違法コピーDVD販売の根絶と、フリーミアムモデルのエンタメ分野での普及
先日、久し振りに大阪は日本橋の電気街に行きましたが、歩道の屋根の柱に
「皆様のおかげで違法コピーDVDを根絶出来ました」
といった内容の掲示が出ていました。
いつから出ていたのか知りませんが、確かに以前はよく路上販売がありました。折りたたみの机を出して並べていたり、車道に駐めている軽ワゴン車の後ろを開けて売っていました。
2000年頃からおそらく10年くらいは、大阪ローカルニュースで取り上げられるほどの社会問題化していました。浪速警察署から徒歩数分の場所でよくやるなあとも思いましたが、警察の威信をかけての取り締まりや、電気街の商店主ら民間レベルでの道行く人への呼びかけもあって、こういう違法コピーDVD販売が無くなったのですが、一番大きな理由は、そもそもDVDを購入して自宅で鑑賞する人自体が減ったことでしょう。
映画を含む動画コンテンツは今ではストリーミングサービスで見る時代です。レンタルDVDショップもどんどん減っています。当然購入する人も減っているはずで、日本橋ではアダルトものの専門店はいくつかありますが、言い換えれば18禁ではない一般作品のDVDは、違法コピーが商売として成り立たないほどに需要が減っているとも言えます。
DVD需要が旺盛だったから違法コピーが後を絶たなかったのですが、需要そのものが減ったら違法も何も無くなったのです。業界も別にわざとそうしたのではないのですが、焦土戦術のような形で違法コピーDVD販売が無くなった形になります。
ネット時代になって逆に著作権侵害に悩まされるようになったのが、漫画・コミックです。漫画村問題はかなり対策に時間がかかりました。今でも残党というか似たようなサイトはあるのでしょう。
極端な言い方をすれば、全ての漫画が合法的に無料になれば、漫画村のようなサイトは無くなります。そこで読むメリットが無いからです。もちろん、全てを無料になど出来ませんが、多くの正式な漫画サイト・アプリなどでは全部もしくは一部の漫画を無料で読むことが出来ます。それでも人気の・有料の・最新の漫画のために違法サイトを利用する人もいるでしょうが、利用者が減ればアフィリエイト収入も減って、違法行為をする側のインセンティブも減ります。
90年代末の音楽ダウンロードに関して、ナップスターというサービスが裁判沙汰になりましたが、その後のApple MusicによるDRM無しでの販売のように、制限を無くすことでそもそも違法(脱法)的な悪用が意味をなさなくなりました。映画・漫画・音楽といったエンターテインメント分野における、限りなくゼロ円に近付いていく流れは、どんな分野でも似たようなものでしょう。
その代わりに、NFTのように限定されたものに付加価値を帯びさせるというのも、一つのマネタイズ手法でしょう。一部の有料客が多数の無料客を支えるフリーミアムモデルは最初はDropboxのようなところから始まり、今ではYouTubeやSpotifyのエンタメ分野で普及しました。
もしかしたら値上げで話題になったDAZNやNetflixでも広告付無料プランが出てくるかも知れません。それで有料プランの負担も減ってくれると良いのですが。