
立ち仕事における働き方改革
デスクワークなど椅子に座りっぱなしの仕事をしていると身体に悪い、ということは最近とみによく聞くようになりました。実際に色んな報道で、一日に何時間以上座っていると寿命が何年短くなるとか、脳卒中の確率が増えるとか色んな学者が色んなデータを出して色んな主張をしています。色々ありすぎて混乱しそうですが、どの主張にも共通しているのは、座り続けるのは身体に悪い、ということです。21世紀に入った頃から、エコノミークラス症候群という言葉を目にするようになりましたが、飛行機に乗らずとも同じ姿勢で座り続けていると血行が悪くなり身体に悪影響を与える、ということは結構共通で認識しているような時代だと思います。
私は昨年からApple Watchを利用していますが、1時間のうち1分間は立つように通知が表示されます。Apple Watchを付ける前もトイレに立ったり飲み物を取りに行ったりするので数時間座り続け、ということは無かったと思いますが、それでもこういう通知ではっきり知らされた方が、意識的に立ちますのでいいことなんだと思います。
また、私は使ったことないですがスタンディングデスクも導入している法人・個人もあるようです。結構値段がするのが難点ですが、既存の机の上に載せて利用するような昇降可能なスタンドもあるそうですので、こういう「座り続けるリスクを減らす」ビジネス商戦は今後もしばらく続くのではないでしょうか。
その一方で個人的に気になるのは、座り続けるだけではなくて、立ち続けるのも身体に悪いのではないのか、ということです。
当然ながら立っているだけ、立ち続けていると、血液は下がり気味になります。水分も下がるので下半身とくにふくらはぎや足首以下などがむくみます。むくむだけならいいですが、血液を足から上げるための心臓の負担が大きくなります。血液以外にも立っていることで疲労しやすいですから、疲れたことで仕事の質が落ちてしまってはダメでしょう。椅子に腰深くかけなくても、軽く腰をかけるだけでも疲労感は断然異なるはずです。座ってもいい、あるいは立ったり座ったりしてもいい仕事はそうした方が働く人にとってもメリットが大きいはずです。そういった「働き方改革」は論じられていません。
主に接客業や小売業、あるいは警備業といった仕事ではずっと立っているはずです。しかし、そもそもずっと立っている必要がある仕事ばかりでしょうか?
飲食店などで動いているような仕事や、いざという時にとっさに動く必要がある警備業などの場合は難しいかも知れませんが、スーパーのレジ打ちの仕事なんかは座っていても仕事の質に差が無いのではないでしょうか?
仕事の質に差が無く、従業員が楽に働けるのであれば、昨今の人手不足の解消の一つの解決策として、座っても出来る仕事は座ってもいいというのもアリなのではないかと思います。立ち続けの仕事だと出来ないような、身体が少々弱いとか年齢が高いといった人達でも、立ったり座ったりしていい仕事であれば出来るということはあるはずです。働きやすい環境を整えることで就業可能人数を増やすというのは、社会全体にとって必要なことです。
もしかすると、スタッフが座っていることに対して文句を言うような客がいるかも知れませんが、それは社会的にコンセンサスを作ること、特に政府・自治体・政治家やマスコミ、各種団体が広く協調してそのような働き方を認めるムーブメントを作り出すことが必要だと思います。
そして何より、私たち一般の消費者がお店などでスタッフが立っていようが座っていようが何も思わないようになれば、働き方改革の一里塚になるのではないでしょうか。