タイBLとかの話
いまのツイッターアカウントを開設したころはタイで生活していたのですが、コロナとか体調とかいろいろあってすっかり遠のいています。日本のパスポートは最強なので使ったほうがいい。それはそう。使いたい。
タイはすごく好きな国です。別に目的があって行ってたわけではないんですが、妹んちに居候させてもらってブラブラ散歩して屋台でご飯食べて、たまに仕事してたまに寺に行くというような生活をしていました。
帰ってきてからLDHにハマり、そのLDHの子たちがタイを中心にがんばっているのを見て、縁があるな……と思ったりしています。
バリ(BALLISTIC BOYZ)と超カワイイ曲でコラボしたガルフくん、長身の男前で笑顔がかわいくて、でもこの人って歌手じゃなくて俳優だよな……と思って調べたら超有名なBLドラマの人だったので、そこからタイBLを能動的に観るようになりました。バンコク在住の上の妹が帰省してくるときはわたし・上の妹・下の妹でタイBLを観たりするんですけど、そのときは大してハマらなかったので、何事もタイミングです。
その妹に「去年タイでヤバいほど流行ったドラマだよ」と勧められたKINNPORSHEを観たらオタクの幻覚を特濃で流し込まれるようなBLで、なんでこれを避けていられたのかと思うほどドンピシャでした。
ストーリーはまあ、タイドラマっぽいハチャメチャ具合なんですが、脚本のバランス感覚がよく、いろいろな国での展開を見据えて危ない表現や通じにくいギャグは削いでいて、短い尺の中でいろんなことが起こるので目が楽しい。しかも画にお金がかかっていて本当にリッチ。
『何者かに追われていたマフィアの御曹司を成り行きで助けたらボディガードにスカウトされ、一度は断るものの主人公には大借金があり、半ば身売りのような形でボディガードになり、任務をこなすうちに御曹司と恋に落ちる。しかし御曹司は身近な誰かに命を狙われていて、主人公には本人も知らない秘密があった』というのがキンポルのあらすじです。もうマジでこのまんまの話です。
サブカプが良くて(良すぎて)結局原作本を取り寄せるに至ってしまいました。タイ語。しかしタイ語は本当に読めないので、ウェブ配信の英語版を読んでいます。本編軸の英訳は途中までドラマで作中最悪の敵を演じていた俳優さん(バイブルくん)がしており、たぶん翻訳した当時は大学生だった頃なのですが、こんなドエロい小説を……あんな若い男の子が……仕事とはいえそんなことが……。
ただ、その翻訳作業のあとに撮影したと思われるドラマは俳優さんのキャラ解釈が初演技と思えないほど気合いが入っていて本当に良かったので、きっと原作を読み込んだからなんだろうな〜と思っています。やることなすこと極悪なのに喋り方がとても優しく丁寧で、気遣いがうまく、社会性のある悪者!そんなん大好きに決まっとるな〜!
というわけで、実写BLが大丈夫で、年末年始に10時間ほどお時間がある方は是非ごらんになってください。U-NEXTで独占配信中です。一気に観るのをお勧めします。感想はわたしのほうに言っていただけるとわたしがたすかります。
実写BLといえばアマプラ配信の「赤と白とロイヤルブルー」、これもすごく良かった。愛と夢に溢れた話でした。アメリカ大統領の息子とイギリスの王子が恋に落ちる話なんですが、ふたりに共通した夢が「よりよい世界を作る」で、高貴な精神とひたむきな願いを感じて良かったです。現実はそういうわけにはいかないし、実際そんなにうまく行くことはないというのはみんな知っていることではありますが、このフィクションが広く受け入れられているのはとても希望に満ちているな〜と思いました。惜しむらくは尺の都合で撮ったシーンを1時間以上削っているらしいこと。大好きなシーンも削られていたので残念です🥲キャラも圧縮されており、二人がひとりになったり、某キャラの役割を別の人がしていたりします。でも全体的にうまくまとまっていて良かったな〜。
もうひとつ素直に感動したのはタイBLのNOT MEでした。これはBLというよりは、タイ社会の有り様に悩み異議を唱える若者たちの話で、その中にエッセンスとして男と男の恋愛がありますよ〜という感じ……。
障害者や性的マイノリティへの差別や偏見をなくしたい、富を集約している特権階級の非道を許せない、そういう気持ちを持った若者たちが、自分なりのやり方で社会に意見するというストーリーですが、アーティストが何人か出てくるんですね。ウォールアートで意見したり、ダンスで意見したりする。作中作品がかなり素敵で説得力がありました。
理想の世界を目指したいけど暴力しか手立てがない少年、理想と現実のギャップに苦しむ大人、理想のためなら手を汚す青年など、さまざまな人が出てきて、自分の世界を探している話です。タイトルの「NOT ME」が回収されるシーンで、ああ〜〜……よかった……と思いました。
社会問題の象徴としてひとりの悪者だけを据えていたので俺たちの戦いはこれからだENDではあるのですが、主人公グループのうちのひとりが友達に激励されるシーンが熱すぎて泣いてしまいました。
GMMは手堅い画づくりにほどほどの予算て感じの作品が多いので、絵的にはそこまで惹かれなかったのですが、翻訳の言語感覚がところどころとても素敵でした。
主人公の仲間である画家のヨック(ファーストくん)という子が肩に鳥、脇腹にでかく漢字で「母」というタトゥーを入れていて、大柄で乱暴で優しくて笑顔がかわいくていいな……と思って演者のほかの作品もふたつ観たのですが、倫理的にかなりまずい表現があって、あまり日本人向けではないかもな……と思いながら見ました。どちらも主演なのに本当にかわいそうな役柄だったのもキツかったな……いい作品に出てくれ〜たのむ〜
でもタイ人も「美強惨」が好きなんだろうなということはわかる。わたしも大好き。強くて美しくてかわいそうな目に遭う男、いろんなパターンで見たいです。