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最適なタイミングで実行するのは難しい

今回の新型コロナウイルスに対する各国政府の動きを見るに、最高のタイミングで最大の効果を発揮する政策を実施するのは非常に難しいことが分かります。

感染を非常に低く抑え込んでいる国が全く無いわけではありません。台湾やニュージーランドは優れた対応をしたようです。どちらも島国であるという理由の他に、台湾はかなり早い段階で中国での感染状況を把握できていたことや、ニュージーランドは人口が比較的少ないことも理由に挙げられると思います。

もちろん日本や韓国も1月時点では対策の取りようがあったはずですが、台湾ほど「いざという時には中国と対立してもいい」という覚悟を持てないことがかえって徒になったのかも知れません。

しかし、日韓ともに現時点では世界的に見るとまだ対応としてはマシな方です。失敗はあれど国家的に大悲劇と言える状態かというと、欧米と見比べるとそこまでではありません。下を見て安心するのは人としてアレですが。

人口が数千万人以上いる国では、台湾のようにかなり早くに中国との行き来を塞いで政府レベルで徹底的に国民(一応は国ではないことになっていますが)を管理しないと大変なことになるという証明がなされた格好です。監視のない保護はあり得ません。

感染が拡大してしまった国は、「まだ大丈夫」とか「締め付けると経済がなあ」とか「感染が拡大し始めたら引き締めよう」とか思っているうちに、あっという間にどうしようもなくなってしまいました。

逆に日本では2月終わりに安倍首相が一斉休校要請を出しました。その時には教育を犠牲にするとか、子どもの世話をする親のことを考えていないとか、散々に非難されましたが今ではむしろ休校を続けるべきと言う人の方が多いように思います。その後の政策がかなり問題なのは確かですが。

早く動きすぎると経済や社会に対する悪影響が出てしまいますし、遅すぎると感染が広がってしまいます。金と命とどっちが大事だ、という二択を迫れば誰だって後者が大事だというでしょうけれど、それを具体的に政治の世界で実行するとなると経済が死んでも失われる命もあります。高度な政治的判断がどの国でも毎日行われている状況でしょう。

引用するのは不適当かも知れませんが、相場の格言に
「頭と尻尾はくれてやれ」
という言葉があります。

例えば株式売買で言えば、最安値で購入して最高値で売れれば一番儲かりますが、最安値で買うのは難しく最高値で売るのも難しい。買い時売り時を大きく間違えると利益が減り損失が増えます。ギリギリまで売買のタイミングを見極めるのではなく、最安値よりも少し高い値で買って最高値より低い値で売るくらいでいい、という格言です。

新型コロナウイルス感染対策で言うと、最適なタイミングを計り続けて逡巡するくらいなら、小さな失敗を覚悟の上で大きな失敗を防ぐことを考えた方が良いのだと思います。

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