ラジオスターの悲劇を起こしたテレビスターの悲劇を起こしたYouTuberの悲劇は起きるのか?〜ちゃんとしすぎているテレビ番組の弱点〜

少し前まではテレビの視聴率低下がニュースになり、スマホの利用やYouTubeなどネットコンテンツの視聴が増えたからかとか、テレビが面白くないからだとか制限が多いことか話題になることもあったのですが、今ではテレビの視聴率が低いこと自体騒がれなくなったような気がします。

営業の現場では大変なのでしょうけれど、どこのテレビ局も潰れず、テレビ番組にはコマーシャルが流れている現状を見ると少なくとも東京キー局は問題なくやれているようにも見えてしまいます。

そうは言ってもネットの影響が無いわけはなく、子どもの将来の夢アンケートでYouTuberがランクインしたことを考えるとテレビ局やスポンサーよりも一般視聴者の方が先に強い影響を受けているのかも知れません。

テレビ番組の出演者や制作に関わっている人からすれば、YouTuberによる動画コンテンツを自分たちの番組を見比べたら映像作品としての巨大な差があると分かるはずですし、実際それは大きいと思います。コンテンツのアイデア・出演者・制作時間・セット・台本・演技力・トーク・編集・映像効果など比べるのもアレなくらいですが、今の時代、YouTubeは見るけどテレビは見ないという人がたくさんいます。

なぜなんだろう、テレビ番組の方がちゃんとしているコンテンツなのに、という思いがテレビ関係者にはあるかも知れませんが、多分原因はそこにある気がします。

テレビの放送が始まって60年以上経ち、文化として成熟してちゃんとしたテレビ番組が当たり前のように量産されています。ハチャメチャ感、ワチャワチャ感がなくなった、手作り感がないという感じでしょうか。

YouTuberによる動画に比べると、ちゃんとしたセット、ちゃんとした台本、ちゃんとした演技やトーク、ちゃんとした編集された、ちゃんとした番組が放送されています。

ちゃんとされすぎていることがかえって若い世代の共感を呼べないのかも知れません。

逆に、年齢が上の人にしてみれば、不安定さのない「ちゃんとした」番組というのは内容にかかわらず見やすいものなのかも知れません。少子化による人口比率の変化だけではなくて、テレビ番組の制作がしっかりしていることがテレビ視聴者層の年代に影響しているのではないでしょうか。

メチャクチャなことをすれば良いとはいいません。さすがにこの時代ではコンプライアンスを無視した番組は出来ませんし、そもそもYouTubeでもそんな内容を出せば非難されます。制作手法がパッケージ化されているのであれば、その方程式を崩した番組を作るのはもう難しいかも知れませんね。深夜番組ならともかくゴールデンタイムではもはやハチャメチャな番組は出来ないでしょう。

昔、” Video Killed The Radio Star ” という歌がありました。邦題は「ラジオ・スターの悲劇」でしたが、ラジオスターを倒して天下を取ったテレビスターの悲劇が訪れようとしているわけです。

さしずめ、 ” YouTube Killed The Video Star ” といった感があるテレビとYouTuberの関係ですが、天下を取りそうなYouTuberを倒す存在がいつかは現れ、 ” ??? Killed The YouTube Star ” ということになるのでしょうか?


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