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米国防総省がIT大手「テンセント」を"中国軍"との関連企業に指定,メルマガ - 2025/01/08

読者へのメッセージ(小話): 孫子の兵法には、「敵を知り己を知れば百戦危うからず」という言葉がある。現代において、敵は国家だけでなく、巨大なIT企業かもしれない。テンセントの事件は、デジタル時代の兵法の新たな章を開いたと言えるだろう。

■今日のトピック

米国防総省 IT大手「テンセント」を中国軍との関連企業に指定。まず「テンセント」がどのような企業を調査してみます。テンセントは多角的な技術コングロマリットで、幅広い事業を展開しています。以下がテンセントの主要事業分野の詳細な概要です。

付加価値サービス(VAS)

この部門はテンセントの最大の収益源で、会社の総収益の52.9%を占めています。

  • ソーシャルネットワーク: Weixin/WeChat、QQ、Qzoneなどのプラットフォームを含み、メッセージング、ソーシャルメディア、様々な対話型機能を提供しています。

  • ゲーム: テンセントは世界最大のビデオゲームベンダーで、国内外のゲームを提供しています。

    • 人気タイトルには「王者栄耀(Honor of Kings)」、「PUBG Mobile」、「リーグ・オブ・レジェンド」などがあります。

    • Supercell、Epic Games、Riot Gamesなどのゲーム開発会社の株式を所有しています。

オンライン広告

テンセントの収益の14%を占めています。

  • Weixin/WeChat、ビデオゲーム、モバイルサービスなど、様々なプラットフォームで広告サービスを提供しています。

フィンテックとビジネスサービス

テンセントの収益の32.5%を占めています。

  • 金融サービス: 人気のデジタル決済プラットフォーム「WeChat Pay」をはじめ、資産管理商品やマイクロローンを提供しています。

  • クラウドサービス: ビジネス向けにIaaS、PaaS、SaaSなどのクラウドコンピューティングソリューションを提供しています。

その他の事業分野

  • デジタルコンテンツ: Tencent Picturesを通じて映画やテレビ番組の制作・配給を行っています。

  • AI・技術: 様々な分野での人工知能の開発と実装に注力しています。

  • Eコマース: オンライン小売サービスを運営し、Eコマースプラットフォームに投資しています。

  • 音楽: 音楽ストリーミングとサブスクリプションサービスを提供するTencent Musicを運営しています。

投資とパートナーシップ

テンセントは600社以上の企業に出資しており、主にアジアのテクノロジースタートアップに焦点を当てています。同社の投資戦略では、ポートフォリオ企業が自律的に運営できるようにしています。テンセントの多様な事業ポートフォリオと、特に中国での強力な市場地位により、同社は時価総額で世界最大級のテクノロジー企業の一つとなっています。

次に今回の件についてアメリカのメディアは、テンセントとCATLの中国軍関連企業リスト追加について、どのように報じているか調べてみた。

  1. 指定の詳細と影響:
    米国防総省は1月6日、テンセントとCATLを含む複数の中国企業を「中国軍事企業」リストに追加しました(https://www.aa.com.tr/en/americas/us-adds-chinese-tech-giants-to-list-of-chinese-military-companies/3443624)(https://www.cbsnews.com/news/tencent-ban-catl-stock-us-department-of-defense/)。このリストには現在134社が掲載されています(https://www.cbsnews.com/news/tencent-ban-catl-stock-us-department-of-defense/)(https://www.nytimes.com/2025/01/06/business/us-chinese-military-companies-tencent-catl.html)。この指定は直接的な制裁を意味するものではありませんが、企業の評判に影響を与え、米国との取引を困難にする可能性があります(https://www.aa.com.tr/en/americas/us-adds-chinese-tech-giants-to-list-of-chinese-military-companies/3443624)。

  2. 企業の反応:
    テンセントはこの指定を「明らかな誤り」とし、「我々は軍事企業でも軍のサプライヤーでもない」と主張しています(https://www.aa.com.tr/en/americas/us-adds-chinese-tech-giants-to-list-of-chinese-military-companies/3443624)(https://www.nytimes.com/2025/01/06/business/us-chinese-military-companies-tencent-catl.html)。テンセントは米国防総省と協力して誤解を解消する意向を示しています( https://www.nytimes.com/2025/01/06/business/us-chinese-military-companies-tencent-catl.html)。

  3. 株価への影響:
    この発表を受けて、テンセントの株価は香港市場で約7-10%下落しました(https://www.cbsnews.com/news/tencent-ban-catl-stock-us-department-of-defense/)(https://www.nytimes.com/2025/01/06/business/us-chinese-military-companies-tencent-catl.html)。CATLの株価も深圳市場で下落しています(https://www.aa.com.tr/en/americas/us-adds-chinese-tech-giants-to-list-of-chinese-military-companies/3443624)。

  4. 背景と目的:
    このリストは、中国の「軍民融合」戦略に対抗するための取り組みの一環とされています(https://www.aa.com.tr/en/americas/us-adds-chinese-tech-giants-to-list-of-chinese-military-companies/3443624)。米国は近年、半導体やAIなどの先端技術の共有を制限しようとしています(https://www.cbsnews.com/news/tencent-ban-catl-stock-us-department-of-defense/)。

  5. 他の指定企業:
    テンセントとCATL以外にも、中国の海運大手COSCOの子会社、半導体メーカーのChangxin Memory Technologies、ドローンメーカーのAutel Roboticsなどが新たにリストに追加されました(https://www.nytimes.com/2025/01/06/business/us-chinese-military-companies-tencent-catl.html)。

  6. 今後の展開:
    2024年の国防授権法により、2026年6月からは国防総省がリストに掲載された企業と取引することが禁止されます(https://www.cbsnews.com/news/tencent-ban-catl-stock-us-department-of-defense/)。

なお、日本のメディアは、この問題を中国とアメリカの緊張関係の文脈で捉え、日本企業や経済への潜在的な影響を意識した報道を行っているように見受けられます。

次にアメリカ国防総省がテンセントを「中国軍と関連のある企業」に指定した事件の本質は、以下の点に集約されます。

1. 米中対立の深化と技術覇権争い

  • 技術の軍事利用: 中国政府が推進する「軍民融合」戦略は、民間企業の技術を軍事目的にも転用することを目指しており、先端技術を持つテンセントはその格好の標的となっています。

  • サプライチェーンの安全保障: 米国は、中国製の製品や技術が、自国の安全保障を脅かす可能性を懸念し、サプライチェーンから中国企業を排除しようとしています。

  • 情報戦: この問題は、単なる経済問題ではなく、情報戦の一側面でもあります。米国は、中国の技術力を弱体化させ、自国の優位性を維持しようとしています。

2. 信頼の欠如と情報戦

  • 情報開示の不透明性: 中国企業は、自社の技術や情報について、十分に開示していないことが多く、米国をはじめとする各国は、中国企業を信頼することが難しくなっています。

  • 情報戦の激化: 米中両国は、互いの情報を操作したり、虚偽情報を流したりするなど、情報戦を繰り広げています。テンセントの指定も、その一環として捉えることができます。

3. 企業のグローバル化と国家間の対立

  • グローバル企業のジレンマ: テンセントのようなグローバル企業は、各国政府の規制や対立に巻き込まれ、ビジネスを展開することが困難になっています。

  • 国家間の利益対立: 各国政府は、自国の産業を保護し、自国の利益を最大化しようとするため、企業のグローバル化を阻む要因となっています。

この事件が意味するもの

  • 新たな国際秩序の形成: 米中対立が深化する中、世界は新たな国際秩序へと移行しつつあります。この秩序においては、技術が重要な役割を果たし、各国間の競争が激化することが予想されます。

  • 企業の社会的責任: 企業は、単なる経済主体ではなく、社会的な責任を負う存在として求められるようになってきています。

  • 個人のプライバシー保護: テンセントのようなプラットフォーム企業は、膨大な個人データを保有しており、その取り扱いについては、厳格な規制が必要となります。

次にテンセントが軍事企業ではないと主張している一方で、米国国防総省が同社を中国軍と関連のある企業としてリストに加えたことは、非常に複雑な問題で、従業員の一部が中国軍との直接的なつながりを持っている可能性や、間接的な関与がある可能性は十分に考えられる。

なぜ、このような状況が生じているのでしょうか?

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