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内製化によるメリットと将来の不安

ユニクロの親会社であるファーストリテイリングがセルフレジで特許訴訟になっているというニュースを目にしました。

ユニクロ・セルフレジ特許訴訟「泥沼化」の内情、今度はGUも提訴へ
https://diamond.jp/articles/-/240953

特許やこの裁判の行方がどうなるかは全く私には分かりませんが、記事の最後の方にあった、顧客重視を大っぴらに掲げる姿勢というのは今では珍しくありません。ただ、それはその他取引先を含めた企業や社会全体に貢献するかどうかはまた別問題なのかも知れません。

これを読んで思い出したのがAppleのポゴピン裁判です。

総額100億円アップル社を訴えた!日本の中小企業島野製作所「下請けだからって、ナメるなよ」
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/41036
島野製作所対アップルの特許訴訟はアップルの全面勝利で終結
https://news.yahoo.co.jp/byline/kuriharakiyoshi/20170502-00070549/

これも素人には裁判結果でしか正当性が分かりません。負けた以上はもうどうしようもないのでしょうけれど、Appleが元々調達していた部品を少し改変して特許に抵触しないようにした、というのは営利企業としてはある意味正しい在り方なのかも知れませんが、社会の中にある一つの組織としてはいかがなものかと思ってしまいます。

特許料を払わなくなった分、安くて質の高い商品を消費者に提供できる!という理屈なのでしょうけれど、顧客を重視する代わりに取引先の経営などどうでもいい、という姿勢はいつか行き詰まるのではないかとも危惧します。

「顧客重視」と言えば見栄えは良いですが、それ以外は重視しないということであれば、サービスや商品の値段を安くして売上を増やすために人件費と仕入値を下げるしかありません。

訴訟で勝って、仕入れから内製に変更したとしても自社が100%経営している工場でそういった部品を製造するわけではありません。Apple(冒頭のユニクロも)はそもそもファブレスです。自社が管理している工場は所有していません。

結局は鴻海など製造を請け負う工場を持っている企業に外注することになるのですが、その部品の生産に関する主導権を握っているかいないかが重要なのでしょう。

生産そのものは外注するにしても、設計や開発・在庫管理などは自社でやる必要がありますので、サプライヤーに頼らず内製化を進めることによってどんどん企業としての規模が巨大化していきます。売上・利益ともに上がり続けていますから今のうちはいいのでしょうけれど、どこかで限界が来たらどうなるのでしょうか?

今のAppleは製品の種類が非常に増えました。シンプルさを売りどころか企業としてのモットーにしているとは考えられないくらい、自社製品の間での顧客の奪い合いみたいな状態になりつつあります。Appleを引き合いにしてDELLやhpの品種過多が批判されていた頃が懐かしく思えるくらいです。

これからもAppleはシンプルさから離れていくのではないでしょうか。

単にシンプルでなくなるだけであればどうでもいいかもしれませんが、経費削減のために自社でチップや様々な部品を製作することになったのに、いずれは逆にその部品を使うための製品を作る、といった本末転倒な事態が起きないと言えるでしょうか?

そうなったら終わりの始まりどころか、終わりの中頃までは来ていることになります。もしかしたら、内製化に突っ走るAppleは終わりの始まりの寸前に立っているのかも知れません。

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