「風雲! たけし城」に見る優れたコンテンツと乗り遅れたグローバル化の波
Amazon版「風雲! たけし城」が配信開始されました。アラフォー以上の中高年には非常に懐かしい番組ですが、番組の権利も世界中で売れて有名なフォーマットになっていたそうです。
もはやバブル期の金のかけ方が出来ない日本のテレビ局を尻目に、Amazon Prime Videoが大金をかけて復活させた格好です。子どもの時はただ単に面白く見ていただけですけれど、大人になってお金のことが少しでも分かるようになると、とてもじゃないけれどこんな金の掛かる番組はもう無理だよなあと感じます。アメリカ横断ウルトラクイズなんかも同じですね。
ただ、お金だけの問題だけではなくて、コンプライアンスというか、参加者の負傷のリスクもある気もします。昔やっていたときもそれなりに怪我する人がいたと思うんですけれど、大丈夫だったんでしょうか。
ともかく、今のテレビ番組はかつてほどの資金力も影響力はないのは確かでしょう。全く影響力がないとは言いませんが、YouTubeやTikTokなど各種ネットサービスが多くの人々の大半の可処分時間を占拠している時代です。
暇つぶしでテレビを見ていた時間が、暇つぶしでネットを見る時間になっただけとも言えます。今、テレビを見る場面というのは、本当にその番組を見たいときだけであり、見たい番組がないときになんとなくテレビを付ける、という習慣は個人的にはゼロになりました。その分、テレビ番組の視聴者層の見る真剣度合いは増しているはずですが、それもTVerで見る場合もあるので、一番不遇になっているのはテレビCMかも知れません。昔はこれまたお金の掛かったテレビCMがたくさんあって、流行を生むCMも多数あったのですが、もうそういうこともないでしょうね。
もう、紙媒体(雑誌)発の流行も、テレビ発の流行も可能性はほぼ無いでしょう。ネットで流行しているものをオールドメディアが取り上げることはもちろんありますし、「ネットで流行っている!」といって大して流行っていないものをオールドメディアが取り上げてひんしゅくを買うことも増えました。
Netflix、Amazon Prime Video、Apple TVといった、多額の制作費用をかけて番組を作り、それを世界中に配信して利益を上げる、というビジネスが日本にも迫ってきました。
グローバル化の波に呑まれつつある日本メディアですけれど、日本の業界で最もグローバル化が遅れた業界ってマスメディアなんじゃないですかね。それこそ、たけし城のような優れたフォーマットがあって、それを世界に売っては来れたけれど、企業体をグローバル化として成長させる方向には使えなかったわけですし。
そう考えると、日本の家電メーカーがiモード端末では日本を支配しても、スマートフォンで世界に敗北したのと似た構図なのかなとも思います。
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