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トランプ大統領が使う「deal」の意味
トランプ大統領がよく使っている「deal」という単語にはいくつか意味があります。動詞と名詞の両方で使われます(そもそも大半の英単語はどちらの使い方もあります)が、名詞の場合、個人的にぱっと思いつくのは「取引」でした。
英語「deal」の意味・使い方・読み方|Weblio英和辞書
https://ejje.weblio.jp/content/deal
Weblioでは
(商売上の)取引
[a deal; 通例修飾語を伴って] 取り扱い,仕打ち
可算名詞 (社会・経済上の)政策,計画
(トランプで)札を配ること,配る番[権利]
と並んでいます。
オックスフォード英英辞典もアプリ版を持っていますので見てみると、
an agreement,especiall in business,on particular conditions for buying or doing something
the way that somebody/somethings is treated
the action of giving out cards to the players
the soft pale wood of fir or pine trees,especially when it is cut into boards for making things
と書かれていました。
どちらも似ていますが、オックスフォードの方では「an agreement〜」とありますので、「商売における取引」というよりは「商売における合意」と言った方が正確でしょう。
日本語の語感として「取引」と「合意」では結構違うような気がします。
「取引」の方は様々な駆け引きによって自分に有利に物事を運ぶことそのものを指すのに対して、「合意」の方はその駆け引きを一通り終えて双方が納得している状態を指すことになります。
トランプ大統領がどちらの意味を思って使っているのか分かりませんが、日本のメディアでは全て「取引」の方で訳している気がするんですがどうなんでしょう。全部「取引」と解釈するのが正しいのか。
「合意」を前提として「deal」という言葉を使っているのであれば、双方が満足は出来ないとしても納得は出来るレベルでの折り合いを付けることを目的として行動していることになります。それは米中貿易戦争でも、イラン核合意でも、北朝鮮核開発問題でもあり得ることです。
さて、トランプ大統領が本当に求めているのは、駆け引きとしての「取引」なのでしょうか、それとも双方納得する「合意」なのでしょうか。
元がビジネスマンなのだから、無条件で「取引」を想定して和訳するのもフェアとは言えない気がします。本当のところはその時その時での文脈で判断しないといけないはずです。
もちろん「取引」も最終的に「合意」するためのものですが、「取引」と言われると相手側も警戒してしまいます。しかし「合意」となれば破談しないように落とし所を見つけようという気にもなります。
そもそも破談してしまえばトランプ大統領やアメリカ合衆国にとっても良いことはありません。外交交渉の破綻は軍事行動につながる可能性が高く、国外の米軍派遣を減らそうとしているトランプ大統領にとって望むところとは真逆の結果になりかねません。
トランプ大統領を話の分からない、狂的な人間のように扱うのは保守系もリベラル系も大半のマスメディアに通じるところですが、例えそうであってもアメリカ人の半分が投票して当選させてしまった以上、日本を含む外国はそれに付き合っていかざるを得ないのですから、何とかしてトランプ大統領の意図するところを類推して、お互いに譲れないところと譲れるところを算段して、「合意」に漕ぎ着けるしかないと思います。