長期間の感染症対策と燃え尽きの懸念
ストレスは今やおなじみの用語になりましたが、ストレスの研究者セリエは、ストレスに対する体の反応を「汎適応症候群」と名付け、大きく①警告反応期②抵抗期③疲憊期の3つに分類しました。
まず、ショックを受けて一旦生理機能が低下しますが、急速に持ち直すします(警告反応期)。高まった抵抗力とストレスが拮抗し一時的に均衡状態に至ります(抵抗期)。そこでストレスが緩和されないでいると、次第に体のほうが抵抗力を維持できなくなってきて、エネルギー切れを迎えてしまいます(疲憊期)。ここに至ると、長時間継続するストレッサーに心身が対抗できなくなり、抵抗力が衰え、うつ病などの罹患リスクも高まってきます。警告反応期のショック相に見られるような症状や、不安や抑うつといった精神症状、胃潰瘍などの消化器障害などの身体症状も引き起こします。
感染症による活動制限を長らく続けてきましたが、そろそろ疲憊期に差し掛かる頃だと思います。しかもここに来て感染者増では、再度警告反応期に突入せざるを得ないのでしょうが、そのための資源はすでに枯渇気味です。当面、疲憊期が続くとなれば、慢性的な疲労や燃え尽きが懸念されます。
先の見えない状況ですが、何よりも重要なのが、食事と睡眠、休息です。立ち向かうだけでなく、距離を取ることが助けになることもあるでしょう。不安な気持ちを表現することも時には必要です。表現することは、不安な対象から離れることにもつながっていきます。アマビエが流行りましたが、アレもまた、疫病退散をアマビエとして象徴的に表現する遊びを通じて不安を緩和しようとする人間の自然な営みだと思います。話し(離し)たり遊んだりすることは、カウンセリングの得意とするところです。一人で抱えきれなくなったら、遠慮なくお声掛けいただければと思います。