デンマーク・フォルケホイスコーレ留学記② : 私が苦戦したこと・学んだこと
是非、デンマーク・フォルケホイスコーレ留学記①からお読みください!
https://note.mu/hsedu/n/n77114db3ab41
①の続き
<フォルケホイスコーレで私が苦戦したこと・学んだこと>
私は人生で最もしんどい時をフォルケホイスコーレで過ごした。
そのしんどさは、自分自身と向き合うことで感じたものだった。
Krogerup Højskoleは森の中にある全寮制の学校のため、まるで牢獄に入れられたかのように閉鎖的に感じることがあった。
写真:最寄り駅から学校までは、森の中を歩いてゆく。
24時間1つのコミュニティのみに属している状態が続くため、お互いの文化・感性・個性を尊重しあい、時には歩み寄ることが必要となる。
そのため、フォルケホイスコーレでは「対話」が重要視されている。
フォルケホイスコーレでは試験や成績評価が一切存在しない。授業では、唯一解がない問題について自分の視点で考え、仲間とのコミュニケーションを通して学びを深める。一人で勉強してテストでよい点数をとることではなく、仲間とコラボレーションしてクラスに貢献することが求められているのだ。
フォルケホイスコーレに留学してからの数ヶ月間、私にとってこの環境は居心地のよいものではなかった。
日本の一般的な学校教育で、求められている唯一解を的確に答えて良い成績をとることを身につけてきたわたしにとって、この学習環境は未知の世界であった。私は他人から自分自身の考えを評価されることや、自分の思考が浅いことが知れ渡ることを恐れた。その結果、考えていることを言葉に出して伝えることができなかった。過去の経験から人一倍競争心が強いこともあり、他人の意見を自分のものさしで評価しては、妬みのような感情を抱いてしまうことさえあった。そして、そのような感情を抱いてしまう自分が憎くて仕方なかった。
「世界一幸せの国」と言われている国で、私は幸せになれないになれないのだと思うと、とても悲しかった。人に相談することが苦手で、1人で悩む時期が続いた。そしてついに溜まっていた感情が爆発して、涙が溢れ出した日があった。
そのときに助けてくれたのは、一緒に生活をしている仲間だった。思っていることをすべて正直に伝えた。彼らの気持ちも素直に聞いた。
この対話を通して、彼らが私の個性を受容して支えてくれようとしていることがわかった。
わたしはこの時から、彼らを「敵」ではなく「仲間」として見るようになっていった。「対話」は思い込みを解消してくれることがあることを知った。
Krogerup Højskoleでジャーナリズムの授業を担当しているJesper先生は、フランスの哲学者ヴォルテールの名言を紹介してくれた。
” I disapprove of what you say, but I will defend to the death your right to say it.(私はあなたの意見には反対だ。だが、あなたがそれを主張する権利は命をかけて守る。)”
この言葉は私の胸に強く響いた。この日をきっかけに、自分の考えを発信することと、他人の考えを理解することの両方を心がけるようになった。すると、仲間との対話を通して、お互いの考えがより磨かれていくことに喜びを感じられるようになった。
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いかがでしたでしょうか。今回の内容は「月刊社会教育2019年2月号」で取り上げていただいていますので、是非御覧ください。雑誌では、各授業での面白い取り組みなどについても詳しく紹介しています!