Nice Song Avenue #5 3月のせい / 鈴木祥子 ~好きなラジオでの出会い〜
2023年様々なきっかけで出会い耳にした素晴らしい楽曲とそのエピソード紹介する、Nice Song Avenueというこちらの企画。
5曲目は
3月のせい / 鈴木祥子
です。
結構これまで大ファンの大好きな音楽についてガツガツ書いてきたので、箸休めな意味も含め今回は少しサラっと。
って、雑な紹介にならないように気を付けよう(突然の自戒)
さて今回のこの曲、どこで出会ったのかというとラジオなのです。
毎週欠かさず聴いている番組がありまして、J-WAVE日曜夜8時から放送されている「TRAVELLING WITHOUT MOVING」という番組なのですが、
「ここにいても、旅はできる」そんなタイトルコールから始まる番組。リスナーさんの旅のエピソードとその旅にまつわる音楽を紹介したり、時にナビゲーターの野村訓市さん自身の旅のお話やお好きな音楽を紹介したりという番組です。
番組内でかかる音楽は日曜夜8時という時間帯を意識した、そっと寄り添うチルなサウンドのものばかりが流れ、一度流した曲は流さないというスタンスでかれこれ8年半、様々な音楽を届け続けてくれているとても素敵な番組です。
そんな番組で今回の曲は出会ったのですが、番組の構成は1時間の番組内で基本洋楽曲のみを流し中盤で1曲のみ邦楽を流す、というものなのですが年に数回この逆転バージョン、邦楽曲のみを流し1曲のみ洋楽、という放送回があるのですがその回で出会いました。
邦楽放送回はその通りで邦楽が多く流れるのですが、「くるりにもこんな曲があったのか」「ユーミンにこんな曲があったのか」と、よく知っているアーティストの知られざる曲に出会うことが多いです。ただ時に、こんな音楽が世にあったのかと全くの新しい発見に目をみはることもあります。今回の『3月のせい』はそんな曲でした。
ノイズがかったイントロからAメロへとつながっていくのですが、イントロはメジャースケールなのにそれは実はマイナーキーの裏をとっただけでAメロで急に本来のマイナースケールに転じる。そこから一気にダウナーな景色が広がるのですが、サウンドもボーカルもとても親近感がある。BONNIE PINKの初期に少し似ているのかなとも思いました。調べるとこの『3月のせい』が収録されたアルバムがリリースされていたのが1997年なので、だいたい同時期か。
BONNIE PINKが出てきたので少し触れておくと、『A Perfect Sky』こそ晴れやかで最もポピュラーな曲ですが、初期のアルバム『Blue Jam』『Heaven's kitchen』といったあたりは非常にビンテージ感がありモノクロな景色が想起されます。このモノクロ感がとても好きで、『3月のせい』にも同じ色を感じました。暗雲が立ち込めるような低いベースの連打と、スナッピーとゴーストノートが響きまくるスネアの音は気だるくもとても心地よい。
『3月のせい』というタイトルですが、3月といえば少し気候も暖かくなり、桜も咲き始めるどこかワクワクする季節ではあるのですが、ふと夜になるとそれはまだまだ肌寒く、なんだか昼間の気分の良さがどこかにいってしまうかのようなもの寂しさがあります。そんな早春に振り回される人の気持ちを描いたかのような1曲。春を待つこの季節にぜひお聴きください。