見出し画像

21世紀は薬(に関する諸問題)の時代

医学も重要だが薬学も同じくらい重要、ということはこの1年以上続くコロナ禍で誰もが認識できたことではないかと思います。

今は報道でもワクチン一色になってしまっていますが、新型コロナに対するワクチンだけではなく症状を改善する特効薬ももちろん重要です。

ワクチンを接種したら100%新型コロナに感染しない、というわけではありません。インフルエンザ同様、感染する人はしますし、変異したらさらに感染しやすくなります。

それでも、全くワクチンを打たない場合と比べれば、感染しにくさは段違いですので、どう考えてもワクチンを国民の大半が接種するまではどうしようもないだろう、と思っていましたが、未だに意外とワクチン嫌いの人がいるのはまあまあ驚きです。

他のワクチンによる副反応で苦しんだ経験がある人やその人の家族なんかだったら気持ちは分かります。新型コロナに感染する可能性と、新型コロナワクチンの副反応で被害を受ける可能性のどっちを天秤にかけるかです。

不幸中の幸いと言って良いか分かりませんが、現在の日本では、拒否する人を拘束して無理矢理ワクチン接種するような強権国家ではないので、どうしても無理な人は拒否しても良いとは思いますが、陰謀論を唱えて嫌悪する人はどうにかならんものですかね。

他の分野はともかく、ワクチン開発・接種までのスピードやスムーズさを考えると、現代日本は間違いなくその分野での先進国ではありません。昭和の終わりには国民全体がターゲットになりそうな感染症をほぼ撲滅できていた清潔国家だからこそ、感染症・ワクチンに関しての進化が諸外国よりも遅くなっていたとも言えるでしょうけれど、今後はさすがにマシになってほしいものです・・・なりますかね?

昔読んだ星新一のエッセイで、21世紀は薬の時代になるのではないかと書かれていました。星新一は父親である星一が創業した星製薬の御曹司(色々あって倒産後の処理は大変だったそうですが)で、解剖学書の小金井良精の孫、作家・医者の森鴎外の妹の孫でもあり、自身も東京大学農学部でペニシリンなどの研究もしていたそうですので、薬学に関しては一家言どころではなく知識があったはずです。

ともかく、21世紀が薬の時代になるというのは、現状を見るに悪い意味で実現しそうです。

少なくともワクチンに関しては、製薬会社における化学・生物学・薬学だけの問題ではなくなりました。開発には高度なシミュレーションが必要となり、数学や物理学、それを使うスーパーコンピュータを扱う能力も必要ですし、新薬承認に関しては政治力学も関わります。ワクチンパスポートがどこかで実現すれば、国際問題・外交にも影響が出てきます。ワクチン接種には宗教学・哲学的な命題も含まれますし、副反応に関しての被害救済の社会運動や訴訟を考えると法律学、社会学も範疇に含まれます。

今のコロナ禍から脱していない状況で、次の感染症に怯えてもしょうがないですが、また次の大規模な感染症が発生するまでに、多くの問題が解決できるでしょうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?