出入り禁止というペナルティの効果が無いオリンピックの観客
WOWOWで(正確にはオンデマンドで)、サッカーのヨーロッパ選手権(EURO2020)を見ています。
開幕戦のトルコ対イタリアは、さすがのイタリアという結果になりましたが、トルコはオウンゴールで失点するまで良く守っていただけにもったいなかったですね。
さて、そのEUROを見ていると、マスクをちゃんと付けて落ち着いてみている観客もいれば、ゴールシーンなどでマスクを外して叫びながら近くの人と抱き合っている人もいます。
EUROの観客に対する、新型コロナの感染チェック体制がどうなっているのか知りませんが、あの観客全員が陰性でワクチン接種済みとは思えません。感染が広がらなければ良いのですが。
さて、東京オリンピックは侃々諤々・非難囂々・紆余曲折を経て結局は何事も無く実施されそうな雰囲気です。
観客動員についてはまだ最終的には決まっていないようですが、個人的には無観客にすべきだと思います。
同じ日本で行われてきた、去年今年のプロ野球やJリーグでは、観客数を制限したり、体温検査したり、客同士を離したり、大声での応援を禁止したり、様々な手法でスタジアムでのクラスター発生を防いできました。
それでも緊急事態宣言が出ると無観客試合を強いられるわけですが、オリンピックは本当に大丈夫でしょうか?
さらに言うと、プロ野球もJリーグも観客は応援する人とほぼ同義であり、試合をする2チームのどちらのファンでもない人はあまりいません。そのことは、ルール・マナー違反に対して、応援するチームからの処分を受けることへの恐れをもたらします。
要するに、応援したいからスタジアムに行くけれど、ルール違反で出入り禁止になりたくないからルールをちゃんと守るというモチベーションが発生しています。
もちろん、プロ野球でもJリーグでもルール違反者は出ています。出入り禁止になってでも応援するという心理状態が個人的には理解不能ですが、そういう人は確実にどこにでもいます。
ただ、ペナルティによってルール違反を思いとどまるという人も確実にいるはずで、少なくともその面ではペナルティの効果が発揮されています。
さて、オリンピックではどうでしょうか? 特定の選手・国を応援するという人ももちろんいますが、お祭り的な、とにかくオリンピックの試合を見たいという観客もかなりいるのではないでしょうか。
そうなると、そもそもの観客の姿勢がプロ野球やJリーグと異なってきます。騒ぐのが目的とまでは言いませんが、特定のチーム・好きなチームから拒絶されたくないというファン心理がもたらすペナルティの効果はありません。
チケットを一枚だけ、その日のその試合・競技だけしか持っていない人は、騒いだ挙げ句に出入り禁止になったとしても、その人にとっては既に目的を達成していますので、何のデメリットもありません。
まさか、別の国(市)で行われるオリンピックでも出入り禁止にするわけにもいきません。同じ競技の国内の試合での出入り禁止にするわけにもいきません。
東京オリンピックでの観客の横暴・暴挙に対して、心理的プレッシャーは主催側からはかけられないことになるはずですが、それでも有観客でやるのでしょうかね?