イランはイスラム国と戦えるか

イラン南部において多くの犠牲者が出た1月3日の大規模テロの直後、イラン革命防衛隊の司令官は、
「アメリカ・イスラエルによるもの」
として両国を強く非難し、合わせて同国国営テレビは国民の反米・反イスラエル感情を煽動していました。

しかし翌4日にはイスラム国(IS)が犯行声明を出し、アメリカによる通信傍受によってそれが裏付けられ、イランによる犯人の決めつけが間違っていたことが明らかになりました。

そもそも、テロ攻撃が爆発物が入ったベルトを群衆の中で爆発させるものであり、まさにISがやりそうな攻撃手法です。逆にアメリカやイスラエルによる攻撃だったらミサイルや無人機による空爆によるでしょう。だいたい今のイスラエルはガザ地区での攻撃以外に割くリソースがあると思えません。

テロ発生当日にISによるものと疑わず、アメリカ・イスラエルによる攻撃だと訴えたのは、現場調査や諜報活動によるものではなく感情的な理由だったのでしょうけれど、それ以上にシーア派のイランとしてスンニ派のISと本格的にことを構えたくないのかと邪推してしまいます。

宗派の違いが戦争を起こすのはイスラム教の歴史においてよくあることであり、1000年前でも10年前でも同様ですが、イランは周辺国への影響を及ぼす中で、ISとも戦わざるを得なくなるよりは、欧米・イスラエル相手に絞りたいのかとも思います。

結局、イラン政府は改めて「テロリスト」による攻撃を非難することになりました。

イラク内の米軍基地への攻撃はしても、ISとの泥沼の戦争には踏み切れないのではないでしょうか。

イランとしてIS相手に実力行使に踏み切ったら踏み切ったで、中東情勢が一段と混迷を深め、どうしようもなくなるのでしょうけれど、アメリカがついにイラクから離れようとしているので、もしかしたら欧米が見捨てる形になって本当にどうしようもない情勢になる可能性も、無くはないと思います。

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