ジャニーズ問題と「恥」と「空気」
日本人の行動原理は、「恥」と「空気」によると前にnoteで書きました。
前者の「恥」はルース・ベネディクトが、後者の「空気」は山本七平がかつてトピック化して分かりやすく説明してくれたものですが、この2要素による「日本人の動き」は、この度のジャニーズ問題においても同じに思えます。
事の経緯としては、BBCがジャニー喜多川による性加害問題を大々的に取り上げ、最初は日本のマスメディアではほぼ黙殺されていたものの、SNS上ではずっと注目された状態が何ヶ月も続いている内に、メディアでも取り上げられるようになり、そしてついにはジャニーズ事務所を事実と認め、企業各社がCM中止したり、テレビ番組への出演停止などに発展しました。
最初のBBCによる取材という「外圧」があって、日本社会がようやく反応して変わる、というのは昔からのことであり、外圧が無ければ変われないという自浄能力の無さはまさに折り紙付きとも言えますが、ジャニーズ問題だけの話ではありません。
また、外圧と似ている論理になりますが、日本の「恥」になるから駄目だ、という理屈もよくあります。実際の被害者救済のためではなくて、日本のイメージが悪くなるという動機付けで変化・対応をするということも、これまた日本社会では良くある話です。
そして、マスメディアもCM起用していた企業も、BBCが取り上げた際にそのことは知っていたであろうにもかかわらず、日本社会全体が重視していない内は反応しませんでした。しかし、少しずつジャニーズ事務所の性加害問題を事実とする「空気」が社会に醸成されてくると、メディアも大々的に取り上げ、企業もCMから外す動きが地滑り的に起きていきました。
そもそもジャニーズ事務所の問題は数十年前からあったものの、日本国内ではメディアも企業も問題視せず、なんとなくあるかも知れないけれど大きく声を上げる人がいないのでなあなあになっていたっぽい感じで、そのまま流され続けていました。
今回の件は、BBCによる報道があったからこそであり、また、メディアがガン無視してもSNSでは数ヶ月間ずっと話題になり続けたことも大きかったです。そういう意味で、旧来の「外圧で変わる日本」と、新しい「SNSで声を上げる日本人」が合わさった結果と言えるでしょうか。
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