北朝鮮核開発に対抗するには日米安保
少し前には北朝鮮がなぜか夜中に軍事パレードを行ったり、ICBMのアピールをしたりよく分からない国際情勢になっていますが、核兵器とICBMが完成してしまうと当然ながらアメリカの脅威になります。
アメリカを核兵器で攻撃できる国家とはガチンコの戦争はしませんので、北朝鮮がそうなるとアメリカ軍が侵攻して金王朝を打倒する可能性は無くなります。
なし崩し的に核保有を認める形になるでしょうけれど、そうなると日本にとっても安保上の脅威となります。
北朝鮮が核攻撃をちらつかせて脅迫してきたときに対抗するには現時点では日米安保による米軍との協調しかありません。
色々な理想に基づいて、日米安保の解消・米国寄りの外交の転換などを求める思想はありますが、北朝鮮の核保有・対日本攻撃能力が現実的になると無理な話になってきます。
アメリカとの軍事同盟解消は右寄りの人も左寄りの人も主張しますが、左寄りの人が言う、いざという時は国連や国際社会が何とかしてくれるという理屈は、現実の世界では何の実現性もありません。ロシアのウクライナ侵攻や、アルメニア・アゼルバイジャン間の紛争、イエメンやシリアの長年の内戦に周辺国が関与していることなどに、国連など国際組織が効力ある手段を持ち合わせていないことは明白です。
北朝鮮を非難しつつも中国ロシアが安保理でかばうのは容易に想像できますし、国連総会でも中国のバラマキで中国よりになる小国だって山ほどいるでしょう。攻められる国にサポートが寄せられるとは限りません。
攻められたらまずは自国と同盟国で跳ね返さないと国際社会は助けてくれないのです。
その一方で、アメリカ従属外交・安全保障体制を嫌って、再軍備を求める右寄りの考えも無茶な話です。
今アメリカが担っている軍事的な負担を全て日本で賄おうとすれば、金額的にも人的にも技術的にも無理がありすぎます。日本が専守防衛でもアメリカに攻撃能力があるからこそ守られている平和を、どうやって日本単独でカバー出来るのか。
もしアメリカの核の傘からも外れて、北朝鮮・ロシア・中国の核攻撃に対する抑止力を作り出すには日本独自の核武装しか無いはずですが、本気で核武装を考えているのでしょうか。技術的には可能であっても、核実験、核を搭載して攻撃する武力、もちろん費用も必要ですし、核武装に対する国民の分断を許容出来るでしょうか?
憲法改正、再軍備、核開発、核実験、対基地攻撃能力の獲得、核武装となってようやく抑止力たり得ます。
結局のところ、コスト的にも、政治的なハードル面でも、国民からの許容度でも、実現可能性でも北朝鮮に対抗するには日米安保しかありませんが、アメリカ軍が世界の警察の地位から離れようとしていることや、在日米軍負担の増額を求められていることは日本にとっても難しいことですが、ある意味、安倍前首相がトランプ大統領と懇意(少なくともそのように見える)になるよう努力していたのは評価されるべきでしょう。
コロナ禍で北朝鮮も大変とか、もうすぐ政変が起きるとか、体制が崩壊するとか言う記事はちょくちょく見かけますが、多分一時期流行った中国崩壊論と構造は似ていて、そういう記事を読みたい読者とそういう記事を書きたい著者がお互いの願望のマッチングによって生み出されているだけで、中国も北朝鮮もそう簡単には崩壊しません。
ああいう記事が本当になるのなら、今頃中国はバラバラになって内戦状態になり、北朝鮮は崩壊してロシアと中国の草刈馬になっているはずです。
多数のプレイヤーの思惑と行動が入り交じる国際情勢では、基本的には願望は成就しないと思っておかないといけません。