U23での実戦経験を失った影響はいつ現れるか
ガンバ大阪は今シーズン、片野坂監督を迎えて新しいサッカーに取り組んでいます。序盤は悪くなかったものの、パトリックのヘディングの強さに依存する攻撃が行き詰まって苦しみましたが、この2試合、札幌戦と神戸戦で中村仁郎を前線の中心に据えて、ようやく攻撃が機能し始めるようになりました。
その中村ですが、トップチームでのJ1出場は2020年最終節が最初でしたが、2019年・2020年ではガンバ大阪U23チームにおいてJ3リーグでは主力として既に活躍していました。
彼以外にもU23での試合出場経験が、J1での活躍にすぐに結びついた選手は何人もいます。
欧州移籍をして五輪代表では中心になり、A代表でも選ばれるようになった堂安律、2019年開幕からJ3で得点を量産してトップに呼ばれてもゴラッソを決め続けたらすぐにマンチェスターシティに引き抜かれた食野亮太郎、元々将来を嘱望されていてトップとU23を行き来しつつもJ1でスタメンになって欧州移籍した中村敬斗、J3では無双してJ1でも出番が増えてきたところで欧州移籍した川﨑修平、と何人も挙げられます。
ガンバでのJ1出場は無かったものの、湘南に期限付き移籍してから同じく五輪代表での活躍を経てA代表に選ばれた谷晃生もU23では30試合以上の経験がありました。
練習試合ではなく、相手はJ2昇格や自分と家族の生活を賭けて試合に臨んでくる真剣勝負をJ3で戦えた、U23チームは結構貴重な実践の場だったと思います。出場していた全員がトップチームに出られるように成長したわけではないものの、J1で出始めて馴染むまでのスピードは、堂安を始めJ3での経験があるのとないのとでは違う気がします。
かつて、ガンバのアカデミー育ちでJ1でも活躍した選手達でも、J1でいきなり通用してスタメンに定着、という選手は珍しかったです。稲本と家長くらいじゃないでしょうか。
宇佐美、井手口といった代表、欧州移籍するレベルでも、彼らがトップで出始めた年はなかなか活躍できず、その翌年以降というのが良くあるパターンでした。宇佐美は2009年トップデビューでしたが、リーグ戦ではパッとせず、翌年平井とのコンビネーションもあって大活躍して翌年にドイツ移籍でした。井手口は2014年トップデビューするも2015年あたりまで厳しく、2016年になってレギュラーを掴んで翌年には代表での豪州戦で劇的なゴールを決めるまでになりました。
今のガンバは事実上のリザーブチームだったU23はありません。Jリーグのエリートリーグにもガンバは参戦していません。ユースからトップに上がって、J1リーグ、ルヴァンカップ、天皇杯(それとACL)しか公式戦がありません。これは結構、数年後に響いてきそうな気がします。
数年後を危惧するよりも今を危惧しないといけない状態なのが残念ではありますが。