ベーシックインカムが無理でも富裕税は出来るか?
つい先日、こんなnoteを書きました。
今回の新型コロナウイルスによって、ベーシックインカムの必要性を訴える人が増えるのではないかと思っています。北欧などの福祉が重要視されている国であればどこか始めるかも知れません。まずはそもそも落ち込んだ経済を復活させるための政策が最優先でしょうけれど、ベーシックインカムによって将来の危機においても収入そして生活の不安がなくなれば、かえって安心して消費が増えて経済の復活も早くなると思います。
実際、3月にはイギリスのジョンソン首相(まだ元気な頃)がベーシックインカムに言及していました。
英首相、ベーシックインカム検討 コロナ対策で一時的に
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO56978020Z10C20A3EAF000/
あくまで一時的ですから、恒久的なベーシックインカムというよりは臨時給付といった方がいいでしょう。また、スペインでも検討されているという話もありましたが、そっちは無収入や低所得者だけを対象にするという考えらしいので、日本で言えば生活保護に近いもののはずです。
どちらにせよ、本格的にベーシックインカムを導入するところまでは言っていません。ただでさえ経済が落ち込み、国家財政も危機的な状況になる中でベーシックインカムの財源など確保できない、というのはどこの国にも言えることなのでしょう。
とすれば、逆に経済対策のために一部への増税を強める意見も出てくるはずです。
税金というのはそもそもお金や資産に対して課せられるものです。使ったお金に対して課税されるのが消費税(付加価値税)、もらったお金に対して課税されるのが所得税や法人税、あるいは相続税などです。それ以外にも不動産や自動車などの大きな資産に対しても課せられます。
使ったお金・もらったお金・持っている資産に対して税金が発生するわけですが、貧しい人からは付加価値税しか取れませんし、貧富の格差の拡大によって中間層もどんどん減っています。となると、最終的には富裕層に対する課税しかありません。固定資産税は存在していますが、それ以外の現金(預金)、換金性の高い金融資産(株式、債券)は持っているだけでは課税されません。それらに対しても課税している国はありますが、それほど多くはありません。いわゆる富裕税や財産税と言われるものです。
多額の資金・資産を持っているだけで毎年一定割合で課税される仕組みですが、当然ながら富裕層からは嫌われる税金です。
日本でも戦後に存在していましたが数年で廃止されました。これは戦前にあった貧富の格差の是正には多少なりとも貢献はしたのでしょうけれど、インフレが長く続く時代にはあまり意味がないですね。所得税の累進課税を高くした方が税収的にも格差是正にも役立つのは考えれば分かります。
逆に、インフレではなくデフレの時代であれば、所得税よりも財産税の方が貧富の格差の是正が出来ます。デフレでは物価が下がるのと合わせて収入も減りますが、既に存在する資産は減りませんから相対的に資産価値が高くなります。その分だけでも財産税を課税しよう、という政府がどこかに出てくるんじゃないですかね。もちろんデフレの国だけですけれど。
ただ、当然ながらその国の富裕層は猛反発して政府に対してロビー活動をするでしょうし、それでもダメなら財産を持って国外に逃げるでしょう。逃げられなくてもパナマ文書にあったような、富裕層のみが可能な租税回避策を行うはずです。
この辺は、国際社会が協力して一斉に課税しないと富裕層には逃げられるでしょう。逃げた先の国に対して国際社会が圧力をかけられるかどうかが肝ですよね。現状ではあまり出来そうにはないですが。
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