2017年ミリオンロックのバックホーンを振り返る
「真ん中くらいで落ち着いて観ようか」
当時付き合っていた彼女(現在妻)にライブが始まる前にこんなことを俺は言った。妻が激しいライブに慣れていないということで、人があまり密集していない所で落ち着こうと思い提案をした。
この時、まだこの発言が壮大なフリになっていることに俺は気付いていなかった。
バックホーンを生で観るのは3回目だった。1回目はサマソニで。2回目は9mmとの対バンツアー(決闘披露宴)で。確か2014年のライブだったと思うから約3年ぶりのライブということになる。ちなみにマニアックヘブン(イキルサイノウ再現回)のチケットを確保していたのだが、入金を完全に忘れてしまい行くことができなかったため、そのリベンジということでとても期待をしていた。
直前にラジオの公開収録みたいなイベントがあり、山田さんと松田さんのトークが聴けた。正直内容はあまり覚えていないのだが、松田さんが「バックホーンには季節感のある曲がない」という趣旨の発言をしていたのだけは覚えている。この際メンバーへの質問タイムが設けられ、たまたま手を挙げたら当ててくれたので2人に金沢の印象を聞くことにした。松田さんは「街の雰囲気がとても良い」(めちゃくちゃ意訳)と言ってくれた。山田さんからは「能登で日本酒のお祭りやってますよね?」とパスを受けたのだが、全くお酒に詳しくなく「すみませんわかりません」とか弱く答えるだけであった。そんな俺を見た松田さんが「まああのお兄さんも日本酒の人じゃないですからね」というフォローをしてくださったのが今でも忘れない。松田さんはとにかく人間味があって温かい。
そしてライブが始まる。冒頭でも書いたように会場のPA卓の前あたりの空いている場所を陣取り、1曲目が始まるのを待つ。そしてミドルテンポのカウントから山田さんが歌い出した「立ち上がれ」という歌詞を聞いた瞬間、頭で考えるよりも先に「前行ってくるわ!」と言い残し、この時付き合ってまだ2ヶ月の妻を取り残して最前列に突っ込んで行った。普段のライブでは終盤の盛り上がり最高潮のタイミングで解き放つ刃がまさかの1曲目。そして間髪入れず速いカウントからスタートする戦う君よ。イントロの段階でまたもや異常な盛り上がりを見せ、「もしかして今日のライブは2曲で終わるのか?」と本気で思った。MCを挟んでゆっくり始まる冬のミルク。めちゃくちゃ季節感のある曲があった。そして、あなたが待ってる、孤独を繋いでと続く。この時の孤独を繋いでは調べた限りだと2回目の演奏だったみたい。最後はコバルトブルー、シンフォニアという鉄板の流れでライブは終了。
この日のライブは間違いなく自分をバックホーンの沼にはめる熱量があった。この後すぐに秋に開催される第三回夕焼け目撃者のチケットも取ることとなる。妻を置き去りにしてライブを堪能したことはほんとにすいませんという感じではあったが、色々ありとても記憶に残る1日となった。