日記
最近の私はというと、ネイリストになるために求職者支援訓練(いわゆる職業訓練)に通っていて、講座カリキュラムの一環でネイルサロンに実習に行っている。
全前職時代に上げた病み病みノートの数ヶ月後には転職したが、前職はさらに合わなくてすぐに辞めた。
業界柄か社内外問わず漂う体育会系の空気、マルチタスク、シンプルにオフィスワークが合わない性質のトリプルパンチにより5ヶ月で見切りをつけたのは我ながら懸命な判断だったと思う。そして今はネイリストになろうとしている。
実習先は梅田の店舗で、飲食店やクリニックの他、金券ショップにアダルトショップ、ぱっと見ではなんの商売をしているのか分からない怪しい店まであるなんでもござれビルの一角にある。
まあ楽しくない。一日中コットンやキッチンペーパーを細かい四角に切ったり、汚れたジェル容器をひたすら拭く作業をしている。単純すぎる作業というのは逆に精神を削るのだ。そしてなんといっても掃除が行き届いてなく、ふと目をやればサロンの至るところに爪を削ると出る白いダストが積もっているので毎度ゲンナリしてしまう。
特に従業員用休憩室が汚い。6畳あるかないかの部屋に冷蔵庫ちゃぶ台ハンガーラック私物入れの荷物棚などが押し込められており、しかもこの部屋だけなぜか薄暗い。この店舗で働くネイリストはこの部屋の地べたに座って食事や休憩をとっている。ちゃぶ台の上には食べかけ飲みさしのお菓子がペットボトルが置かれ、加えて電子タバコOKなので吸い殻入れの小さいゴミ箱が溢れ帰っている。
ただ、そんな女版タコ部屋(と私は密かに呼んでいる)にて思いがけない実習中の癒しを得た。実習3日目の帰り、私物とアウターを取りに休憩室に入るとある貼り紙が目に入った。それは私物には名札をつけて管理すること、付けられてないものは1日の最後に捨てられるというような内容。その名札なるものが冷蔵庫にぶら下がっていることに気づき、何気なく書いている名前に注視すると「りなぽよ」と書かれてあった。
ギャルすぎる。大体の人がネームタグキーホルダーのようなもの「これ名札ね」と手渡されたとき、迷わず苗字を書きはしないだろうか。私はそうだ。迷うとしたら苗字単体かそれともフルネームで書くかくらいである。不覚にもこのサロン実習で病んだ精神をこのサロンのギャルパワーで養ってしまった。そして5日目の今日、誰もいない休憩室で全ての名札をじっくり見てみた。りなぽよだけでなくこんぴそ、うーたん、かほぽん、まおたすがいた。こんぴそ。すごい、すごすぎる。私も柔軟な脳みそを持ちたいと思った。
今日は起き抜けからカレーライスが食べたい一日だったので、絶対にカレーライスを食べようと意気込んでいた。かつ、実習中は休憩80分という縛りがあるので食後もゆっくりできるところがいい。しかし、女タコ部屋内の治安を信用できず、盗難を恐れて家に財布を置いてきているので、電子マネーが使える店のみからゆっくりランチできるお店を選ぶとなるとかなり限られる。この条件に当てはまるのはファーストフード店かカフェになりがちで、先週から小麦ばかり食べている。でも今日はカレーライスの気分だ。あと食後にラッシーが飲みたい。そうしてかなり絞られた条件下で辿り着いたのは楽天ペイが使えるインドカレー屋で、5口程度のライスと顔二つ分くらいの大きさのナンを食べた。結局小麦エンド。
食べ進めていると前頭白髪のおばあちゃんが入ってきて、店員さんに存在感を示すことなく静かに席に着いた。注文のために店員さんを呼ぶ「すみません」の声も小さく、代わりに呼んであげようか迷ったタイミングで他のお客さんがレジに向かったりして、おばあさんが気付かれるまでに食事よりそちらに気が逸れてしまった。最終的におばあさんは私と同じダブルカレーセットのチキン抜き(カレーにも副菜にもチキンが入っている)を頼んでいた。それなら別のメニューを頼めばいいんじゃ、、とまた余計なことを考えつつ、同じく鶏肉が食べられない母方の祖母を思い出したりした。
それにしても、食事をしているおばあちゃんというのはどこか可愛らしいと思う。先日、15時頃に通りかかったミスドの前で1人店内でドーナツを食べ終わったであろうおばあちゃんがいて、おやつの時間にドーナツを食べるおばあちゃんにほっこりしたばかりなのである。ミスドのおばあちゃんを思い出したり、インドカレーを1人で食べるおばあちゃんというのはなかなかレアな場面に立ち会った気がするわねと思ったりしながら私はナンもライスもしっかり完食し、またネイルサロンに戻った。残り1日の実習もなんとか乗り切りたいたいし、明日こそは米が食べたい。