選挙結果は正しさへの支持ではなく強さへの支持である
ガザ地区の地獄絵図は依然強まり続けています。西が海で北・東がイスラエルに封鎖されている以上、南(正確には南西)方向に逃げるしかありませんが、そちらもエジプトが塞いでいます。同じイスラム教国なのになんで、と思いますが、
こちらの記事に分かりやすく理由が書かれていました。
エジプトの現政権は選挙で勝ったムスリム同胞団を弾圧して出来た政権ですので、それにつながるハマスを迎え入れるわけにはいかないのですよね。
思えば、ハマスだってパレスチナ内での選挙で勝利しています。その結果、さらにパレスチナが孤立したのですが、ハマスにしろムスリム同胞団にしろ、テロ組織が選挙に勝ってしまう理由や原因を考えないと根本的な解決など到底不可能でしょう。
かつて、当時最も民主的な憲法と政府だったはずのワイマール共和国において、ナチスが選挙に勝利して政権を獲得したことも忘れてはいけません。当時のドイツ国民にとってはナチスこそがドイツに役立つ政党だと思われたのです。
トランプが勝つかもしれない次回のアメリカ大統領選挙だってそうです。2016年にトランプが勝ったときには多くの人が驚いていましたが、なぜトランプのような思想と経歴を持った人が選挙に勝てたのか。それを無視してトランプ非難に終始している民主党とマスメディアとリベラル派の人は、また負けて現実を知ることになるでしょう。
これは日本も同様で、なぜ70年近くあれこれ不正や腐敗問題を起こしてきた自民党が、その期間のほとんどで政権を握り続けてきたのか。見方を変えれば、なぜ不正だらけの自民党を有権者は支持するのか。
これらにおいて共通するのは、有権者が選んだ候補者は、正しいことをもって投票されたとは限らないことです。少なくとも他候補よりはその国や地域における困難に対して「強い」ことが選挙に勝った理由です。
選挙というものは、有権者が「正しい」と思った人に投票するものではなく、「強い」と思った人に投票するものです。言い方は悪いですが、「勝ち馬に乗る」のです。もしその選挙結果において正しい者が勝ったとしても、その後の政権運営が無理だと思われている人間には票は集まりません。
安倍政権においてひたすら旧民主党を攻撃してきた理屈はここにあります。選挙に強い安倍晋三らしい攻撃だったと思います。日本に限らず、選挙では無能な善人より有能な悪人の方が勝つのです。
自民党非難が次回の選挙まで続くか分かりませんが、正しくないことへの非難だけでは多分また自民党が勝つでしょう。野党が勝つには自民党の不正批判だけではなく、政権運営能力と対外的に勝つ(強硬手段でなくとも)ことが出来うることを示すしかないのですが、お金寄越せというデモをしているだけなら当分は自民党の政権は揺るがないでしょう。