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コード教育プロジェクトの歴史

プログラミングの学校教育への導入の世界的な潮流と、2020年度からの日本の小学校でのプログラミング教育の必修化の決定をうけて、大学生らがプログラミング教育のあり方について興味をもったことから、名古屋文理大学において、2017年度に学生らによる「コード教育プロジェクト」が始まった。

このプロジェクトでは、これまでに、実際に小学生などが利用できる教材の開発や、小学生向けのプログラミング教室の開催を行なってきた。

小学生へのプログラミング教育の背景は、パーソナルコンピュータの歴史まで遡ることができる。LOGO(1967年,シーモア・パパートら)にはじまる「教育用プログラム言語」の思想は、Squeak(1996年,アラン・ケイら)、Viscuit(2003年,原田康徳)、Scratch(2006年,ミッチェル・レズニックら)のような、構成主義に基づく発見的学習を目指す教育用プログラミング言語の開発に受け継がれた。それに加え、2006年以降STEAM教育(児童・生徒が、 Science(科学)、 Technology(技術)、 Engineering(工学)、Arts(芸術・教養)、Mathematics(数学)を統合的に学べる様にする教育)の手段のひとつとして、また、情報社会における問題解決のためのリテラシーとして、さらに、プログラミング的思考力を養うことを目的として、「プログラミング」を教育に取り入れる動きが世界で進んできた。
日本でも、2016年の中央教育審議会答申により、来るべきSociety5.0に向けた教育改革の一環として、2020年度からの小学校でのプログラミングの必修化、2021年度から中学校の技術家庭科のプログラミングに関する内容の充実、および2022年度高校の情報科で「情報Ⅰ」を新設して普通科でもプログラミングを必修とすることが示された。なかでも小学校のプログラミングは教科を新設することなく新たに「プログラミング的思考を育成」することを目指すものであり、どの教科でどのような授業をどのような教材で教育するのかに興味が集まることとなった。

名古屋文理大学の学生プロジェクト「コード教育プロジェクト」は2017年から活動を始めた。まず、早くからコード教育に着目して日本に米国製の小型ロボットOzobotを輸入し、教育活用のための指導者育成を企画していたCastalia社からOzobotの紹介を受け、日本の複数の大学をオンラインで繋いで行われた研究講座Code/Eduの愛知会場を名古屋文理大学稲沢キャンパスに設けてコード教育に関する研究体制を構築した。

↑などに記録が公開されている様に、2017年度、2019年度にCode/Eduとして、近隣の一般参加者とともにコード教育についての研究を進め、同時に、2017年度から稲沢市の公開講座の1つとして「小学生プログラミング教室」を実施してきた。また、稲沢こどもフェスティバルや名古屋文理大学学園祭「稲友祭」でも、Ozobotのデモンストレーションを行なってきた。

これまでに、実施・したイベントは以下の通りである。

2017.5-8月「CodeEdu/2017前期講座」に参加
2017.6/11 稲沢こどもフェスティバル「Ozobot体験」出展
2017.8/3,4 公開講座「小学生プログラミング教室」開催
2017.10/21,22 学園祭「第19回 稲友祭」出展「Ozobot体験」
2018.6/11 稲沢こどもフェスティバル「Ozobot体験」出展
2018.10/20,21 学園祭「第20回 稲友祭」出展「Ozobot体験」
2018.8/1,2 公開講座「小学生プログラミング教室」開催
2018.11/17,12/1,12/15連続講座「小学生プログラミング教室」
2019.5-8月 「CodeEdu/2019前期講座」開催(名古屋文理大学)
2019.6/9  稲沢こどもフェスティバル「Ozobot体験」出展
2019.7/27 「Ozobotフェスティバル」(東京市ヶ谷中央大学)
2019.8/7,8 公開講座「小学生プログラミング教室」開催
2019.10/26,27 学園祭「第21回 稲友祭」出展「Ozobot体験」
2021.3/29 公開講座 1日「小学生プログラミング教室」開催
2021.8/5,6 公開講座「小学生プログラミング教室」開催

(新型コロナ感染予防のため、「こどもフェスティバル」(2020年度,2021年度),「公開講座」(2020年8月),学園祭「稲友祭」(2020年度)は参加または開催が中止となった。)

Ozobotは世界中で様々な教育的活動に利用されている。たとえば、サインペンで紙にラインを引いてロボットを誘導するのは幼児から楽しめる。カラーコードOzoCodeのシールを紙に貼って進路を制御することで問題解決に取り組む課題は小学校低学年から高学年まで様々な課題が考えられる。さらにブロックプログラミングOzoBlocklyでオリジナルのプログラムを開発するのは小学校高学年から中・高生にも教育的な利用価値がある。またiPadの専用アプリでライントレースや点滅型のカラーコード、OzoBlocklyまで実行可能である。こうした様々な利用法は、コード教育プロジェクトでも教材の工夫をこらして活用してきた。さらに名古屋文理大学のコード教育プロジェクトで、他にはない工夫をして開発した教材として、以下の様なものがある。

1)カラーのモザイク上でOzobotにダンスをさせる課題↓

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2)Ozobotにペンを固定してオリジナルの図形を描かせる課題↓

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3)走行ラインとカラーコードが一体のタイル型マグネットカード教材↓

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これらは、コード教育プロジェクトのオリジナルである。プログラミング教育の理念や目的を踏まえて考案したものであり、小学生向けプログラミング教室で実際に利用した。

これまでに実施してきたプログラミング教室は、いずれも定員を大きく上回る受講応募があり、抽選の結果、受講いただいた小学生やその保護者からも概ね好評を得ている(受講者アンケートの結果などによる)。

2020年度から実際に小学校でプログラミングが実施される様になり、GIGAスクール構想による一人一台のタブレット利用も実現した。小学校ではScratchまたはViscuitによるプログラミングが行われることが多いと思われる。

↓2021年度の公開講座の様子

コード教育プロジェクトでは、これまでにも、Ozobot以外に、Viscuit、Scratch、そして人型ロボットPepperのプログラミングなども、小学生プログラミング教室で実践してきた。今後は、小学校での授業も踏まえて、実物(小型ロボットなど)とプログラムの関係を実感できるプログラミング教育、そして小・中・高校で必修化(高校では2022年「情報I」で必修化)するプログラミング教育も考慮した教材開発を行なっていく必要がある。

↓こちらも参照



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