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ホンダ・日産が経営統合,自動車産業の「存在意義」が問われるなど,メルマガ - 2024/12/18

読者へのメッセージ(小話): MIXI株が連日急騰、招待制の新SNS(MIXI2)期待。株価急騰の本質は「期待値」です。「mixi2」が招待制を取り入れたことで、過去のスパム問題の反省を踏まえた「改善策」として評価され、市場は「国産SNS復活」のシナリオに飛びついたわけです。しかし、これはあくまで期待です。ユーザー定着や収益化の実態が伴わなければ、企業価値としての持続的な成長にはつながりません。「mixi2はSNS復活の夢を見せたが、今の株価はその『夢の価値』に過ぎない。果たして、それが現実の利益につながるのか――市場は試されている」。

■今日のトピック

ホンダ・日産が統合へ 持ち株会社設立、三菱自の合流視野。この経営統合の背景には、世界的な電気自動車(EV)シフトと新興プレーヤーの台頭があるわけですが、本質的なポイントがいくつかあります。まず「本当に技術力を結集すれば勝てるのか?」ということです。技術力を結集すれば、確かにコスト削減や効率化は図れるでしょう。しかし、テスラや中国メーカーの強みは、単にEV技術だけでなく、ソフトウェア開発力スピード感です。統合によって巨大化した企業は、果たしてアジャイルな意思決定と柔軟な戦略展開が可能なのか、という疑問が残ります。統合後の重厚長大な組織が「旧来型の遅さ」に引き戻されないかが鍵です。次に「「世界3位」を目指す意味は何か?」ということです。経営統合の目的として「世界3位グループ」を掲げることは目を引きますが、単なる規模の追求が競争力につながるのでしょうか?EV時代において重要なのは、ブランド力とユーザーエクスペリエンス(UX)です。規模の大きさよりも、いかに革新的な価値を提供できるかが問われています。次に「三菱自動車の「合流」が意味するもの」。将来的に三菱自動車の合流も視野に入れているとのことですが、経営統合の狙いはあくまでシナジー効果の最大化であるはずです。三菱が合流することで具体的にどのような相乗効果が見込めるのか?経営資源をただ集めるだけではなく、何を強みとして打ち出すのかという戦略が不可欠です。次に「「技術」だけでなく「ソフト」と「データ」への対応」。テスラや中国勢が躍進している要因は、単なるEV技術だけでなく、ソフトウェアのアップデートやデータ活用の巧みさです。ホンダ・日産連合が単なるハードウェア統合に留まるのであれば、競争優位を築くことは難しいでしょう。自動運転技術やコネクテッドカー分野での「データ戦略」が見えてこない限り、統合の意義は半減します。私は最近「シン・ニホン AI×データ時代における日本の再生と人材育成(2020年)(著:安宅和人)」という本を読んでいますが、この中でも書かれていることですが、特に日本の理系人材は減少傾向にあります。現在、日本の学生約60万人のうち、理系は約10万人程度です(https://biz.techoffer.jp/column/article/no-31334856/)ので、データ戦略を考え、今後競争優位を築くのは難しいといえます。最後に「日本の自動車産業の「存在意義」」です。EV化・自動運転化が進む中で、日本の自動車産業は「世界の中でどういう価値を提供するのか?」という存在意義が問われています。統合によって単に「生き残る」ことを目指すのではなく、次世代モビリティ社会に対してどのようなビジョンを示すのかが欠かせません。しかし、日本の社会や産業構造には「オールドタイプの人間」、つまり従来の価値観や成功体験に固執する人々が多いという課題があります。オールドタイプの思考・行動パターンには「「正解」を探す傾向がある」、「量的な向上を重視する」、「問題解決に長けている」というものがあります。

1. 「オールドタイプ」の価値観が足かせに?

日本の自動車産業は、長らくガソリン車を中心とした「ものづくり」において圧倒的な強さを誇ってきました。しかし、EVシフトやソフトウェア中心の時代に突入した今、その強みは必ずしも未来に通用するとは限りません。

  • 「品質はいいが遅い」
    高い品質を追求する日本企業は、製品開発や意思決定に時間がかかることが多い。一方、テスラや中国勢は「完全ではなくても先に市場に出す」ことで、スピードと革新を武器に成長しています。

  • 「ハード重視の発想」
    ソフトウェアやデータ活用の重要性が増す中、依然としてハードウェア偏重の発想に留まるオールドタイプの経営者や技術者が少なくないことも、競争力を阻害しています。

2. 存在意義は「モビリティの未来」への挑戦

日本の自動車産業が世界での存在意義を確立するためには、「オールドタイプ」の価値観から脱却し、次世代モビリティ社会に向けた新たな価値提供が必要です。例えば:

  • 「安心・安全」から「人間中心の移動体験」へ
    日本の自動車産業は、これまで「安全性」と「品質」で世界をリードしてきました。しかし、次は「移動」という行為自体を快適で人間的な体験へと進化させる方向が求められます。高齢化社会に対応したモビリティや、移動時間を生活時間に変えるコネクテッド技術などが鍵です。

  • 「環境負荷ゼロ」と「循環型社会の実現」
    EVや水素技術に加え、日本ならではの「エネルギー循環技術」やサステナブルな自動車製造で、環境先進国としてのプレゼンスを発揮することが考えられます。

3. 日本らしい「価値観」の再定義

日本の自動車産業が提供する価値は、単なる「商品」ではなく、日本の思想や価値観を反映したものになるべきです。

  • 「匠の技術」と「デジタル」の融合
    日本が得意とする精緻なものづくりと、AIやソフトウェアを組み合わせることで、新しい「美意識」と「体験価値」を生み出せます。

  • 「共存」する未来社会への貢献
    環境技術だけでなく、自動車を基点に地域社会や人々の暮らしを豊かにするソリューションを提案することも、日本らしい貢献の形です。

4. オールドタイプの脱却には「人」こそ重要

最後に、日本の自動車産業が変革するためには、人材のアップデートが不可欠です。

  • 経営層が「失敗を恐れない文化」を醸成し、チャレンジを奨励すること。

  • 若手や多様な視点を持つ人材を積極的に登用し、旧来の価値観に新しい血を入れること。

  • 技術者自身がハードからソフトへ視野を広げ、時代の変化に対応すること。

日本の自動車産業が「世界でどういう価値を提供するか?」という問いに答えるには、オールドタイプの殻を破り、技術だけでなく思想やビジョンでも世界をリードする存在になる必要があります。それができるかどうか、今が試される瞬間です。

「ウェイモ」自動運転導入に向け 来年から日本で実証実験。このニュースは日本の自動運転技術の遅れを浮き彫り。その要因をさらに深掘りすると、次のような点が挙げられます。

  1. 海外に比べた「実証フィールドの不足」
    アメリカや中国では広大な土地を利用した実証実験が行われ、データが豊富に蓄積されています。対して日本では、狭い道路や複雑な都市構造に加え、実験に対する社会的な許容度が低いことから、本格的な実証実験が遅れがちです。結果として、技術の実地投入が遅れています。

  2. 規制の縛りと法整備の遅さ
    日本では技術開発が進んでも、それを実際の公道で試すための規制緩和や法的枠組みの整備が遅れています。安全を重視する姿勢は評価される一方、スピード感が欠けることが技術開発の足かせとなっています。

  3. 国内企業の「慎重すぎる姿勢」
    GMとホンダの撤退が示すように、収益化の見通しが立たないと判断すればプロジェクトを中止する傾向が強いです。特に日本企業は「完璧さ」を追求するあまり、技術を市場に出すタイミングを逃してしまうことが多く、ウェイモのように「まずは実験しながら進める」アプローチが弱いと言えます。

  4. 技術開発リソースの分散
    トヨタやホンダといった大手メーカーがそれぞれ独自に開発を進めるため、技術力やリソースが分散してしまいます。一方、ウェイモやテスラはITとAI技術を最大限に活用し、集中的なデータ収集と解析で開発を加速させています。

日本の自動運転技術は「技術力」そのものは決して低くありませんが、法整備の遅さ、社会の受容度、企業文化といった「仕組み」や「環境」によって遅れを取っているのが実情です。

逆転の鍵は?

  • オープンイノベーション:他企業や海外企業と連携し、データや技術を共有する柔軟な発想。

  • 規制改革と社会実験:安全性を確保しつつも、実験範囲や速度を広げる法的・社会的仕組み作り。

  • 失敗を許容する文化:技術を市場に出しながら改善していく姿勢を持つこと。

「技術の国」日本が遅れを取り戻すには、変化への柔軟性とスピードが求められます。

他にこの件に関して本質的なところを鋭く突っ込むと、

  • 競争激化と収益性の疑問
    自動運転技術は進化しているものの、GMの撤退やホンダのサービス中止からも分かる通り、開発コストや技術的課題が収益化の壁となっている現実があります。ウェイモの日本参入は話題性がある一方、果たして実証実験後に商業化までたどり着けるのか?そもそも日本市場において自動運転タクシーの「需要」と「採算性」は確かなのか?

  • 日本固有の道路環境と規制の壁
    日本はアメリカと異なり、道路が狭く複雑であり、標識や交通ルールにも地域差があるため、海外の自動運転システムがそのまま適用できるわけではありません。さらに、自動運転に関連する規制緩和や法整備が進む速度も重要です。「技術の実力」と「法的・社会的受容」のギャップをどう埋めるのかが問われます。

  • タクシー業界との関係性
    「日本交通」との連携は、労働力不足やコスト削減を背景に前向きな取り組みとして見えますが、タクシー運転手の雇用や労働環境への影響は避けられません。「人間が運転する価値」や「サービスの質」がどう定義されていくのか? 技術の導入が既存のタクシー業界にとって脅威になるのか、それとも共存共栄の未来が描けるのかが焦点です。

  • 日本の市場特性:技術への期待と実用化の現実
    日本では新技術に対する期待は高いものの、「安全性」や「信頼性」に対する要求も極めて厳しい市場です。ウェイモがアメリカの成功モデルをそのまま持ち込んでも、技術の「実用性」や「事故リスク」が厳しく問われるでしょう。日本の消費者が『自動運転タクシー』を本当に受け入れるのか?が試されます。

これらのことが挙げられます。最後にウェイモの日本参入は「黒船」と表現することができ、技術の分野で外国企業が先陣を切り、日本市場を切り開く構図は、まさに近代の「開国」時代を想起させます。特に自動運転技術の分野で日本が後手に回る現状は、技術立国としてのアイデンティティを揺るがす出来事です。さらに今回の日本参入は、従来の「植民地」の定義である「領土支配」や「資源収奪」とは異なり、現代ではデータや技術を支配する形での「植民地化」が進んでいます(現代版植民地化とも言えます)。今回の件はその一端を象徴していると言えます。ウェイモは日本国内の道路環境やインフラデータを収集し、その知的資産を自社の技術基盤に統合します。これは「情報の収奪」とも言える構造です。これを危機感の共有と変革の起爆剤にすることが重要です。「日本の船」を再びアメリカ大陸に見せつけるには、技術力と市場展開力を磨き、守りではなく攻めの姿勢で挑む必要があります。今こそ「和魂洋才」の精神で、技術革新と日本らしさを融合させた新しい産業モデルを世界に示すべき時です。

選挙にSNS「懸念」85% 内閣支持36%、共同調査。「SNSや動画サイトが選挙に与える影響」について91.6%が「大きくなる」と回答している背景には、プラットフォーム上で働くアルゴリズムの存在が大きく関わっています。アルゴリズムはユーザーの興味や行動履歴に基づき情報を選別・提示しますが、ここで問うべきは、誰がそのアルゴリズムを設計し、誰の利益のために動いているのかという点です。SNSのアルゴリズムが「情報の中立性」や「民主主義の質」を担保しているとは限りません。むしろ、反応の多い情報が優先的に拡散される仕組みにより、真偽不明の情報や扇動的な内容が目立ちやすくなり、冷静で正確な議論が埋もれてしまう危険性があります。さらに、プラットフォームが利益最大化を目的としている以上、アルゴリズムは「民主主義」よりも「商業的価値」を優先して動く傾向があるといえます。このような状況下で、有権者はどのようにして真実を見極めれば良いのでしょうか。選挙活動や政治情報の拡散がアルゴリズム次第である以上、民主主義そのものがアルゴリズムにコントロールされるという逆説が浮かび上がります。つまり、私たちが直面しているのは「アルゴリズムが作る民主主義」という、情報社会の本質を突く重大な課題なのです。

「【12/16更新】急増するクレカ決済停止、今度は“オタク向け婚活”で発生…現状続けば「新法制定せざるを得ない」議員も警鐘。」という記事で考えることは…。

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思春期から抱いてきた「死への恐怖」や「人生の本質」といった根源的な問いは、私に深い探求心を与えると同時に、市場の変化を敏感に察知するための…

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