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死ぬこと以外かすり傷⇔生きてるだけで致命傷

 「死ぬこと以外かすり傷」と言って誰かを励まそうとする人がいる。非常に無責任だな、と思ってしまう。

 言葉が暴力になりうることは今や周知の事実である。言葉により人は救われ、言葉により人は殺される。
 「死ぬこと以外かすり傷」は、一部のひとにとっては唯一の救いになる言葉かもしれない。ただ一方で、一部のひとにとっては絶望の言葉になるだろう。なぜなら、私が負った傷の程度は、私にしかわからないから。第三者に傷の程度を評価されたくない。それをやっていいのは火傷の程度を診断する皮膚科医くらいだと思う。ちょっとふざけた。

 あなたにとってそれはかすり傷、でも私にとってこれは致命傷なの。分かってほしいとは思わない。だけど、生きてるだけで、こんな些細なことだけで致命傷を負ってしまう人がいることを心の片隅にとどめておいてほしいい。無理を言っているのは重々承知している。
 いつか私が消えるその日まで、どうか少しでも世界が住みやすいものになりますように。世界を変えるよりも、私が消える方が圧倒的に簡単で、実現可能性が高いのだけれど。

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