2021年8月6日五輪サッカー三位決定戦テレビ観戦の感想
元々の予定では今日20時から三決の試合でしたが、女子サッカー決勝が急遽21時開始に変更になったため、男子三決が18時開始に「前日」に変更になるという驚きの事態となりました。
女子サッカー決勝を11時にするのは暑さのため無理、という理由ですが、アメリカ代表が決勝に残らなかったため、アメリカのゴールデンタイムに当たる時間帯に実施する必要が無くなったことも理由だと言われています。何ともアホらしい理由ではありますが、1994年のアメリカでのサッカーワールドカップではヨーロッパのゴールデンタイムに合わせるためにアメリカの真昼にやっていたことを考えると、選手のことを考えない開催時間設定は今に始まったことではないのでしょう。
結局割を食ったのは日本で、試合が平日18時キックオフになったために見られない人も多そうです。ネット配信があるので帰りの電車の中で見る人も多いはずです。
さて、準決勝メンバーはもはやいつものスタメンといった感じですが、いい加減、堂安には爆発してもらいたいものです。
序盤から前目でのメキシコのチェックが厳しく、思うようにボールを運べない中で11分に遠藤が相手を倒してPK。これで失点して早い段階でビハインドを背負ってしまいました。
問題は守備ではなく、攻める形に手間取っている攻撃のところにあります。当たり前ですがメキシコはグループリーグの敗戦を糧に、日本対策を相当してきているのが開始直後からうかがえます。
そして22分、為す術無くフリーキックから頭で2点目を奪われます。前のメキシコ戦でも失点はフリーキックからだったことを考えると、スカウティングとかどうだったのかなとも疑問に思えます。
局面局面で個人技だけで突破を図るしかないようにも見えますが、それでも時々突破して相手の警告を引き出しているのは良いのか悪いのか。
0-2のまま終えた前半45分は、おそらくこの五輪代表が結成されてから内容も結果も最悪の45分間だったはずです。このまま何も出来ずに惨敗すると、A代表にも影響が出てしまうのではないかと思えるくらいの酷い内容でした。
後半は攻め続けるしかありませんが、53分の遠藤のクロスから堂安のヘッドはバーの上。
チャンス以上にピンチを作られる中、さらにCKからまたも頭で合わされてこれで0-3。
直後にもピンチは続きますが、無力感も感じながら攻めるしかない日本は中山と林に代えて三苫と上田を交代で入れます。多分、ハーフタイムでやるべきことだったのでしょうね。
68分には上田が1対1のチャンスを得るもオチョアに弾かれました。71分の堂安のシュートも枠の外。その後に田中に代えて板倉を投入。得点出来ない場合のプランBがほぼ無いのが厳しいですね。
75分の三苫のシュートもオチョアがわずかに触ってCK。77分の上田のシュートもオチョアがキャッチ。
ここに来てようやくシュートを打てるようになってきて、78分に三苫がらしい突破からシュートを決めて1−3。
81分に遠藤を下げて三好を投入。その後もチャンスはあれど決まらず、結局1−3で敗戦。準々決勝のメキシコ対韓国戦も同じですが、メキシコが背格好では近い日本・韓国などの東アジア勢には相当に自信を持って戦ってきたことは見えました。
号泣している久保、静かに泣いている堂安が映し出されていましたが、これを次に生かす課題が日本サッカーにはのしかかります。もっと言うなら、2012年のロンドン五輪の悔しさをその後の五輪代表に反映できていたかという、この10年の強化方針の問題でもあります。
無理矢理ポジティブに考えるなら、前回大会よりも上、とだけは言えます。女子サッカーでも同じではあります。そこで止まってはいけませんが、じゃあ負けたからダメ、全部やり方を変えようというわけにもいきません。
男子サッカーで言えば、2014年のザックジャパンのワールドカップから2018年の本大会直前までそもそも迷走していました。今日の森保監督の采配については擁護の余地が無いとは思います。ただ、監督が違ったら勝てたのかというとまたこれは人によって感想が違うでしょう。
人気の選手を入れて守備を省みずに攻撃だけ考える、ポピュリズムのようなサッカーをする監督がこれまで就任してこなかったのは日本サッカーにとっては幸福なことでしたが、今回の森保監督の五輪代表の敗戦によって、攻撃への要求が強まるのは必至です。
何も考えずに攻撃的なサッカーをすれば良いだけなら、大半の指導者は出来るはずです。それで勝てるかどうかは別問題だから、そうはなりません。
日本サッカーの現在地の把握と、日本サッカーの日本化は出来ているか。
来年のカタールワールドカップで、この五輪の結果よりも厳しい現実を見せられなければ良いのですが。