ジャズベースタイプピックアップ(3種類)レビュー その1
ベーシストの楽器の出したい音を出すお手伝いをしているhirokiと申します。
主にエレクトリックベースを弾いていて楽器の調整や楽器、pu(ピックアップ)製作、ジャズベースタイプのpu集めが好きなことから、puはじめとしたパーツ選びの相談を受けることが多いです。
私は5弦のジャズベースタイプのベースを愛しているのもあり、これまで沢山のピックアップを買ったり、買わずとも弾かせていただいたりしてきました。
エレクトリックベースでの音の好みを決める要素で、プレイヤーが指で全てをコントロールします、というのも勿論そうですが、私個人的にピックアップはとても大きな要素を占めている、ということを感じています。
最近実感した例でいくと、フェンダーの近年のジャズベースに1965年製のジャズベースのピックアップの取り付けたらかなり好みな音になった、という例だとか(これもいつか音源にしたいと思っています)。
私が弾いてきた中で特に印象に残ったピックアップであまり他の人が弾いたことがないのでは?というものをいくつか紹介していこうかと思います。
それではいきます!!!
1 Klein pickups
① メーカー概要
アメリカのメーカー。
ウェブサイトはこちら
ビンテージ系のピックアップをウリにしている。
ストラトのPUだけでかなりの種類があるし、ベースではプレベが1959,1962と2種類作っているのでこだわりが感じられます。
② 購入した(試した)したモデル、購入先
1962 Epic Series Jazz Bass Pickup というモデルをメーカーウェブサイトから直接購入。
私の知る限り日本ではメーカー直で買う以外方法はなさそう(サウンドハウスに4弦ジャズベース用が載ってはいるが販売停止)。
メーカーウェブサイトはこちら
上のウェブサイトは4弦用のもののリンクにしました。というのも音源が上がっているからです。
私が買ったのは5弦ですがこれに近い音がします。
1962という数字のとおり1960年代前半のフェンダージャズベースの音(いわゆるブラックボビン)をリスペクトして作られたものと思われます。
ウェブサイトの説明を見ると1962年製のピックアップ(ジャズベースのピックアップとは書かれていない)のアルニコ5磁石、初期のストラトキャスターコイルワイヤーを分析してオリジナルの磁石とワイヤーを開発して製作している、といった内容が書かれています。
音には関係ないですがウェブサイトからオーダーしてからそれなりに時間がかかりました。
③ 私の個人的な感想
巻き数が少なめと思われ(抵抗値とピックアップのコイルの見た目がとても細い)とてもシャープな音でありながら、プレーンエナメルを使用することで高音が痛くない音。
個人的にはネック(フロント)ピックアップの音が好きでプレベのような太さとスラップした時に太さが同居したシャープなサウンドが得られる。
ネックピックアップがかなり太めな分、ブリッジピックアップはバランスをとるためかかなりシャープで軽めな音。ブリッジピックアップ単体だと音に重さが欠けてしまうなと感じます。
この細さを解決するのにピッキングした時に歪んだり磁石の影響受けないギリギリまで弦にピックアップを近づけることを私はするのですがこれでもなかなか重い音にはなりにくかったです。
5弦ジャズベースタイプのピックアップでワイヤーがプレーンエナメルを使ったものが欲しいとなると選択肢になるかなと思います。
それなら手に入れやすいノードストランドでよいのでは、という意見もあると思いますが両方所有している経験からするとこちらの方が私は好みでした。
④ 参考音源リンク
メーカーウェブサイトの音源(おそらくピックアップは両方ともミックス)
・スラップ
https://www.kleinpickups.com/images/sounds/62%20J1.wav
・ピック(?多分)
https://www.kleinpickups.com/images/sounds/62%20J2.wav
個人がサウンドクラウドに上げている方の音源
(指弾きとピックをミックス、ネック、ブリッジとピックアップ切り替えてアップされています)
2 Lundgren Guitar Pickups
① メーカー概要
スウェーデンのメーカー。
ウェブサイトはこちら
知ったきっかけは、韓国のベースメーカーsusbass、ポールターナーがメインで使っているStenbackベースに使われていることから知りました。
② 購入した(試した)したモデル、購入先
購入先はメーカーウェブサイトから。
ジャズベースタイプはVintageというモデルとHotというモデルの2種類あります。
私が購入したのはVintageの方です。
リンク先は下のとおりです。
・Vintageのブリッジ
・Vintageのネック
・Hotのブリッジ
・Hotのネック
③ 私の個人的な感想
Fenderなどで聴き慣れているジャズベースピックアップのサウンドとは結構違う音。比較的癖がなくフラットで高音が万遍なく出る綺麗めな音がする印象。
VintageというモデルもVintageという名前はついているものの枯れた音がする感じはなくLungrenの解釈によるVintageなのかなと思いました。
Hotというモデルの方がおそらく少しコイルの巻き数増やして太く高音が抑えめの音を狙って作っていると思われ、こちらの方がビンテージ感を感じる方も多いのかなと思いました。Hotの方は実物を試したことないのであくまで音源からの印象なのですがこちらも音が太すぎず絶妙な塩梅でとても使いやすそうです。
ベースに必要なローがしっかりでながら高音のアタックが綺麗目で耳に痛くなく、アンサンブルに混じった時に欲しい音が出て、指弾きしたときのフレットノイズとかのアラが嫌な感じに出にくく上手くなったように聴こえるpu。
スラップと指弾きを弾き分けた時に差がでにくい印象です。
綺麗め目で安定した音が出る一方、耳に痛くなりそうなガッツのあるゴリゴリしたピック弾きをやりたい場合や、枯れた音、昔ながらのブルースやりたい方、指のタッチでかなりのダイナミクスをつけたい方には少し物足りない感じがします。
④ 参考音源リンク
②のリンク先にメーカー公式の音源がありますのでそちらを参考にしてください。
それ以外での音源でポールターナーのインスタから。
指弾きとスラップの音をおそらくラインに近い音で確認できます。
あとLungren以外との比較もしている個人的にもメンバーシップなどでお世話になっている多田尚人さんのYouTube動画
韓国のベースメーカーで最近横浜のgeek in boxでも取り扱い可能になったsusbassのYouTubeから
3 Humpbackengineering
① メーカー概要
日本のメーカー。私の通っている学校国立音楽院のクラフトリペア科の講師でもある戸田高弘さんが手掛けるメーカー。
② 購入した(試した)したモデル、購入先
RF-5J というワイヤーがフォームバーの5弦のモデルをクロサワ楽器渋谷店にて購入。
今は、RE-5Jというワイヤーがエナメルの5弦のモデルも販売しているようです。こちらは所有したことはないですが、使われているベースは弾いたことがあります。
今は名古屋のGRACIASさんでも取り扱いがあったり時期によって変動。
いつも在庫があるわけではないため、Humpback engineeringさんのウェブサイトをリンクしておきます。
③ 私の個人的な感想
どこかの帯域が強いとかではなく癖がなく、まとまった音がします。
そのまとまりのレベルが高品質でラインで録音してドラムなどと合わせた時に真価を感じる音で、とにかくアンサンブルに負けない音、という印象です。
他のジャズベースタイプピックアップに比べてネックとブリッジのピックアップの差(ここで私が考えている差は、ネックピックアップはプレベのような太い音、リアピックアップはジャコパストリアスのフレーズ弾きたくなるような少し細めの芯がある音、の差)が少なく、ミックスで使用しても、ネックのみで使用しても、ブリッジのみで使用しても特に弾き方や機材のセッティングを変えずとも必要な低音がしっかり出るなという印象です。
ブリッジピックアップがもっとシャープで軽めの音がする方が好み、とか、もっと耳に痛いギリギリのバキバキなスラップサウンドを出したい、という方にはちょっと合わないかもしれないです。
④ 参考音源リンク
個人的にも絶大な信頼をしている名古屋ショップ、GRACIASさんのRed House Guitarsの5弦ベースの音源
YouTuberベーシストとしてベーシストが気になるベースのセッティングなどの比較を精力的にアップされているタカオさんのYouTube動画
https://www.youtube.com/watch?v=VQQKCydf2NI&t=12s
4 最後に
今回は沢山購入したりお借りしたり試奏したりしたピックアップのうちの少しを紹介してみました。
正直これは全く使えないというものはなく、あくまで好み、であり私の感想でしかないです。
ただ経験上先ほど書いたようにピックアップでの音の影響は結構大きくてこれを変えることで今所有している楽器への違和感や不満を解決できる可能性は結構あると感じています。
音を変えたい、という相談を受ける中で、この楽器買いたいけどどうですか?とか相談受けることあります。
購入しないと難しいこともありますが、楽器そのものを購入しなくても手持ちの楽器を少しパーツ変えたり調整してもらったりで解決することもあります。
とはいえ、パーツ交換して試奏なんてできないし、という交換して違った音になるかと、という心配もあるか思います。私もそうでした。
楽器の調整やパーツ交換の経験からこんな音になりそうだよ、とか何となく今の楽器の音が不満で音を変えたいんだけど何からてをつけていいかわからない、といった悩みを聞いて、
その人にとって意味のある楽器の調整
その人にとって意味のあるパーツ交換
をするお手伝いをしてプレイヤーを幸せにしたいと思って私自身楽器を調整したり日々勉強しています。
皆様にそれぞれにとっての、弾いてて心地よい楽器に出会えて弾くのが楽しくなるヒントになればと思います。
最後までお読みくださりありがとうございました。
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