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W杯大陸間プレーオフを見てのアジア連盟への移籍の是非について
カタールワールドカップ本大会を見据えた強化試合も次々行われ、いよいよ本番が近付いてきた感じがありますが、まだ本大会への切符を掴んでいない国同士のプレーオフが行われました。
アジアではUAEとオーストラリアがアジアプレーオフを戦い、実力・経験的にみて順当にオーストラリアが勝利。そして南米5位のペルーとオーストラリアの大陸間プレーオフとなりました。
南米予選では突破を決めたエクアドル代表選手の国籍詐称問題が起き、訴えたチリ代表が代替出場決定!というニュースが一瞬流れましたが結果的にはそんなことはなく、調査打ち切りをFIFAが発表して順位表そのままの出場国が決まりました。
そのいつも通り過酷な南米予選の5位のペルーと、アジア5位のオーストラリアの戦いなので、どうしても下馬評はペルー優位となっていましたが、14日未明に行われたワールドカップ予選大陸間プレーオフにて、オーストラリアがペルーとの戦いをPK戦で制して、5大会連続6回目の出場を決めました。
ちなみに、オーストラリアは本大会出場が5大会連続と言うことは2006年ドイツ大会からで、その時はOFC所属でしたので、AFC所属になってからはずっと出場を果たしていることになります。
★オーストラリア代表のW杯アジア予選成績★
2010年 アジアA組1位
2014年 アジアB組2位
2018年 アジア5位→ホンジュラスとのプレーオフに勝って出場決定
2022年 アジア5位→ペルーとのプレーオフに勝って出場決定
見た感じ順当に力が落ちていっているというか、アジア予選で苦しんでいる感が満載ですが、オセアニア所属の頃は大陸間プレーオフで勝てたり勝てなかったりでしたので、それを考えるとオーストラリアのアジア連盟移籍は成功と言えるでしょう。やはり域内での切磋琢磨できる環境は重要なのですよね。
残る大陸間プレーオフは、オセアニア1位のニュージーランドと北中米カリブ海4位のコスタリカとの試合です。この勝者が、本大会で日本・スペイン・ドイツと同じ組になりますので、日本としても注目の一戦ですが、15日未明に行われた結果、1−0でコスタリカが勝利しました。ニュージーランドは2010年以来の出場はならず。かつてのオーストラリア代表同様に、やはりOFC所属だと大陸間プレーオフで勝ち抜けるほどの力を蓄えるのが難しい気がします。
さて、話は変わりますが、ウクライナ戦争を起こしたことでロシアが西側諸国から制裁を受けていますが、その一連の流れでサッカー界でもロシア外しは起きています。UEFAによる制裁により、ロシアの国家代表もクラブも欧州での国際試合に参加出来ないようになり、ロシアサッカーも致命的なダメージを負いつつあります。そのため、ロシアサッカー連盟自体を、欧州所属からアジア所属に変えようとする目論見があるそうです。
本当に目論んでいるのか、本当に実現するのかは全く私には分かりませんが、多分そんなに簡単に移籍できないでしょうし、移籍したところでロシアにとってそんなに良いものでもないと思うのですが、本気なんですかね。
オーストラリアの場合とは異なり、ロシアがアジア移籍するとなると、アジアよりも強豪国の多いヨーロッパから、日本・韓国・豪州・サウジ・イランの5ヶ国に本大会出場経験が集中するアジアに来ることになります。
さらにロシア代表選手の大半はロシア国内とヨーロッパ各国でプレーしているわけで、極東や東南アジア・オーストラリアでのアウェイゲームとか相当キツいでしょう。
アウェイがキツくなるのはもちろん日本などアジア各国も同じではありますが、ロシアと同じく欧州組が多い国にして見れば移動距離は大差がありません。ウラジオストックなど東の端で試合するならヨーロッパからの距離は長くなりますが、その場合は日本なら国内組を多く起用すれば、むしろ日本の方が有利になってしまいます・
ワールドカップ本大会への出場が欧州だと難しいから、という理由も分からなくもないですが、次の2026年大会から本大会出場国は48ヶ国になり、欧州枠も増えますのでアジアに来なくても本大会出場の可能性が高いのです。
考えれば考えるほど、ロシアのアジア移籍は制裁逃れ以外のメリットが見当たりません。第一、認められるか分かりませんし、アジア連盟での試合に出ることが出来ても、FIFAから制裁を食らったら意味がありません。
FIFA全体だと、西側諸国の制裁に同調しない国も多いので、完全にロシアが排除されることはないのでしょうけれど、結局どうなるでしょうね。
ガンバ大阪がアジアチャンピオンズリーグでロシアの国と戦うのもロマンは感じますが、サンクトペテルブルクとかに連れて行かれると、疲労がとんでもないことになりそうです。2008年のACLでは準々決勝でシリアのアル・カラマと戦い、極東の日本のクラブが地中海に面する国に行って試合することになりました。
バルト海や北極海に面するクラブとの試合とか想像を絶しますね。逆にロシアからしたら、日本の夏の気候とか耐えられないでしょう。
まあ、誰もロシアが本当にアジア所属になるとは真剣に思ってはないかも知れませんが、ウクライナ侵攻と同じく、何が起こるか分かりませんからね。