醤油差しペロペロテロなんかよりも本物のテロ対策を考えよう

選挙の応援演説のために訪れた和歌山で岸田首相が爆弾テロによりあわや、という事件がありました。SPと聴衆の方の活躍と、爆弾の威力が無かったため首相にも聴衆にも犠牲者が無かったことはなによりでしたが、昨年の安倍元首相を襲った銃撃事件のことを思うと、連年でこのようなことが起きたことに衝撃を受けてしまいます。

政治的主張を持たず、組織的な背景も持たないいわゆるローンオフェンダーを防ぐのは非常に難しいものです。テロ組織があればその内外での諜報活動でかなり予防は出来ますが、個人が誰にも打ち明けずに自分でネットで調べてホームセンターで材料を揃えれば、それなりの殺傷力を持った武器を作れてしまいます。日本ではまだ表面化していませんが、いずれは3Dプリンターによる精巧な銃による事件も起きてくるでしょう。

去年にしろ今回にしろ、事件が起きると日本のSP、要人警護や警察組織の問題を指摘する人はいますが、しかしかつて日本が最もテロに苦しんだ、1960年代~70年代においては現役首相や元首相が銃や爆発物で命を狙われるテロはありませんでした。岸信介、三木武夫らが刃物や素手で暴力を振るわれたことがありましたが、爆発物については、極左テロ組織が無差別テロで使用したくらいです。

昔は知識はネットで検索して数秒で得られる時代ではありません。爆弾の作り方自体が貴重な(但し褒められたものではない)知識でした。材料だって素性を知られずにチェーン店のホームセンターで買えず、個人経営のような金物店などで調達すると、公安らによって痕跡をたどりやすくなります。また、その後のオウム真理教でも組織的犯行によるテロでした。

そういう観点から見ると、かつての昭和から平成にかけての極左やカルト教団へのテロ対策は通用せず、完全な単独犯への対応が必要になってくる訳で、この点は国際的な協力によって知見を得て、地道に対策を立てていくしかないのでしょうね。

イスラム原理主義による個人テロにしろ、反移民思想による極右テロにしろ、政治的・社会的な思想の発露はたいていSNSに現れます。そういう過激な発言をするアカウントは閉鎖されるものですが、閉鎖だけではなくて警察への情報提供を求めるようになってくるかも知れません。さすがに、そこまで行くと警察国家批判は免れないでしょうけれど、それこそ欧米でそういう動きがあれば追随していくことはあるでしょう。

とりあえず、回転寿司の醤油差しをペロペロするテロなんかは鼻くそみたいなものです。もちろん被害を受けたお店にしてみたら大問題ではあるのですが、被害者と加害者で和解や裁判をすれば良いことです。

それよりも、本当に危険な人・危険な行動をどうやって防ぐか、ということはもうちょっと考えた方が良いでしょうね。

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