
私も一緒にパン屋さんを始めたい。映画「1ST KISS」について
先日、映画「1ST KISS」を観てきた。
本当にもう、素晴らしかった。この先この映画以上のものに出会えるのかという疑問すら感じずにはいられなかったほど。
元々坂本裕二さん(以下敬称略)の脚本の虜で、「花束みたいな恋をした」「怪物」と観てきた。
そして今回、1ST KISS。観る前から面白いことは確信しており、あえて予告も前情報もほとんど入れずに、"坂本裕二 脚本"という情報のみで、かなりハードルを上げまくった状態で映画を観てきた。
⚠︎多分、ネタバレすると思うので、まだの方は観てからでお願いします。
ああーー、本当に良かった。何が良いって、主演のお二人。松たか子さんと松村北斗さん(以下敬称略)が素晴らしい。
正直、本当に正直。松村北斗について全く無知で、どんな人か知らなかったため、大丈夫なのか………?と勝手に不安に感じていたのだが、本当にごめんなさい。私が間違えてました。
最初の松たか子(硯カンナ)と松村北斗(硯駈)が出会うシーンで、あ、この人演技めっっちゃ上手い。と確信した。
もはや、演技じゃなく素なんじゃないかと思うくらい、あまりにも自然な演技をする方で、最初から引き込まれてしまっていた。
最初に松村北斗の演技を見た時、声が好きだと思った。皆が思っていることだと思うけれど。やっぱり声って、生まれ持った自分だけのもので、声が良いってすごく特別なことだよなあ、と映画を観ながらぼんやりと考えていた。声が魅力的な人って、個人的にずっと忘れられない人になる。
そして言わずもがな、松たか子も最高最強だった。「カルテット」や「大豆田とわ子と三人の元夫」などで坂本裕二と何度もタッグを組んでいることは知っていたため、やはり相性は抜群だった。「早く動物が嫌いと言える世の中にならないかな」っていう序盤のセリフでもう完全に心を鷲掴みにされていた。
始めは、タイムトリップの話?坂本裕二にしてはファンタジー感強めの珍しい題材なのかな?と少し身構えて観ていたけど、タイムトリップはあくまでもおまけで、今作で伝えたいことは、夫婦で過ごす時間を大切にしようという"夫婦愛"に重きをおいた映画だったので、タイムスリップの設定もすんなり受け入れられた。
所々、ん?何で?こうした方が良くない?と疑問に感じることもあったけど、そんなことを考えることすら野暮だなと思うほど、この映画に没頭してのめり込んでしまっていた。
15年後は離婚してしまっていることを知った駈がもう一度結婚生活をやり直したいと言った所から、気付けば涙が止まらなくなっていた。
カンナへ宛てた駈からの愛がつまった手紙なんて泣かずに観ることなんて不可能だったし、やり直した先の15年間は本当に幸せだったんだろうなっていうことが容易く想像できた。
そして最後、駈が頼んでくれていた餃子を受け取ってありがとうというカンナ、そこからエンドロールが始まって、おやおや、私まだ泣いてるぞ?エンドロール終わっちゃうけど涙止まらないぞ?状態になっていた。
結末としては、結局は駈が死んでしまって悲しいけれど、観終わった後はどこか満足感が残っており、心が温かくなるという不思議な映画だった。
1ST KISSは本当にあらすじもほとんど観ずに観に行って、たまたま夫も一緒に観る?と誘って2人で観に行ったけど、普段全く泣かない夫が1ST KISSを観て3回泣いたと言っていた。
長年一緒にいるけど、夫が映画で泣くなんて初めて聞いたし、悲しいとか感動とかそんな感情なんてないと思ってた(失礼)夫が泣くとは。よっぽどのことなので、驚いた。
私たちに置き換えて観ていたら自然と泣けてきたと夫が言っており、2人で観に行って良かったなあと思った。
正直、観た直後は「あー良い映画だったなあ」くらいの感想だったけど、日が経つにつれ「あれ?私ずーっと1ST KISSのこと考えてるぞ?」ということに気付き、なんかもういてもたってもいられなくなってしまい、後日1人でまた1ST KISSを観に行ってしまった。
そして、その足でまんまと1ST KISSのパンフレットとシナリオブックを購入し、1人で感動を噛み締めていた。
バレンタイン前に公開されていたこともあり、観た直後、夫にいつもより良いチョコレートを買って帰った。1ST KISSを観た後、しばらく優しい気持ちになれた。
夫と仲が悪くなった時は、また一緒に観たいなと思った。
あと、松村北斗はこれからも坂本裕二の作品にバンバン出てください。待っています。