ベビーカーの思い出
息子が5歳になるのを機にベビーカーを譲ることにした。
体調の悪い時とかにベビーカーに乗せて移動することがあるかも?
と思ったけど、車か電動自転車に乗せるし、どう考えてももうベビーカーを使う機会はない。
抱っこ紐は、体重制限をオーバーした時点ですぐに手放した。
だけど、ベビーカーはなかなか決心がつかなかった。
妊娠している間、生まれてくる息子のためのベビーグッズはほとんどをジモティーで譲ってもらって揃えた。
ベビーカーもその1つだった。
普段行くことのない戸塚駅に伺って500円で譲ってもらったのを、取引記録を見返さなくても鮮明に覚えている。
赤ちゃんをベビーカーに乗せてゆっくりお散歩するのを夢見て。
息子が生まれてすぐにコロナで外出が難しい状況になってしまったから、私のイメージしていた赤ちゃんとのベビーカーでのお散歩はほとんどできなかった。
生まれたての子を対面で見ながら押す形と、背面で前を向いて後ろから押す形のどちらでも使えるA型ベビーカーだったけど、対面式はほとんど使わなかった。
生まれた直後に一度だけ、大学のゼミの新年会に、ベビーカーにのせて、電車で3駅だけ乗って移動した。この時だけは対面で使った。
1歳で保育園に入園し、仕事に復帰した。
当初は、毎日ベビーカーで保育園へ登園していた。
生まれる時期から考えて認可を諦めて少し遠い、市の認証の園にしたから、片道20分かけてベビーカーを押して送り迎えした。
1歳になってまもなく歩けるようになった。
歩けるようになったら、自分で歩きたがってベビーカーに乗るのは嫌がった。
行きは半分寝ている状態でベビーカーに乗せていけたけど、帰りは歩いて帰った。
子どもと手を繋ぎながら、ベビーカーは担いで帰った。
道中のありとあらゆる光るものに目を奪われながら、2時間くらいかけて帰った。
雨の日はレインカバーをかけて、レインコートを着て、傘をさしながらベビーカーを押した。
もっと楽に運べるベビーカーなら⋯とか、乗り心地が違うものなら乗るかも?と、他のベビーカーを試した時期もあった。
けど、乗ってはくれず、とにかく1歳半〜3歳は息子との移動がすごく難しかった。
3歳の夏、子ども乗せ用の電動自転車を購入した。
少しは乗ってくれた。でもすぐに乗ってくれなくなってしまった。
何とか乗ってくれるように色々試したけど、とにかく乗ってくれなかった。
色々苦労があった。
4歳になるとだいぶ楽になると言われ、信じて毎日頑張った。
本当に4歳になったら、自転車に乗ってくれるようになった。
嫌がっていた抱っこも自分からせがむようになった。
バスも電車も、概ね迷惑をかけずに待って、乗れるようになった。
少しずつ色々な場所へ一緒に出かけられるようになり、楽しく過ごせるようになり、時間の流れが早くなった。
そして、5歳。
もう3歳でも4歳でもなくて、5歳だ。
子どもだけど、間違いなく赤ちゃんではない。
ベビーカーは、乗らない。
嬉しくもあり、寂しくもあるけど
また1つ成長したことを喜べるように
赤ちゃんではないけど、まだまだ甘えてくれる十分に子どもである今を
しっかり見つめて見落とさないように
心に刻めるように