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政府のかけるべき圧力は、携帯料金の直接的な値下げよりも家庭内でのオフロード

官房長官時代から業界に圧力をかけ続けてきた菅総理が、政権を担うようになってさらに圧力の度合いが増したのか、携帯会社側が戦うことを諦めたのか分かりませんが、値下げやサブキャリア新設など、具体的な値下げ策が出てきました。

しかし、以前にもnoteに書いたことがありますが、利用者側のデジタルリテラシーの方を高めた方が手っ取り早いような気もします。

毎月20GBや50GBのデータ通信を高速かつあらゆるエリアで使わないといけない人は、3大キャリアでそういう契約をするのが正解ですが、毎月数GB程度かつ自宅でも固定回線+無線LANでネットを使える人にしてみたら、3大キャリアで高額な契約をするともったいないです。

言い換えると、スマートフォン利用において屋外で大量に通信を利用する人が、3大キャリアの料金は高いと感じるのは分からないではないですが、自宅でも固定回線を利用せずにずっとモバイル回線でスマートフォンを使い続ける人は、対策が容易です。

一人暮らしではメリットを感じづらいかも知れませんが、家族がいるのであれば固定回線で十分お釣りが来るはずです。

菅政権が躍起になって携帯料金、データ通信料金を下げさせようと携帯各社に圧力をかけていますが、政府としてやるべきことはむしろ、全国的に光回線の普及を地方含めて確実に行い、都会でもマンション・アパートに引き込みやすくして、遅いVDSLやCATV限定の集合住宅を無くし、各家庭へ高速大容量の固定回線を契約しやすくする方が手っ取り早いのではないでしょうか?

光回線の確実な普及は、コロナ禍において急増した自宅でのテレワーク、遠隔授業にも役立ちます。コロナ禍が落ち着いたら元に戻るかも知れませんが、いつそうなるかの保証はありませんし、また似たような事態が起きるかも知れません。

都市部では100%光回線の敷設は完了していますが、各戸や集合住宅では入っていないところも多いです。一戸建てならその住人が決めることですが、集合住宅だと住人だけでは決められません。大家・管理会社の了解も必要ですし、そもそも光回線を各部屋までは持っていけない構造の建物もあります。

そういった建物でも外側からでも光回線を各戸に這わせる工事に補助金を出すとかして、国民が住む家に高速固定回線を確実に届けるのも政府のあるべき施策だと思います。

また、各家庭にまで光回線を引っ張ったとしても、その後、家の中での無線LAN環境も整える必要があります。家の端の方に光回線設備(ONUなど)を置き、その側に無線ルータを設置してしまうと、家の逆の端の方では極端に通信速度が落ちてしまいます。

その対策としてはいくつかあります。部屋にさらに有線LANケーブルをつなげれば一番速いですが、ケーブルの取り回しが大変ですし、スマホやタブレットではLANケーブルは実質的には使えません。

ルータをここ数年出てきたメッシュWi-Fi対応にすると、どうしても値段が高くなりがちですので、それを誰にも勧めるのは無理でしょうけれど、無線LAN中継器を大元のルータにぶら下げて使う分には大して費用はかかりません。ルータ本体と中継器2個でも1万円程度で済むはずです。

各家庭で安定した高速通信が普及すれば、家庭内でのモバイル回線利用も無くなり、少なくともその分は屋外利用に回せます。携帯各社の低容量データの料金プランに変更しても良いでしょう。MVNOも十分視野に入るはずです。

総務省が携帯各社に圧力をかけるとしたら、強制的な値下げよりも分かりやすくて幅のある料金プランの方が妥当ではないかと思います。

さらに言うと一次請けや二次請けなどの代理店制度とかも問題があるのでしょうけれど、そこに切り込んでいったら切りが無さそうです。

まずは光回線+無線LANの普及と、モバイル回線は外出先のみで使うこと、MVNOなどの選択肢を提示することによって、携帯料金を下げさせなくても国民一人当たりの携帯料金は下げられるはずだと思います。

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