永井秀樹氏のヴィッセル神戸スポーツダイレクター就任に思うあれこれ
昨日ヴィッセル神戸が発表したトップチーム体制のニュースリリースには大きな批判が起きているようです。原因は一つ、昨年ヴェルディ川崎での監督時代のパワハラで10日あまり前に1年間のS級ライセンス資格停止処分が下ったばかりの永井秀樹氏をスポーツダイレクターとして抱え込んだことです。
S級ライセンスに直接関わりが無いからどんな役職に就いても大丈夫!というのは、ルールを破らなければ何をしても良いという理屈です。まるで昔のプロ野球で起きた江川の空白の1日みたいな話ですが、そもそも資格停止処分というのは永久のものではありません。1年間じっとしてろよ、その間ちゃんと反省しろよ、という処分です。あるいは、良くあるケースとして大学などのJリーグ以外のクラブで仕事をして指導者としての資質を再度確認する、という進路を選ぶ人も多いです。京都サンガのチョウキジェ監督も湘南でのパワハラ問題認定で1年間のS級ライセンス資格停止処分を受けてから流通経済大学サッカー部でコーチになり、その翌年に京都の監督となって1年で悲願のJ1復帰を成し遂げて、クラブと共に自身も見事な復活劇を見せました。
多分、チョウキジェ監督のような再チャレンジがJリーグとしても理想なのでしょう。その思いが明文化されていないからといって、今回の神戸と永井氏の契約は、日本サッカー協会とJリーグから結構な不興を買うと思うのですが、そんなことは気にしないのですかね。
スポーツダイレクターという役職がただの名誉職的に金だけ払って名義貸しするようなことなのか、あるいは積極的にヴィッセル神戸で育成や普及に関与していくのか、何をするのかは知りません。今回のケースではリュィスコーチの監督昇格なのでトップチームの指導そのものには多分、永井スポーツダイレクターは関わらないと思いますが、やり方によっては傀儡監督を就任させて別の役職に就いた資格停止処分中の人間が総監督的にチームに関わることだって無理ではなくなってしまいます。
どちらにしてもクラブイメージは相当悪くなってしまいました。ヴィッセル神戸はJリーグ参加からずっと毎年のように監督交代してきている、というネタがネットで上がっていましたが、そのレベルの問題ではありません。
今回のような事実上の抜け道を塞ぐにはJFA・Jリーグのルールを修正するしかないでしょう。資格停止処分を受けた者が、Jリーグクラブの役職・契約をしている期間は資格停止処分の期間と見なさずに処分が継続するとするか、あるいはいっそのこと重い処分に変更するか。そもそも最初の資格停止処分をさらに拡大して時限的なJリーグ追放処分ということにするか。
ただあまりに重い処分にしてしまうと、当事者がスポーツ仲裁裁判所(CAS)に訴え出て大揉めになるリスクと引き換えになります。
ともかく、パワハラの被害を受けた人たちはこのニュースに憤慨してそうな気がしますし、ヴィッセル神戸のサポーターも思うところは色々あるでしょう。もしガンバ大阪だとしたら、私も黙っていられずにこのnoteでもっと過激に書いた上で、クラブに直接抗議のメールを送っていると思います。ただ、それ以上のことはサポーターとしても出来ないのですよね。今回のことで胸を痛めているヴィッセル神戸のサポーターには同情します。