量子コンピューティング株急落,実用化は20年先?,メルマガ - 2025/01/10
読者へのメッセージ(小話): 量子コンピュータの遅延?驚いたね。人間が宇宙の謎を解き明かすより、安定した量子ビットを作る方が難しいなんてね。やっぱり、我々はまだ原始的な生物なのかもしれない。でも、ご安心を。その間に、AIは私たちが思っている以上に賢くなって、量子コンピュータの設計図を勝手に書き換えてくれるかもしれない。人類万歳!
■今日のトピック
量子コンピューティング株急落、「実用化は20年先」とエヌビディアCEO。まずこの件で私が考えたのは、今回の量子コンピューティング関連株の急落という事例から「株価は、技術の実用化よりも、期待値などの影響を大きく受けるのでは?」ということです。
なぜ株価は期待値に大きく左右されるのか?
未来への投資: 株は、企業の将来的な収益に期待して投資されるものです。量子コンピューティングは、まだその潜在能力が十分に開花していないため、投資家は、将来、この技術がもたらすであろう大きな市場や革新的な製品・サービスに期待して投資しています。
情報のアシンメトリー: 一般投資家にとって、量子コンピューティングのような高度な技術の内部事情を深く理解することは困難です。そのため、専門家やメディアからの情報、そして他の投資家の行動を参考に投資判断を行う傾向があります。
群衆心理: 特定の技術やセクターが注目されると、多くの投資家が追随し、株価が急騰することがあります。これは、一種の群衆心理によるもので、個々の企業のファンダメンタルズよりも、市場全体のムードが株価に大きな影響を与えることを示しています。
株価が期待値に左右されることのメリットとデメリット
メリット:
イノベーションを促進: 高い期待が寄せられることで、企業はより多くの資金を調達し、研究開発を加速させることができます。
新たな市場の創出: 量子コンピューティングのような革新的な技術は、新たな産業や市場を創出し、経済成長に貢献する可能性があります。
デメリット:
バブル崩壊のリスク: 期待が過度に高まり、株価が実態を大きく上回ると、バブル崩壊のリスクが高まります。
短期的な投機行為: 短期的な利益を狙った投機的な取引が活発化し、市場の安定性を損なう可能性があります。
株価の動きから読み解く量子コンピューティングの未来
量子コンピューティング関連株の動きを分析することで、この技術の将来性をある程度予測することができます。
短期的な変動: 技術的な進展や市場環境の変化によって、株価は短期的に大きく変動する可能性があります。
長期的なトレンド: 長期的に見れば、量子コンピューティングが社会に浸透し、実用的な応用が開発されるにつれて、株価は安定的に上昇していくことが期待されます。
投資家にとっての教訓
長期的な視点: 量子コンピューティングのような革新的な技術への投資は、長期的な視点を持つことが重要です。
情報収集: 最新の技術動向や市場情報をしっかりと収集し、冷静に分析することが求められます。
リスク管理: 投資には必ずリスクが伴うため、分散投資や損失許容度を考慮した投資計画を立てることが重要です。
結論として、量子コンピューティング関連株の株価は、技術の実用化だけでなく、市場の期待感や投資家の心理に大きく左右される。
また量子コンピュータの将来性については、非常に高い期待が寄せられていますが、実際に実用化されたとしても、その用途が限定されるなど、期待値を下回る可能性は十分に考えられます。これは、あらゆる新技術に共通する課題であり、量子コンピュータも例外ではない。
期待値と現実のギャップが生じる要因
技術的な課題:
量子ビットの安定性: 量子ビットは非常に不安定であり、外部のノイズに弱く、長時間にわたって情報を保持することが困難です。
エラー訂正: 量子計算のエラー率を下げるためのエラー訂正技術は、まだ発展途上であり、大規模な量子コンピュータの実現には、より高度な技術革新が求められます。
アルゴリズムの開発:
量子優位性の証明: 量子コンピュータが古典コンピュータを凌駕する性能を発揮できる問題を特定し、効率的な量子アルゴリズムを開発することは、依然として大きな課題です。
社会的な課題:
人材育成: 量子コンピュータを開発・運用できる人材は、世界的に不足しており、人材育成が急務です。
インフラ整備: 量子コンピュータを稼働させるための特別な環境やインフラ整備も必要となり、コストがかかります。
現実的な用途と期待されるインパクト
量子コンピュータは、全ての計算問題を高速に解けるわけではなく、特定の分野でその威力を発揮すると考えられています。
新材料開発: 物質の性質を量子力学的にシミュレーションすることで、新しい材料の開発を加速させることが期待されます。
医薬品開発: 新しい医薬品の候補物質の探索を高速化し、創薬プロセスを革新することが期待されます。
金融リスク管理: 複雑な金融商品の価格評価やリスク管理をより正確に行うことが期待されます。
人工知能: 機械学習アルゴリズムの効率化や、新たな学習モデルの開発に貢献することが期待されます。
しかし、これらの分野においても、量子コンピュータがすぐに既存のコンピュータを完全に置き換えるわけではなく、両者が補完し合いながら発展していくと考えられます。
期待値とのギャップを埋めるために
量子コンピュータの研究開発は、世界中で活発に行われており、技術的な進歩は日進月歩です。しかし、実用化までの道のりは長く、様々な課題を克服していく必要があります。
基礎研究の推進: 量子力学の基礎的な研究を深化させ、量子コンピュータの性能向上に繋がる新たな発見を期待します。
応用研究の加速: 様々な分野における量子コンピュータの応用研究を推進し、実用的な量子アルゴリズムを開発します。
人材育成の強化: 量子コンピュータに関する教育プログラムを拡充し、高度な専門人材を育成します。
国際協力の強化: 世界各国の研究機関や企業が協力し、共同で研究開発を進めることが重要です。
期待値と現実のギャップを認識し、長期的な視点を持って研究開発を進めることが重要である。
次に米半導体大手エヌビディア(NVDA.O)のジェンスン・ファン最高経営責任者(CEO)が量子コンピューターの実用化について「15年後と言えばおそらく早い方で、30年なら遅いだろう。20年先と言えば、多くが納得する」と述べたことで、量子コンピューター関連に位置付けられる銘柄群への売りが目立ったようで、この発言が量子コンピュータの完成宣言ともとれるか、というと、単純に「完成」と捉えるのは少し早計と言える。しかし、今回は私は完成宣言について調べてみる。すると、その多くは限定的な成果や誇張された主張であることがわかった。主な出来事を振り返る。
2011年、カナダのD-Wave Systemsが128量子ビットの量子コンピュータ「D-Wave」の建造に成功したと発表しましたhttps://ja.wikipedia.org/wiki/量子コンピュータ)。当初は懐疑的な見方もありましたが、後に量子コンピューティングによるものとする調査論文が発表され、信頼性が高まりました。
2019年10月、Googleが量子超越性を世界で初めて実証したと発表しました[3]。彼らの量子コンピュータSycamoreプロセッサが、スーパーコンピュータで1万年かかる計算を3分20秒で解いたと主張しました。
2020年12月、中国の研究グループが独自の量子コンピュータ「九章」で量子超越性を達成したと発表しました(https://ja.wikipedia.org/wiki/量子コンピュータ)。
2021年、NTTや東京大学、理化学研究所の共同研究チームが、光量子コンピュータの基幹技術となる「スクィーズド光源」を世界で初めて開発したと発表しましたhttps://ja.wikipedia.org/wiki/量子コンピュータ)。
しかし、これらの「完成」宣言にもかかわらず、現在の量子コンピュータは依然としてNISQ(Noisy Intermediate-Scale Quantum Computer)と呼ばれる段階にあり、エラー訂正機能を持たない限定的なものです(https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/story/2020/specialite_002_1)。専門家は、現在の量子コンピュータの状態を、古典コンピュータの歴史における1940年代の真空管コンピュータに近いと評価しています(https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/story/2020/specialite_002_1)。
完全な量子コンピュータの実現には、「量子重ね合わせ」と「量子もつれ」の制御、そして「誤り訂正」問題の解決が必要です( https://www.excite.co.jp/news/article/Jcast_kaisha_443916/)。これらの課題に対する基本的な解決策が示されつつあり、開発に弾みがついていますが、実用的な万能量子コンピュータの完成までにはまだ時間がかかると考えられています。
なぜ「完成」宣言が複雑なのか?
「完成」の定義: 量子コンピュータの「完成」をどのように定義するのかは、研究者によって見解が異なります。特定のアルゴリズムで古典コンピュータを超える性能が出た、大規模な量子ビットが実現できた、など様々な定義が考えられます。
量子超越性: 量子コンピュータが古典コンピュータでは不可能な計算を達成したことを示す「量子超越性」は、一つのマイルストーンですが、汎用的な量子コンピュータの実現には、より多くの課題が残されています。
技術的な課題: 量子ビットの安定性、ノイズの低減、大規模な量子回路の制御など、技術的な課題が山積しており、これらの問題が完全に解決されたわけではありません。
さらに量子コンピュータの開発において、英語圏でも調べてみると、いくつかの重要な進展があるようだ。
2019年10月、Googleが量子超越性を達成したと主張しました。彼らの53量子ビットのSycamoreプロセッサが、スーパーコンピュータで10,000年かかる計算を200秒で解いたと発表しました(https://learningenglish.voanews.com/a/google-claims-major-breakthrough-in-quantum-computing/5136346.html)(https://en.wikipedia.org/wiki/Quantum_supremacy)。
しかし、IBMはGoogleの主張に異議を唱え、同じ問題を従来のスーパーコンピュータで2.5日で解けると反論しました(https://en.wikipedia.org/wiki/Quantum_supremacy)(https://www.sciencenews.org/article/google-quantum-supremacy-claim-controversy-top-science-stories-2019-yir)。
2023年12月、NTTを含む研究グループが大阪大学に日本で3台目となる超伝導量子コンピュータを設置しました(https://group.ntt/en/newsrelease/2023/12/20/231220c.html)。
2024年11月、理化学研究所、NTT、Fixstars Amplify Inc.の共同研究グループが、世界初の汎用光学量子コンピュータを開発し、クラウドを通じてアクセス可能にしました(https://thequantuminsider.com/2024/11/11/riken-ntt-and-amplify-inc-introduce-general-purpose-quantum-computer/)。
これらの進展にもかかわらず、実用的な大規模量子コンピュータの実現にはまだ多くの課題がある。現在の量子コンピュータは、エラー訂正や大規模化などの問題に直面しており、実用化までにはさらなる研究開発が必要です(https://ntt-review.jp/archive/ntttechnical.php?contents=ntr202311fa3.html)。
量子コンピューティング分野では、企業間の競争が激しくなっており、各社が自社の成果を強調する傾向がある。(https://www.sciencenews.org/article/google-quantum-supremacy-claim-controversy-top-science-stories-2019-yir)。そのため、量子超越性の主張には慎重な評価が必要です(https://gilkalai.wordpress.com/2024/12/09/the-case-against-googles-claims-of-quantum-supremacy-a-very-short-introduction/)。
これらを踏まえると、現在の量子コンピュータは完成しておらず、実用的な規模での使用には至っていない。本当に20年先に実用化されるかは疑問である。主な理由は以下になる。
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コンパスを頼りに進め!:迷いの時代に
思春期から抱いてきた「死への恐怖」や「人生の本質」といった根源的な問いは、私に深い探求心を与えると同時に、市場の変化を敏感に察知するための…
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