補助金が自然淘汰を阻害する
以前、「補助金でかえって弱まる競争力」というnoteを書きました。
もう3年半も前に書いたものですが、
こちらのウォールストリートジャーナルの記事にも、補助金が中国企業の競争力を強化せずに却って損なっているようです。まあ当然と言えば当然で、自由競争によって淘汰選別された上で生き残った企業だからこそ国際社会で戦えるはずであり、補助金(=税金)で下駄を履かせてもらった企業は、下駄を履き続けないと商売し続けられないのですよね。
中国政府の補助金は、中国企業の表面的な救済にしかならず、抜本的な強化にはなっていないようです。その一方で、世界で戦えていた企業が米中経済戦争の煽りをくらい、さらに中国政府の厳しい監視と管理によって政治的な動きをせざるを得なくなっています。
補助金が復活の手助けにならずにただジャブジャブ金を突っ込むだけの対策になるのは日本でもよくあることです。かつて中小零細企業の経営に関わっていたものとしては、日本政府と自治体などによる補助金・助成金・各種融資制度は足りないとは思いません。使わない・使えないということはあるにせよ、バブル期以前よりは充実しています。ただ、ゾンビ企業と呼ばれるような、ずっと赤字で経営者一族がお金を入れたり、補助金や融資で運転資金を回しているような状態の企業もたくさんあります。というか私のところもそうでしたし、同業の会社も似たようなものでした。私のところも廃業しましたし、同業者もどんどん潰れていきました。
最近ですと、携帯電話のアンテナショップがキャリアからの補助金目当てに、知識の無い高齢者の契約にオプションを大量に付ける問題がありますね。あれも今では若い人・知識のある人が携帯ショップ経由で契約も購入もしなくなりつつあり、ショップを維持していくには契約あたりの単価を上げないといけないのですから、そうなるのも当然でしょう。
別に携帯ショップそのものがアカンわけではないのですが、キャリアからの補助金が命綱になっている状況が長続き出来るのでしょうか?
中国にしろ零細企業にしろ携帯ショップにしろ、その企業や業界が一時的な苦境に陥っていて復活の一時的な手助けとしての補助金は役に立ちますが、業界そのものが完全に苦境に陥っていたり、状況関係なしに政治的な理由で補助金を恒常的に出してしまっていれば、それは企業の生存競争・自然淘汰を阻害して、補助金がないとやっていけなくなり、そしていずれは市場から悲惨な形で撤退することになります。
今の習近平体制がこの状況をそのままにしておくのかどうか分かりませんが、政治主導で経済を利用し続けることは変わりないでしょうね。
ちなみに、冒頭のウォールストリートジャーナルの記事においては、「日本がかつて支援を政治と関係が深い企業と産業に振り分けられた結果・・・」という言及もありました。この点は修正されたのでしょうかね?
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