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freeeに入社してくる未来の新卒デザイナーへ、僕の6年間の実践知をすべて伝えます。

皆さん、はじめまして。
freee株式会社でfreee会計というソフトのDesign Leadをやってるはるたんです。freee Design Magazineの編集長(自称)としても活動しています。

今年は、freee Designers Advent Calendarとして、12月25日まで毎日いろいろなメンバーがブログを書いていきます。デザイナーだけでアドベントカレンダーを実施できるようになったことが本当に感慨深い。

はじめに

さて、記念すべきfreee Designers Advent Calendar第1本目の記事では、今後freeeに入社してくる新卒デザイナーに向けて記事を書いてみることにしました。

2016年4月にインターンとしてfreeeに入社し、2018年4月に新入社員になりました。経営学部会計学科卒の私は、ここfreeeがデザイナーとしての最初のキャリアです。僕がデザイナーとして学んだすべてのことはfreeeでの実践によって得たものです。

他の会社で役立つ話ができるかわかりませんが、少なくともfreeeで育った僕の実践知は、freeeに入社してくる新卒デザイナーにとって参考になる部分が多いと思います。

インターン1年目から今に至るまで、時系列で書いていこうと思います。不明点があれば入社してから僕に質問してください!

①クビ寸前だったインターン1年目時代

2016年のhrtn

2016年4月、僕はfreeeにインターンとして入社した。最初の1年は本当に仕事ができなかった。デザインチームのMTGに参加して何も発言できずにMTGが終わったり、新しい案件が来ても最初に何をやったら良いか分からず、メンターに言われたことをひたすらこなす。つまり、メンターがいないと何もできない。僕はあまりにも仕事ができなかった。当時の開発本部長は僕をこのままインターンとして働かせるべきかどうか真剣に考えていたとのこと(笑)。まさにクビ寸前の状態で始まったデザイナー1年目

幸いにも僕はマネージャー(Sさん)とメンター(Kさん)に恵まれた。マネージャーであるSさんは、2週間に1回僕と1on1の時間をとってくれた。その1on1では僕が今持っている案件で何をやっていて、これからどのように進めようとしているかを聞いてもらい、進め方で問題がある部分を徹底的にフィードバックしてくれた。

そこで身につけた仕事の進め方が今でも土台となっており、その土台を1年目で身に付けることができたので、今の自分があると言っても過言ではない。

1年目の仕事の進め方

  1. プロジェクトのゴールを理解する

    1. 既に決まってたものを理解する

  2. 現状を把握する

    1. PdMに聞く (ユーザーリサーチというものを当時は知らなかった)

  3. 課題を見つける

    1. ゴールと現状のギャップを整理する (このフレームワークをメンターから教わる)

  4. 解決策を考える

    1. 課題を解決するためのアイデアを闇雲に出す(特に根拠はない)

    2. freeeで使われているUIを真似して、UI仕様を考える

目的と現状のギャップから課題を導き出し、その課題を解決するための案を考えていくという進め方は、当時の僕にとっては目から鱗だった。もちろん一朝一夕で身につけたものではなく、何度も何度も案件で失敗し、マネージャーと1on1を繰り返しながら体で覚えていったものである。

一方、仕事の進め方を理解できても、「現状をどうやって把握していくのか?」「課題はどう見つけるの?」「解決策ってどうやって考えれば?」という実践部分でのハードルが残った。僕はメンターのKさんによるフィードバックでこの問題を解決していくことができた。

特に「1度もらったフィードバックは2度と繰り返さない」という教えだ。メンターから言われたメッセージは、失敗を繰り返していた僕の心の支えになった。

1度目の失敗は失敗とは言わない。その失敗から学び、次に活かすことができる。本当の失敗は、同じ失敗を繰り返す人。それは何も学ばず、次に活かすことができていない。5年経って、同じような過ちを繰り返していたら誰も気にかけてくれないよ。
デザイナーになった後に大事にしていたこと

マネージャーとメンターからフィードバックを受けることで、できないことを1つずつ潰していきながら1年目を終えた。

②伸び悩みを感じた2年目

2017年、2年目になると1人で任される仕事も増えてきた。1年目にマネージャーから叩き込まれた仕事の進め方も前年と比較して少し進化した。とはいえ、大枠自体は変わらず、各フェーズでやっていることの意味を理解しはじめたり、いろんな手法に挑戦し始めるようになった。

2年目の仕事の進め方

  1. ゴールについて深く理解する
    - なんでそのゴールなんですか?が言えるようになった。提案はまだ。

  2. 現状を理解する

    1. ユーザーテストでプロダクトのユーザビリティに関する問題点を明らかにすることができるようになる

    2. 社内でカスタマーサポートと会話してプロダクトの現状をヒアリングする

    3. 定量データの大切さを理解する

  3.  課題を明らかにする

    1. カスタマージャーニーマップを作ることを覚える

    2. 利用するユーザーやフェーズによって課題が変わることを学ぶ

    3. どの課題を解くと良さそうか?のあたりが今までもつけやすくな

  4. 解決策を考える

    1. 解決するアイデアを闇雲に出す。いわゆるペルソナ作ったけど、その後どうすんの?状態に陥ってた(が、当時はそれを知る由もない)

    2. UIデザインに関しては、freeeで使われているUIを真似するだけの状態から、世の中のUIを分析して提案するができるようになる。各コンポーネントがどんな時に使われるかまでは理解できていなかった。

    3. UI案と実装されたものが違うことに気づき、自分で実装したくなる

少しずつできることは増えたものの、力不足を感じていた。新しい画面のUIを検討するとき、当時のプロダクトで使われていたコンポーネントをそのまま再利用していた。そのため、エンジニアやプロダクトマネージャーに説明するときに自信もなければ説得力もなかった。

この不安を解消していくために、僕はひたすら手を動かした。暇さえあれば様々なプロダクトのUIを模写しまくっていた。

もちろん、表層的なコンポーネントの理解だけで「特定のユースケースにおけるUIの妥当性」を判断できるようになるわけではないが、手を動かしまくって様々なコンポーネントを身体で覚えた経験は良かった。

③freee3年目、食わず嫌いをしなくて良かったと痛感したエンジニア研修

2018年大学を卒業し、freeeの新卒社員になった。僕はデザイナー新卒1期生として入社した。僕以外に新卒のデザイナーがいなかったこともあり、新卒研修はエンジニアの研修に参加することになった。

このプログラムはデザイナー向けのエンジニア研修ではなく、ガチのエンジニア向けのエンジニア研修だった。インターン時代に色んな案件を任され始めていた僕は、エンジニア研修なんてやらずに早く自分の案件の仕事をやりたかった。

最初はエンジニア研修に参加するモチベーションが持てなかったものの、知り合いのデザイナーに相談したり、コーディングの経験があるデザイナーにヒアリングする中で研修に参加する目的を整理した。

新卒研修の目的を書いたドキュメント
新卒研修の目的を書いたドキュメント
デザイナーとしてエンジニア研修を受けることに不安があったので、研修全体のゴールと各研修のゴールを設定し、研修による学びを最大化してみようと考えました。また研修後の振り返りを行うことで、来年以降のデザイナー新卒研修へ活かせるようにします。

新卒研修の目標が「3年後にCTOとなる人材を育てる」というものであり、明らかに現状の自分との乖離があると感じ、個別に目標を設定することにしました。
新卒研修目標設定ドキュメントより引用

当時書いていた新卒研修の目標設定を見返すとヤンチャなメモ書きが(笑)。今となってはエンジニア研修の知識が役立つことが多く、参加してよかったと思う。

ちなみにエンジニア研修の裏ゴールとして設定していた、研修期間中にサービスを1つ世に出すという目標を達成できたのは地味に嬉しい。

エンジニア研修で始まった3年目だが、仕事の進め方にも大きな変化があった。

3年目の仕事の進め方

  1. ゴールを提案する

    1. ユーザーインタビューをたくさんするようになり、もっとこうしたら良いのでは?というアイデアが日頃から浮かぶようになる

    2. プロジェクトの説明を受けるときもこういう方向性はどうでしょうが少しずつ言えるようになる

  2. 現状を深く理解する

    1. ユーザーインタビューすることを覚える

    2. どうインタビューするか?よりはとりあえず話を聞くってことが多かったが、業務理解は深まった

  3. 課題を発見し、優先度を決める

    1. あらゆる課題に対してその考え方を適用して優先度を決めるようになる

    2. 最初はユーザビリティ面しか考えてなかったが、徐々に「効率化に繋がるか?」や「事業インパクト目線でも評価できないとダメだ」ということを学ぶ

    3. IA観点で提案できるようになる

  4. 解決案を考える

    1. magiさんが実施してくれた社内研修に参加し、構造化シナリオ法という手法を学んだ

    2. 他のデザイナーのデザインデータを勝手に見て学ぶ

    3. About face3の輪読会に参加する

  5. 解決案の効果を検証する

    1. リリース前にユーザーテストを実施するようになる

    2. ユーザーテストをしないとリリースするのが怖くなっていた(というより、自分の解決案に自信がなく、ユーザーテストの結果を拠り所にしていたのかも)

目的と現状のギャップから課題を導き出し、その課題を解決するための案を考えていくプロセスは変わらないが、現状を把握するためのユーザーインタビューを実施するようになったり、同僚のデザイナーが実施してくれた社内研修で構造化シナリオ法などを覚えて、今までより深く検討できるようになっていった。

④3つのイベントを経て強くなった4年目

壁に付箋を並べて複数人で見つめている画像
コペンハーゲンのデザインスクールに1週間行った時の写真

新卒2年目、freee歴4年目の2019年。この年、スキル的に飛躍できたと実感したイベントが3つあった。

1つ目はデザイナー向けの新卒研修を0から自分で企画したこと。前年度にエンジニア研修に参加してたくさんの恩恵を受けたものの、19卒のデザイナーには、デザイナー向けの研修を受けて欲しいと思い自ら企画した。

今までなんとなく理解していたことを新卒のデザイナーに伝えるためには、暗黙知を言語化する必要がある。理解が浅い部分は研修として伝えることができないので、研修コンテンツを企画するために学び直すこともあった。この経験を通して、なんとなく理解していた知識が一つにつながった感覚がある。

このブログで一貫して「目的と現状のギャップから課題を導き出し、その課題を解決するための案を考えていく」プロセスが僕の土台になっていると書いたが、これを他人に説明できるようになったのもこの頃である。

2つ目のイベントは、CIIDというコペンハーゲンのデザインスクールに参加したこと。

海外でバックグラウンドの違うメンバーと1週間ワークショップをしたことで、「バックグラウンドの違いは偉大なアイデアの種になる」という気付きを得た。この経験から、仕事上で立場の違いから生じる意見のズレもポジティブに捉えられるようになった。

3つめは、freee会計のホーム画面リニューアルのプロジェクトメンバーになったことだ。

このプロジェクトでは「どんなに要件が曖昧なプロジェクトであっても、自分たちが届けたい想いを大事にする」「大きなリニューアルをするときは検証しやすい範囲でやるのが大事」という2つの学びを得ることができた。

⑤作る楽しさを再実感した5年目

2020年、 freee歴5年目を迎えた。感染症の流行があり、働く環境もオンラインにシフトした年だった。家にいる時間が長くなり、コーヒーやReact Nativeにどハマりした僕は人生で2度目の個人サービスをリリースした。

Reactを勉強してみようという動機はありつつ、単純に自分が作りたいサービスを作るのは面白かった。また、この時の経験はfreeeでUI設計する時にも役立っている。

実はこのサービス、作りたいを優先して雑なモデル設計をしてしまった。そのせいで、実現できることの制約になってしまった。リリースした後に修正する工数や難易度が最初から綺麗に設計した時に比べて100倍むずいことを理解できた。

⑥原点に立ち返り、学び直しの6年目

2021年、freeeにおける自分の役割が変わった。初めてLead Designerとなり、チーム全体のデザイン品質に責任を持つようになった。

とはいえ、この1年間は失敗ばかりだった。自分自身が持つ案件も増えてきたものの、人に任せずに全部自分でやろうとした。案の定キャパオーバーでプロジェクトの進行が遅延してしまうことが起きてしまった。

他のデザイナーのレビューをするときもレビュイーに考えさせる余地を残さず、ひたすら僕の考えを押し付けてしまうことがあった。僕自身が失敗する機会をたくさん与えられ、一つずつできることが増えたにも関わらず、レビュアーとなった僕が他のメンバーの成長機会すら奪っていた。

結局、このようなやり方ではチーム全体のデザイン品質を向上させることはできなかった。今でも正直悩むことは多い。

悩んだ時こそ原点に立ち返る。
「目的と現状のギャップから課題を導き出し、その課題を解決するための案を考えていく」

目的:
僕を含むプロジェクトのメンバーが、プロダクトを通してマジ価値を届け切るようにする。

“freeeには『freeeは「マジ価値を届けきる集団」である』というコミットメントがあります。「マジ価値」とは「ユーザーにとって本質的な価値があると自信を持って言えることをする」という意味で、この価値観がカルチャーとして全社員に根付いています。 freeeのデザイナーはこの「マジ価値」をプロダクト通して、ユーザーに届けていくための大きな役割を担っているチームになります。”
https://note.com/freee_design/n/n2bdb236fbe90

現状:
①リードデザイナーである僕が仕事を受けすぎている
②デザイナーのレビューをするときもレビュイーに考えさせる余地を残していない
…etc

課題:
①プロジェクトが遅延している
②メンバーの成長機会を奪っているため、長期的にマジ価値を届け切ることができない
…etc

「プロジェクトが遅延している。」に対する解決案:
①マネージャーに相談し、アサインを変えてもらう
②プロジェクトが始まった時に、ステークホルダーとスケジュールの調整を行う
③僕が全て仕事をやらず、他のメンバー(デザイナー以外も含む)に任せてみる
…etc

「メンバーの成長機会を奪っている」に対する解決案:
①今まで僕がやっていた仕事をメンバーに任せつつ、フォローできるようにしておく
②レビューの時に自分の意見を伝えずに、相手の考えを聞くことに集中する
…etc

noteを書きながら現状・課題・解決策を書いているので抜け漏れはあるかもしれないが、このように1つずつ整理していくと今とるべきアクションが見えてくる。もちろん今回書いた解決策は失敗をするかもしれない。

そんな時こそ、「1度目の失敗は失敗とは言わない。その失敗から学び、次に活かすことができる。」というメンターからの言葉を噛みしめつつ、挑戦を続けていきたい。

おわりに

今回の記事では僕の実践値を伝えると言いつつ、これまでの経験を振り返るで僕自身の整理をする良い機会になってしまいました。記念すべきアドベントカレンダー第1回目がこんな感じで良いのか?と思いつつ、何らかの学びに繋がると嬉しいです。

そして、freeeでは新卒のデザイナーを積極的に募集しています!

本日(2021年12月1日)18時からですが、プロダクトデザイナー向けの座談会やっているので飛び入り参加お待ちしてます。(もしイベント直前にこの記事読んだ方はTwitterで僕にDMしてください。参加URLを送ります。)

座談会後にこの記事を読んだ方は、直接以下のフォームからご応募ください。

明日は今年freeeに新卒として入社した、freeeの楽しさスパイス番長ひなちゃん(@5gjpt)から、「Web系デザイナーがオススメしたい作業が捗ってコスパも良い家具アイテム」の話ですー!

是非お楽しみに!

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