バブル景気と崩壊による経済的ボラティリティの高まり
2021年のアメリカ経済は、ビットコインなど暗号資産の高騰、特別買収目的会社(SPAC)の流行、Redditによるゲームストップ株の仕掛け、そしてアルケゴスの破綻というジェットコースターのような四半期で始まりました。グリーンシル・キャピタルの破綻もありましたが、こちらはイギリスなので機関投資家や大手金融機関以外はアメリカ人には関係ないでしょう。
冷戦崩壊後、経済のグローバル化がひたすら進んだ上に、経済発展と合わせて世界に流れるマネーもひたすら増え続けてきました。国家の総数はそう増えないのですから、一国の市場に流れ込むマネーも増え続けるわけですから、どこの国もGDPは上昇しています。日本はこの30年で大して伸びませんでしたが、先進国と途上国の大半で規模も大きくなり、さらにレバレッジと信用創造でマネーは溢れ続けています。
その行き先が過剰な投資になった結果、ドットコムバブルやサブプライムローンバブルに現れましたが、バブルが弾けてもまた新たなバブルが数年毎に発生します。
好景気と不景気が入れ替わる景気循環は、歴史的に見て当たり前に存在するものです。景気の良いときに融資が増え、景気の悪いときに融資が減るのも当然です。
通常のレベルの好景気不景気の入れ替わりであっても、失業や倒産もありますので喜んではいられないのですが、常軌を逸したバブルとその崩壊が繰り返されるようになると、機関投資家も政府も一般人もたまったものではありません。政府が金をばらまき、機関投資家も過剰で異常な投資をしているのですから、そこら辺は自業自得ではありますが、日頃慎ましい生活をしている一般人にはとばっちりです。
世界に存在するマネーの量が増えた以上は、単純に上下の幅だって大きくなるでしょう。上下の揺れが大きくなったとしても、人間の生活に必要なマネーの金額の上下の幅が大きくなるわけでもありません。去年は年間400万で暮らして、今年は200万で暮らして、来年は1000万円で暮らす、という個人がいたら大変です。
だからと言ってマネーの総量を減らしたらそれはそれで社会的悪影響が大きいでしょうから、結局このままでしょう。
自然環境だって、なだらかな環境変化であれば人体にも社会にも影響は少ないですが、猛暑と酷寒が繰り返したら辛すぎます。
気候変動だって極端化、ボラティリティが高まると生物にとっては危険が大きいですが、経済変動でも同様です。極端化は不安定化を招き、経済的な上下変動によって貧富の格差が増大し、バブル景気とその崩壊を招き、さらにそれが貧富の格差を増大させていく未来になっていくのでしょうか。
とりあえず、先日ビットコインを始めとする暗号資産が一気に値崩れしました。今は持ち直していますが、最高値に比べるとかなり落ちている一方で、年初来でみるとまだまだ高値です。これがバブル崩壊の始まりなのか、あるいは単なるノイズなのかは誰にも断言は出来ないはずですが、少なくとも乱高下が過ぎるとろくなことにはならないでしょう。