ネットがつながらない時の覚悟と準備
「コンピュータ、ソフト無ければただの箱」
という言葉で私は覚えていたのですが、実際は
「パソコンは、ソフトが無ければただの箱」
だったらしいです。SHARPなど多くのパソコンメーカーやメディアで活躍された宮永好道さんという方が残した名言だそうです。
ソフトウェアが無ければコンピュータだろうとパソコンだろうとハードウェアは基本的には役に立ちません。今の時代では当たり前すぎてもはや何の印象も出てこないというか、ソフトウェアが入っていないコンピュータを想像することの方が難しいでしょう。
現代の人に伝えるなら、
「スマートフォン、ネット無ければただの板」
くらいの言い方をした方が良いかもしれませんが、実際にはネットがつながらなくても使える機能やアプリはいくつもあります。
例えネット回線がつながらない状態でも、カメラ、ボイスレコーダー機能なんかは単体で使えて当然ですし、自炊したりダウンロード済の電子書籍であれば何の問題も無く使えます。一部のゲームアプリだって通信しないものなら使えます。
スマホ同士をBluetoothを利用してアドホックでつなげる仕組みも昔からありますが、じゃあ全員使っているかというとそうでもありません。ほとんどの人が同じサービスを使ってBluetoothをオンにしていないと使い物にはならないものです。
ネットがつながらないときでも使えるアプリ、機能は何かということは覚えておいても損はありません。常時接続が大前提の時代だからこそ、あえて考えないと思いつかないものです。私のようにインターネット老人会に半身を突っ込んでいるようなオッサンにとっては、ネットにつながらない状況を想定するのは難しくないですが、今の若い人たちだとどうでしょうか? 月の通信容量を使い切ったときでも、急激に速度が低下するくらいですし、そもそもWi-Fiがあるところに行けば良いだけです。
通信会社やDNSサーバに障害が発生したら、個人レベルではなく社会や国家のレベルでインターネットが使えなくなります。あるいは、地震などの大規模自然災害が発生したら、その地域一帯がネットから遮断されてしまいます。
日本だけで起きた災害・サーバ障害などで日本人がネット接続出来なくなる、というのはやむを得ないでしょうけれど、例えばアメリカで何らかのネット障害が発生したことで、日本でも影響は受けることはあり得ます。
GAFAのサービスの大半はアメリカにあるサーバに存在していますし、そこで障害が起きれば、少なくとも特定のサービスが日本でも使えなくなります。例えばGoogleのサーバで障害が起きたら、Gmailが日本国内でも使えません。
アメリカのインターネットがテロや災害で使えなくなったときに、アメリカにあるそれこそGAFAのサーバを利用するメールサービスやチャットサービスだと、日本自体はテロや災害が無いのに日本国内でもネットが使えなくなる、というのは社会運営的には結構致命的です。
少なくとも日本国内でのメール管理、チャット管理は無いよりはあった方がいいのは当然です。携帯キャリアメールは今後減っていくでしょうけれど、代わりに何か作った方が良いんじゃないでしょうか。
以前にも書きましたが、政府レベルで出すか自治体レベルか。自分だけのメールサーバの設定を当然のものとして、全国民に教えるか。そこまでは難しすぎますよね。家族単位でも良いけれど、独立や離婚でややこしくなりますし、自治体レベルだって引っ越したらややこしいです。ナンバープレートの陸運局の届出レベルみたいに出来たら良いですけれど。いっそのこと、マイナンバーの数字@japan.jpとかいうメールアドレスにします? まあとんでもないレベルの反対運動とか起きそうですが。
ともかく、システムに完璧は存在しないですし、障害が発生しないシステム、サーバ、ネットワークも存在しません。障害が起きたときにそれと理解し、また障害が起きても自分の用途は満たせるような使い方は各自必要です。
BCPとは事業継続計画(Business Continuity Plan)の頭文字を取った言葉です。企業が、テロや災害、システム障害や不祥事といった危機的状況下に置かれた場合でも、重要な業務が継続できる方策を用意し、生き延びることができるようにしておく計画のことですが、企業や大規模な団体・組織だけではなく、個人レベルのネットBCPというのも必要でしょう。
今の菅政権は、前政権に引き続き携帯電話料金の値下げ圧力を続けています。携帯・スマホ・ネット接続が現代の日本人にとって重要なインフラだからこそですが、それだから「こそ」ネットがつながらない、ウェブサービスが使えないときの計画も結構重要なんじゃないですかね。