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コメ買い付け"投機の対象,マネーゲーム",異業種&外国人参入で高騰!? - 2025/02/17

読者へのメッセージ(小話): 「米は投機の対象ではない」とするのは、「水は濡れない」と言うに等しい。歴史を見れば、米は常に権力と富の象徴であり、戦争の火種ですらあった。それにもかかわらず、令和の日本で投機筋や異業種が参入すると「倫理に反する」と嘆くのは、米屋の商売は許せても投資家の買いは許せないという倒錯に他ならない。さらに、政府の放出米が本当に市場に届いているかを消費者が確かめる術はなく、今回の騒動は日本農業の存在意義を改めて浮き彫りにしたと言える。

■今日のトピック

コメ買い付け“投機の対象” 異業種&外国人参入で高騰か 備蓄米21万トン放出へ。今回の政府による備蓄米放出の本質は、以下の点に集約されます。

  1. コメ価格の安定化: 昨今のコメ価格高騰は、消費者の負担増だけでなく、農業経営にも影響を与えています。備蓄米放出は、市場への供給量を増やすことで、価格上昇を抑制し、安定的な価格形成を目指すものです。

  2. 需給バランスの調整: コメの需給は、天候や作柄、消費者の需要動向などによって変動します。備蓄米は、需要が過剰な場合に放出することで、需給バランスを調整し、安定的な供給を確保する役割を担います。

  3. 投機的行為の抑制: 一部の投機家によるコメの買い占めや価格吊り上げは、市場の混乱を招き、一般消費者や生産者を困らせます。備蓄米放出は、こうした投機的な行為を抑制し、公正な市場取引を促進する効果も期待されています。

ただし、今回の備蓄米放出は、あくまで一時的な措置であり、根本的な解決にはなりません。

次に私が気になっているのは記事内でも書かれているが、「これまでコメの取引に全く参入してこなかった方が、参入してきていることもだいたい分かった。これを放置すれば、これから先も主食であるコメが、マネーゲーム、投機の対象になってしまうかもしれない。これは日本に決してよくない。(江藤拓農水大臣)」といった発言である。そもそも日本の歴史を遡れば、コメは常に投機の対象となっている。

日本における米の投機的取引の歴史的背景

日本における米の投機的取引は、江戸時代にまで遡ります。当時、米は年貢として徴収され、各藩の財政を支える重要な役割を担っていました。

江戸時代の米市場

  • 堂島米会所: 大坂の堂島米会所は、米の先物取引を行う場として発展しました。ここでは、現物の米だけでなく、将来の米の価格を取引する「米手形」が流通し、投機的な売買が活発に行われました。大名は藩の財政を維持するために米を担保に借金をし、商人は米価の変動を見越して投機を行っていました。

  • 米相場の変動: 米相場は、天候や作柄、大名や豪商の思惑によって大きく変動しました。豊作の年には米価が下落し、凶作の年には米価が上昇しました。

  • 社会への影響: 米価の変動は、庶民の生活に大きな影響を与えました。米価の高騰は、飢饉や一揆の原因となることもありました。

明治時代以降の米市場

  • 政府の介入: 明治時代以降、政府は食糧政策の一環として、米の買い入れや販売を行い、価格の安定化を図ってきました。しかし、米価は依然として投機の対象となり、米不足や価格高騰が度々発生しました。

  • 食糧管理制度: 第二次世界大戦後、政府は食糧管理制度を導入し、米の流通を管理しました。これにより、米価は安定しましたが、市場の自由化が阻害されるという問題も生じました。

現代の米市場

米は歴史的に「通貨的価値を持つ資産」として扱われてきました。現代の「令和の米騒動」も、新たなプレイヤー(異業種・外国人投資家)が加わっただけで、構造的には昔とそう変わらないとも言えます。こう考えると、もしかすると「米が投機対象化している」というよりも、「本来の姿に戻ってきただけ」とも言えるかもしれません。

また私が考えるのは、インターネットやSNS、スマホの普及によって、「米の投機化」や「異業種の買い付け参入」といった現象が可視化され、ニュースとして報じられる頻度が増えた可能性があることです。

昔も米の相場変動や投機はあったものの、情報の流れが遅く、限られた層にしか影響を与えませんでした。しかし、今はSNSでリアルタイムに「米が高騰している」「投機筋が買い漁っている」といった情報が拡散され、消費者の間でも話題になります。さらに、個人でもスマホを使って投資情報を収集できるため、「米を買い占めれば儲かるのでは?」と考える人が増える可能性もあります。さらに、YouTubeやX(旧Twitter)などでは、農家や流通関係者が直接発信するケースも増えています。たとえば「JAがこういう動きをしている」「外国資本が米を買いに来ている」といった一次情報が、メディアを通さずに届くようになりました。つまり、米の投機自体は歴史的に珍しくないものの、それが一般の消費者にも広く認識され、話題化しやすくなったのは、インターネット時代ならではの現象と言えます。

ここから「米市場の透明性は確保されているのか?」、「現在の米市場における価格形成プロセスは、公正と言えるのか」を考えていきます。

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