー感はほしい、ってなるともうこれ一択かな、と思います。
フェンダーのすごいところがこれだけスラップカッコ良い音しながら、指弾きでもしっかり低音でるし、ピック弾きでも良いタイト感とピック弾きらしいニュアンスがでやすいです。
アンプと相性も基本的に大体良い感じの音がしてアンプ直でもそれなりの音がつくりやすく、極端な音もしないんで歪ませたりエフェクトかけてもベースらしい音が残りやすいと思います。
とにかく完成度が素晴らしく5弦好きの私はこれの5弦バージョンがでてほしい、心から思う素晴らしいピックアップです。
④ オススメしない方
これだけ褒めておいてオススメしない方を書くの大変難しいのですが、
主張かなりするので、もう少し落ち着いた音にしたい方、
具体的には、
包み込むような低音(例えばネックピックアップのみで太い音を作りたいなど)作りたい方、
ピッキングニュアンスやアタック音はほしいけどもう少し落ち着いた音出方がほしい方、
が向かないかな、と思います。
個人的にはビンテージ以外でフェンダー感だしたくて一回は通るピックアップで、これで納得しない方がピックアップ以外で調整したりして、それでも納得いかず、やっぱりビンテージしかないか、みたいな流れになるのかな、と思ってます。
あとは今回フェンダーでの比較になるんで書くべき内容ではないかなと思いますが、
フェンダーとは違うスムースジャズとか透き通った美しい高音(帯域高めの高音)
出すのには向かないです。
3 Pure Vintage '66 Jazz Bass Pickup
① 商品ウェブサイト
サウンドハウス
https://www.soundhouse.co.jp/products/detail/item/344677/
② 特徴
シャープさと柔らかさの両方を兼ね備えた音
だと思います。
この説明をすると
Pure Vintage 62 → Pure Vintage 66 → Custom Shop
の順に音が元気で派手になるような印象でPure Vintage 66を選んでおけば間違いない中間的立ち位置の音がでる、と思われそうですがそうではないと私は考えています。
1番の違いがピックアップに巻いてあるコイルワイヤーの種類がエナメルという見た目焦茶色っぽいものが巻かれています。
因みにcustom shopはフォームバーというオレンジ色っぽいものが巻かれています。
この違いは音に結構現れるので、エナメルワイヤーの音が好みかどうか、で選んでほしい、と思っています。
フォームバーとエナメルでは全く音の質が異なります。
大雑把にいうとフォームバーはギラギラ、ザラザラ
、バキバキといった感じのこの成分が強すぎると若干耳が痛い反面、アンサンブルでの音程感出したり抜けてくる音の強さを司る音が強めです。
一方エナメルは言葉にしづらいのですが、スラップのプルでフォームバーがバキッで音だとするとパフっていう感じの少し優しめの耳に痛くなりにくい音がします。
これはなかなか言葉で伝えにくいのですがフォームバーとエナメルのピックアップ2種類を試して弾いていただきたいな、と思います。
私が楽器調整やサウンドコンサルティングする際は、実際にこの2つを試してもらうようにしています。
③ オススメする方
ジャズベースのピックアップの音に変化を求める方、
コイルワイヤーがフォームバーの音よりエナメルの音が好きな方
だと思います。
②で書いたコイルワイヤーがフォームバーかエナメルか(ワイヤーの種類はこのほかにもポリナイロン等色々あります)という大きな違いについてに関わることで、世の中にでているジャズベースタイプのピックアップのほとんどがフォームバーです。
なので手持ちのジャズベースのピックアップはフォームバーである確率が高いかな、と思います。
なので変化を求める方、と書きました。
一度ご自身ピックアップのカバー外して何色か見ていただくと良いと思います。
④ オススメしない方
ハードロックなどで攻撃的なピッキング音を出したい方
には向かないかな、と思います。
ピック弾きでピックを斜めに当てた時のジャリジャリ、ビンビンした感じのニュアンス、
スラップでプルした時のバキッとする、あーこれこれ、っていうジャズベースのスラップサウンド、
を求めると少し違う、って感じると思います。
言葉選びがとても難しいのですが、custom shopが現代的、Pure Vintage 66がもう少し昔の音がする、、といってもよいかもしれません。
4 最後に
今回はベース界隈のスタンダードとも言えるフェンダージャズベースの市販のピックアップについて、私の視点で各ピックアップの印象を書いてみました。
依頼者様からの相談でもフェンダーはやっぱり結構人気があります。
今回こういう傾向の音がするということを書きましたが、ベースの音はピックアップだけで決まるものでもなく、他との組み合わせで音が決まりますし、
このピックアップの傾向は好きなんだけどもう少しこうしたい、
っていうのを聞き取り、提案するのが私の役目だと思っています。
私が調整の際に必ずセットで検討するのが、
・弦高調整(フレットの擦り合わせ、場合によってはフレット交換)
・ネック(トラスロッド)調整
・コンデンサ交換
・ナットの調整(ナット溝、ナット交換(材質の選定))
があります。
これに加えてアクティブの場合はプリアンプの選定や、プリアンプの配線なども。
音を変えたい、という相談を受ける中で、この楽器買いたいけどどうですか?とか相談受けることあります。
購入しないと難しいこともありますが、楽器そのものを購入しなくても手持ちの楽器を少しパーツ変えたり調整してもらったりで解決することもあります。
とはいえ、パーツ交換して試奏なんてできないし、という交換して違った音になるかと、という心配もあるか思います。私もそうでした。
楽器の調整やパーツ交換の経験からこんな音になりそうだよ、とか何となく今の楽器の音が不満で音を変えたいんだけど何からてをつけていいかわからない、といった悩みを聞いて、
その人にとって意味のある楽器の調整
その人にとって意味のあるパーツ交換
をするお手伝いをしてプレイヤーを幸せにしたいと思って私自身楽器を調整したり日々勉強しています。
この記事を書いている2024.10現在、ベースの音を決める要素としてのピックアップの選定はかなり大きなウエイトを占めると私自身は感じています。
私自身は5弦ジャズベースタイプのピックアップを沢山購入したり弾いてきていて一番得意としており、色んな提案できます。
購入したことない、試したことないものも当然ありますしそれはちゃんとお伝えします。
購入したことなくても、これまでの弾いて聞いてきた経験上Youtubeなどでのこれは参考になる、という音源も紹介することにしています。
所有しているものについては依頼いただいたベースに簡単に取り付けられるなら取り付けて試してみて、ということもやっています。
皆様にそれぞれにとっての、弾いてて心地よい楽器に出会えて弾くのが楽しくなるヒントになればと思います。
最後までお読みくださりありがとうございました。
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