三権分立の限界?

安倍派の政治資金問題は、直接的に関わった会計責任者は別として、結果的にその利益を受けたはずの議員・政治家個人に対する立件を検察が断念したということで、結局今までの大半の政治資金問題と同じ程度の結末を迎えそうです。

とどのつまりは、現行法が今回のような手法で不正な政治資金裏金をこさえても、議員自身には何のお咎めが無い法律になっていることが、一番の問題のはずです。

どのような形で法律を改正あるいは新設することで、このような不正な政治資金な流れを根絶出来るかどうかは、色々な方法があるのでしょうけれど、そもそも根本的に、国会議員を規制する法律を、その国会議員自身が権力を持つ「立法」によってでしか成立させられないのです。

はっきり言えば、自分にとって都合の悪い法律を政治家が作るわけがない、という話です。裏金を作る悪事を働こうとする政治家であれば、なおさら政治家を規制する法律に見向きもするはずがありません。

三権分立の理念により、国家権力は行政・司法・立法と三分されていて、相互に制限を掛け合うことで独裁や放恣を戒められるシステムのはずですが、現実は司法が立法を制限する範囲は限られています。

議員に対する規制に関わる法律について、日本国憲法に反することを訴えることで、司法が立法や行政に規制をかけることは出来るにしても、告訴する人間がその違憲・違法状態によって被害を受けていないと訴えられません。日本では抽象的違憲審査制を採用していないため、憲法訴訟は個別の具体的な訴訟の解決に限り憲法判断がされるだけです。

憲法裁判所の設立にしろ、違憲審査制の変更にしても、最終的には立法における議員の賛成がないと無理なわけですが、その実現は結局のところ、有権者が選挙で選んだ議員の動向に帰結します。

政治を巡るあらゆる不正、犯罪、スキャンダルにおいていつも通り、議員を選ぶ有権者のレベルが政治家のレベルになるという話に終わってしまうのですが、さて、今回の安倍派の政治資金問題に対する怒りを、次の国政選挙まで有権者は覚えていられるでしょうか?

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