
ロシアからの天然ガス停止,沿ドニエストル(トランスニストリア)計画停電,メルマガ - 2025/01/06
読者へのメッセージ(小話): 危機に直面し、地域の住民は様々な方法で適応しようとしています。薪ストーブの使用やエネルギー節約など、短期的な解決策が模索されている。危機を乗り越えるためには、短期的な対応と長期的な戦略的計画の両方が必要不可欠。
■今日のトピック
ロシアからの天然ガス停止 沿ドニエストル地方では計画停電。この問題の本質は、エネルギーを政治的な道具として利用するロシアの戦略と、それに伴う地政学的な緊張にあります。
エネルギー安全保障の脆弱性: ヨーロッパ諸国は、長年にわたりロシア産天然ガスに大きく依存してきました。この状況は、エネルギー供給の安定性という点で大きなリスクを抱えており、今回の供給停止がそのことを如実に示しています。
地政学的な力関係: ロシアは、エネルギー供給をコントロールすることで、ヨーロッパ諸国に対して政治的な影響力を行使しようとしています。ウクライナ侵攻も、こうした地政学的な力関係の変化を背景に起こったと言えるでしょう。
エネルギー転換の遅れ: ヨーロッパ諸国は、気候変動対策の一環として、再生可能エネルギーへの移行を進めていますが、そのスピードは十分とは言えません。今回の危機は、エネルギー転換の重要性を改めて浮き彫りにしています。
影響
今回の天然ガス供給停止は、以下のような多岐にわたる影響をもたらしています。
経済への打撃: 生産活動の停滞、インフレの加速など、経済全体に大きな打撃を与えています。特に、エネルギー集約型の産業への影響は深刻です。
生活への影響: 暖房や給湯の停止、電力不足など、人々の生活に直接的な影響が出ています。特に、冬季における影響はより深刻です。
政治的な不安定化: エネルギー不足は、社会不安や政治的な混乱を引き起こす可能性があります。
地政学的な緊張の激化: ロシアとウクライナ、そしてヨーロッパ諸国間の対立を深化させ、さらなる紛争の火種となる可能性があります。
次に、今回のNHK記事は発表直前において「ロシアからの天然ガス停止 欧州で混乱 モルドバでは計画停電」となっていたが「ロシアからの天然ガス停止 沿ドニエストル地方では計画停電」に修正されていた。

私が調べてた限りではモルドバ全土では現在、計画停電は実施されていない。ただし、電力不足に備えて準備はしています。主要電力供給会社のPremier Energyは、2025年1月1日から予想される天然ガス供給の混乱に備えて、計画停電が開始される可能性があると発表しました。これらの停電は、深刻な電力不足が生じた場合にのみ実施され、病院や学校などの重要なサービスには影響しないとされています。(https://moldova1.md/p/41302/premier-energy-announces-scheduled-power-outages-in-moldova、https://radiomoldova.md/p/45098/how-moldova-is-addressing-energy-supply-challenges-for-2025)
沿ドニエストル(トランスニストリア):
一方、分離独立を主張するトランスニストリア地域では、深刻なエネルギー問題に直面しています。ウクライナを経由するロシアからのガス供給が停止したことを受けて、トランスニストリア当局は輪番停電を発表し、1日3時間の計画停電を実施しています。また、家庭向けの暖房給湯サービスを停止し、食品生産を除くほとんどの工場を閉鎖しています(https://www.cnbc.com/2025/01/03/moldova-ukraines-halt-of-russian-gas-throws-transnistria-into-crisis.html、https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/en/news/20250105_01/、https://www.themoscowtimes.com/2025/01/01/russian-gas-halt-leaves-transnistria-without-heating-amid-winter-freeze-a87499)。このエネルギー危機は悪化する見込みで、2025年2月までにガスと電力が完全に不足する可能性があります。
※この情報は現時点でのものであり、状況が変わる可能性があるため、ロシアなどに関心のある方は最新の情報を確認することをおすすめします。
なお、モルドバ本国と沿ドニエストルは法的には同じ国ですが、実質的には別々の統治体制下にあり、対立関係にあります。モルドバ政府は沿ドニエストル地域を自国の一部と見なしていたりする。
次にトランスニストリアの状況をできるかぎり調べてみた。
住民は1日最大4時間の輪番停電を経験しています(https://www.rferl.org/a/transdniester-power-cuts-russian-gas-cutoff-moldova-crisis/33263740.html)
1,500棟の集合住宅で暖房と温水が使用できません(https://www.rferl.org/a/transdniester-power-cuts-russian-gas-cutoff-moldova-crisis/33263740.html)
約72,000世帯の個人宅でガスが使用できません(https://www.rferl.org/a/transdniester-power-cuts-russian-gas-cutoff-moldova-crisis/33263740.html)
食品生産を除くほとんどの産業が停止しています(https://www.rferl.org/a/transdniester-power-cuts-russian-gas-cutoff-moldova-crisis/33263740.html)
当局は住民に暖房用の薪を集めるよう提案しています(https://www.rferl.org/a/transdniester-power-cuts-russian-gas-cutoff-moldova-crisis/33263740.html)
家庭への温水供給と暖房が停止されています(https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/en/news/20250105_01/)
モルドバ本国の状況:
政府は公共施設や商業施設の照明を30%削減するなど、省エネ対策を実施しています(https://japannews.yomiuri.co.jp/news-services/ap/20241231-230796/)
現時点では広範囲な停電は発生していませんが、住民は将来の電力不足を懸念しています(https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/en/news/20250105_01/)
30歳のIulianaさんのように、停電が発生した場合の仕事や日常生活への影響を心配する人もいます(https://japannews.yomiuri.co.jp/news-services/ap/20241231-230796/)
これらの課題にもかかわらず、人々は適応しています。
一部のモルドバ人は薪ストーブやバイオマス燃料を使用して暖を取っています(https://www.rferl.org/a/transdniester-power-cuts-russian-gas-cutoff-moldova-crisis/33263740.html)
モルドバ政府は、トランスニストリア以外の国内需要を満たすのに十分なエネルギー源(ルーマニアからのガス供給を含む)があると主張しています(https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/en/news/20250105_01/)
住民は暖房需要を抑えるため、穏やかな気候が続くことを期待しています(https://japannews.yomiuri.co.jp/news-services/ap/20241231-230796/)
特にトランスニストリアでは状況が厳しいですが、人々はエネルギー不足に対処し、困難な状況下でも日常生活を続ける方法を見出しています。しかしながら、これは断片的なものであり、現地で直接行かなければ全体像がみえてこない。
今後の展望
この問題の解決は容易ではありません。長期的な視点で、以下の点が重要になってきます。
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コンパスを頼りに進め!:迷いの時代に
思春期から抱いてきた「死への恐怖」や「人生の本質」といった根源的な問いは、私に深い探求心を与えると同時に、市場の変化を敏感に察知するための…
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