技術に関する意見交流は強権国家も防げない
中国政府がGmailやFacebook、Twitterなどのアメリカ製ウェブサービスを中国国内では利用出来ないように制限していることは有名です。建前はどうあれ、実態としては政府や共産党への批判・不満を大勢で共有して国家体制にヒビが入ることを防ぐのが目的です。
BaiduやWeibo、WeChatなどの、いざという時の国家統制が効く国産ウェブサービスで代替できるでしょ、こっちを愛国者なら使いなさい、ということで自由な利用が妨げられているわけですが、中国国内で過ごす分には全く問題ないのでしょう。十数億人の市場が存在し、外国企業との競争もないことで中国国民向けにカスタマイズされたサービスですから使いやすいのも当たり前でもあります。
しかし、同時に世界で競争する中国企業とそこで働く人々にとっては、中国国外での競争にキャッチアップしていくために、最新の情報や技術を学ばねばなりません。
国外に出張や滞在して開発することもあるでしょうが、例えばプログラミングやウェブデザインなら中国内でも世界で仕事が出来ます。しかし前述の通り、多くのウェブサービスが遮断されていますので、最新の流行に付いていく点で難があるはずです。
個人向けのFacebookやWhat'sAppが使えなくてもまだそれほど困らないでしょうが、GitHubとかは使えなかったら結構不便じゃないかな、と思って軽く調べると、技術系は結構使えるようですね。
中国からアクセスできる・できないサービスをエンジニア視点でまとめる
https://blog.nakamu.life/posts/accessible-or-unaccessible-service-from-china
こういったところを遮断すると、企業活動も国家戦略も問題が出てくるんですかね。逆に、アメリカの方で中国からのアクセスを遮断する戦略の方があるみたいですが。
技術交流すら遮断したら国内だけで技術の進歩が完結してしまい、ある程度は発展するでしょうけれど、中国人では思いつかない発想や技術に接することが無くなってしまいます。
例えとして適切かどうか分かりませんが、16世紀戦国時代の日本では大量の火縄銃があり、兵器の技術発展もありましたが、250年を超える江戸幕府の鎖国を経て19世紀半ばまで全く軍事技術の進歩が無いままでした。島原の乱から200年以上も内乱すら無かったことが大きいのですが、外国との技術交流がほぼ無かったことも原因でしょう。
遮断していないのなら、GitHubとかSlackとかでは中国政府・中国共産党を批判するネタも書かれていないのですかね。中国国内から使用する人も冷静に技術のために使用しているのでしょう。