どこか→Jリーグ→ヨーロッパという移籍ルート

この夏、ガンバ大阪から2名の選手(ウィジョ・中村)がヨーロッパに移籍することになりました。

ファン ウィジョ選手 FCジロンダン・ボルドー(フランス)へ完全移籍のお知らせ
https://www.gamba-osaka.net/news/index/c/1/no/9836/
中村 敬斗選手 FCトゥウェンテ(オランダ)へ期限付き移籍のお知らせ
https://www.gamba-osaka.net/news/index/c/0/no/9838/


一方で宇佐美とパトリックが戻ってくるのでプラマイゼロですが、昨年のACLチャンピオンである鹿島アントラーズは何と3名(安西・安部・鈴木)も欧州移籍します。

安西選手のポルティモネンセSC移籍合意
http://www.so-net.ne.jp/antlers/news/release/72437
安部選手のFCバルセロナ移籍合意
http://www.so-net.ne.jp/antlers/news/release/72522
鈴木選手のシント=トロイデンVV移籍合意
http://www.so-net.ne.jp/antlers/news/release/72576

鈴木は怪我でプレーしていなかったものの、安部と安西の移籍は鹿島的には結構大変だと思います。

今に始まったことではありませんが、Jリーグから有望な若手選手がヨーロッパに移籍するのは当然のことです。ヨーロッパでもリーグとしては千差万別ですが、だいたい中堅クラスのリーグからトップクラスのリーグのクラブが移籍先になります。

Jリーグのクラブにとっては優れた選手ほど抜けていくのが早いことになり、サポーターとしても複雑な気持ちではありますが、それは移籍先のクラブのファンにとっても大して変わりません。

レアルマドリーやバルセロナは選手としてはゴールに近いような地位のクラブですが、大半は将来ビッグクラブでのプレーを夢見ての移籍ですので、ほとんどの移籍先クラブもまた別のクラブへの移籍を前提として所属することになります。

良いも悪いもなくこれが世界のサッカー界の標準みたいなものですから受け入れるしかないのですが、Jリーグとしては日本国内や周辺各国から集めて育ててまた欧州に移籍させる、というプロセスを選ばざるを得ません。それを否定してしまうと、そもそも優秀な選手が来なくなってしまいます。そしてそれはヨーロッパでもごく一部のビッグクラブ以外のクラブにとっても当然のことです。ボスマン判決以降加速した選手獲得のグローバル化がJリーグを完全に飲み込んだ状況です。少し前はA代表あるいは選ばれてもおかしくないレベルの選手くらいしかヨーロッパ移籍は出来ませんでしたが、最近では青田買いが進みA代表経験がなくてもポンポン移籍していきます。

多額の違約金で移籍する場合、その選手を若い時期に育てたクラブにも「連帯貢献金」がもたらされます。直接売却したクラブほどの利益にはならないものの、例えばバルサに数十億円で売却とかまだ出来ないJリーグクラブにとってはこの「連帯貢献金」はそれなりに重要です。

岡崎慎司がもたらした知られざる経済効果。中学時代を過ごした街クラブに1300万円を生む『連帯貢献金』とは
https://www.footballchannel.jp/2016/06/16/post158332/2/

この「連帯貢献金」や育成補償金、違約金を用いてまたアカデミーでの育成や他クラブからの有望選手獲得を行い、チームを再構築して、またいい選手が育ったら送り出して、そして宇佐美や内田のようにまた元のクラブに戻ってきてプレーする、というサイクルがすでに始まっています。

日本人だけではなく、ブラジル人選手や韓国人選手も多数、Jリーグ経由でヨーロッパに移籍しています。フッキやパクチソンのようなケースも今後はますます増えていくでしょう。

最近ではアジア戦略の中でタイやベトナムの代表クラスの選手がJリーグに来ています。彼らがJリーグでのプレーの中でさらに成長し、ヨーロッパに移籍するようになってくれば、Jリーグが世界のサッカー界の中で一つの重要な基盤になったと言えるのではないでしょうか。


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