「美術館女子」という化石のような宣伝手法
読売新聞と美術館連絡協議会が「美術館女子」というプロジェクトを立ち上げました。
https://www.yomiuri.co.jp/s/ims/bijyutukanjyoshi01/
そしてすぐさま炎上しているそうです。
私もこの「美術館女子」というくくりにはめまいを覚えますが、それはともかく炎上している理由としては、美術館の鑑賞の仕方にあるのか、何とか女子というプロモーション方法にあるのかは人によって違うような気がします。
大半の人にとっては、〜〜女子というくくられ方に飽きどころか嫌悪感さえ抱くでしょうし、何とか系何々というのは世間で山ほど存在します。この2020年にもなって美術館女子という宣伝方法を思いついた人達はもしかすると山奥で数十年暮らしてきたのかも知れませんが、残念ながらありふれていて目立たないどころか、批判されて炎上して悪目立ちしてしまいます。悪目立ちでも結構!と言い切れるならいいのですが、イメージが悪くなるというのは宣伝として失敗していると思います。
あえて何とか擁護する言葉をひねり出すとしたら、もしかすると美術館を訪れる人の性別・年齢層に偏りがあり、若い女性(あるいはAKB目当ての男性)が少ないのだとしたらこのようなイメージ戦略も決定的に間違ってはいないのかも知れませんが、個人的に良く訪れる美術館では若い女性が少ないと思ったことは一度もありません。美術館来訪者の中で、特定の年齢層・性別が少ないとは思えません。どう考えてもターゲティングが間違っていると思うのですが、何を根拠にこの戦略を導き出したのか甚だ心配になってきます。
これをやっちゃう美術館連絡協議会もヤバいですが、売り出している読売新聞もかなりヤバいのではないでしょうか。というか、読売がやっていると言うことは仕掛け人は読売広告社かあるいは博報堂DYホールディングスなのか。広告代理店が判明したらそこの評判も下がりそうな気がしてしまいます。
もはやインスタ映えすら時代遅れの感があるのですが、ここまで流行に乗っているぜ!とドヤ顔しながら、実際には流行に乗り遅れている宣伝広告ってそうそう無いのではないでしょうか?
また、そもそもなんで美術館での鑑賞に女子を取り上げてインスタ映えを気にしなければならないのか。本当に今の美術館に足りないところ、危機感を覚えるところがそこなのか、という疑問もあります。流行遅れとかいうこと以前に、美術あるいは美術館という存在と真っ向から向き合った方がよっぽどイメージ戦略になると思うのですが、当事者にとってはそうではないのでしょうか。もちろんそういったことはこれまで散々やってきたのかも知れません。ただ悪い意味で炎上してしまっては逆効果でしょう。
さて今後この「美術館女子」はどこまで続くのでしょうか? 胸を張ってやっているのなら、いっそのこと10年20年と長く続けてしまったらみんな認めてくれるのではないでしょうか。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?