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取らぬスーパーリーグの皮算用

突如発表されて世界中に大反響を巻き起こし、あっという間に瓦解した欧州スーパーリーグ構想でしたが、後出しジャンケンのようになってしまいますが、どうせ失敗するだろうと思っていました。

一部のビッグクラブだけで国境をまたいで作る固定的なリーグ構想は、90年代から何度も浮かんでは消え浮かんでは消え、その度に世間からの大反対を食らいつつもチャンピオンズリーグでのクラブに渡るお金が増える形で、一応の決着をつけてきました。

おそらくは、この2021年におけるスーパーリーグ構想では、仕掛け人やビッグクラブとしては今回こそは実現させるぞという意気込みで臨んだのでしょうけれど、ファン・既存リーグ・政府などからの大反対が起きました。さらには昔に比べると多国籍化した戦力を担っている、自国に戻れば代表に選ばれるはずのスーパーな選手達が代表戦に出られない可能性から、反対に回りました。

まだスペインのレアル・バルサの二大クラブとユベントスは抗っていますが、実質幕引きでしょう。あとは参加表明したクラブに対してどのようなペナルティが科されるかだけの問題になりそうです。

結局のところはお金の問題でした。ビッグクラブにしてみたら、既存の各国リーグ戦・カップ戦とチャンピオンズリーグにおいて、大して金にならないショボい対戦相手との試合数が多すぎるので、ビッグクラブ同士だけでの試合で一年間を過ごして今よりも多くの入場料・放映権料を得たい、というのが理由でした。この理由自体は昔から何度も出てきたスーパーリーグ構想の度に言われているものなので、特に驚くことでもありません。

UEFAや各国サッカー協会・プロリーグが反対することは織り込み済みだったでしょうけれど、当のクラブの選手やファン層からもそっぽを向かれるとは思っていなかったのでしょうか? この辺はかなり楽天的過ぎたのでしょう。

選手にとっては代表戦を失う以上は今よりもはるかに高い報酬が無いとやってられないでしょうし、ファンにとってはチケット代や中継サービスの料金が値上げされるのも目に見えていますので、反対するのも当然でしょう。

それ以前に、アメリカのプロスポーツ的運営手法をそのまま持ってきても拒否反応が待っています。

アメフト、バスケ、野球の最高峰リーグとしてNFL、NBA、MLBが存在していますが、前年順位によるウェーバー制でのドラフト、サラリーキャップ、ポストシーズンなどのルールは全て、リーグ内にいるチーム間の戦力均衡のためにあります。

自分たちはショボい貧乏クラブとは違う、金も伝統も強さもあるビッグクラブだと自負しているヨーロッパのビッグクラブだけが集まったリーグ内で、収入も戦力も平均化される仕組みが果たして受け入れられるのでしょうか?

自国だろうと他国だろうと既存の対戦相手をリスペクト出来ないビッグクラブが、ビッグクラブしか存在しないリーグだと大人しく出来るとは思えません。

例え奇跡的にスーパーリーグが実現していたとしても、それぞれのクラブが好き勝手にやりたい放題した挙げ句に仲違いして破綻していたと思います。

そもそも、サッカーは得点数が他のスポーツよりも少なく、番狂わせが起きやすいスポーツです。戦力差が結果に反映されやすいイコール番狂わせが起きづらいスポーツのルールを持ってくる必要も無いかと思うのですが、もしかしたら、ビッグクラブの幹部自身が、そのクラブが番狂わせで負けて恥をかくことを最も恐れているのかも知れません。

そうだとしたら、選手やチームを信頼していない人が運得していることになってしまいますが、これほど不幸なこともないでしょう。

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