外科矯正に至るまで(語り)
自分の「噛み合わせ」に関する記憶は中学生の時が最古です。上下の歯がガチッと丁度合ってた。普通は上の歯が手前に来て、その内側に下の歯が収まるんですよね。当時はそれを知らなかったので、別に自分の噛み合わせがおかしいとは思ってませんでした。学校の歯科検診とかでも何も言われなかったし(あれなんで?)。
ただ高校くらいから徐々に下の歯の方が前に出だして、この頃から「顎が出てる」と周りからネタにされるようになりました。私は基本いじられポジションだったので大体のことは受け流せるけど、このイジリがだんだんキツくなってきた。限界に達したころ、田舎にほぼ唯一くらいの矯正歯科に行った。「顔面のコンプレックス」が主訴なのでなんとなく恥ずかしくて、親にも言わず一人で予約取って、一人で無料相談に行った。
そこで初めて「外科矯正」という言葉、つまり「あなたの顎は矯正だけでなく手術じゃなきゃ治りません」という事実を知りました。外科矯正は顎の成長が止まった頃から始めるのがスタンダードで、私はもう少し待つか、あるいは始めても問題ないということだったと思います。ただ当時16〜17歳だったのでもちろんお金もなければ親の同意もいる。手術に対する抵抗はさほど無かったので親に相談しましたが、当時それほど親子関係が良くなかった(単に私の反抗期)ため、「そんなに気にするほどのことじゃない」というようなことを言われて終わりだったと記憶してます。
大学時代、つまり成人してからも、引っ越し先で一度別の矯正歯科に相談に行きました。またもや精密検査無しで「外科矯正適応」。その時はやっぱりお金も無かったし、あとはタイミングとか、術前矯正で顎がさらに出るのが恥ずかしいとか、そういう理由で見送りました。
大学卒業後地元に帰ってきて(とはいっても都市部に一人暮らし)、社会人として生活して、まあ時間的にも金銭的にも余裕ができて、タイミングが良かったのもあり、ああ矯正しよう、と思った。矯正歯科の先生が「矯正したいなって気持ちには波がある」って言ってた通り、何年かに一回この波が来る。社会人になってからの方が女性としての役割を求められることが多くて、やっぱりルックスが良いに越したことはない。今後の人生何回も何回も自分の顔にコンプレックスを感じる瞬間が訪れるならもう終わりにしよう、みたいな気分になった。あと滑舌の悪さとか食事のしづらさとか、機能的な問題もかなり多かったので、過去一の決意を固めました。
地方都市に住んでいるので、矯正歯科の数は限られています。さらに実際手術をする大学病院はたぶん一択(ひょっとしたら二択)。あまり選択肢がないこともあって、矯正歯科を選ぶのは簡単でした(「選択肢が多すぎるとそれを苦痛に感じて選択そのものをやめてしまう」という「ジャムの理論」なんていうものがありますがまさにそれ)。
やっぱり、外科矯正(下顎前突)の治療実績があるところが条件。ほとんどの矯正歯科で対応してくれるかもしれないけど、数を多くこなしてるに越したことはないので。特に、ホームページ上で「治療前後で顔貌の比較を載せているところ」「治療期間が具体的に明記されているところ」を探して、2箇所の矯正歯科へ無料相談に行きました(2020年2月ごろ)。
1箇所目。歯科医の方が、なんというか、かなり早口の捲し立てられる感じ。私もグイグイ行ける人種なので圧されるようなことはないけども。あと私は上顎の手術(ルフォー)も必要なのか悩んでいたのですが、それを質問したところ「やりたいならやりますよ」と言われた。
2箇所目。歯科医の方は落ち着いた感じで、1箇所目よりじっくり相談ができた。同じく上顎の手術について聞いたところ、「下顎は手術がいるけど、上顎はまだなんとも言えない。精密検査してから考えましょう」とのこと。
ちなみに矯正に使うブラケットについて、オールメタルは嫌だったので「目立つ部分はクリアブラケットにしてもらえますか?」と聞いたところいずれも可とのことでした。これはホームページでは確認できなかったりするので、無料相談の際に聞いてみることをおすすめします。
結果、2箇所目の矯正歯科に決めました。私は面長な方なので、ルフォーもしたら小顔になれるかななんて考えもするけど、不要な手術ならしたくないという気持ちもある。だから「やりたいんだったらやる」より、「必要だと思ったらそう言います」と言ってくださったことが大きかったです。無料相談だけのつもりでしたが「こちらで治療していただきたいです、よろしくお願いします」とその場でお伝えしました。
外科矯正は入院を伴う手術が必要なため、社会人の方はそこがネックだと思います。ただ私は2022年の3月で退職と決めているため、「2022年の4月に手術がしたいです」と伝えたところ「2021年から術前矯正に入れれば間に合います。2020年の10〜12月に初診に来てくれたら余裕が持てます」とのことで、じゃあその時に来ます、よろしくお願いしますということで一旦サスペンド。
親には例によって事後報告で、「秋から矯正始める」と伝えました。人によってはほぼ整形にあたるこの手術に抵抗を示す方もいると思いますが、私の親は昔のことを覚えていたらしく、「やりたいって言ってたもんね。いいんじゃない」と了承してもらえました。成人していれば親の同意とか手術前の説明を聞いてもらったりとかそういった必要はないけど、別に今は不仲でもなんでもないので伝えました。まあ手術もするし、何もないと思うけど、何かあった時には困るので。
時間を置くことで「波」が引いてしまうのではとも思ったけど、顔面のコンプレックスを痛感するタイミングはその間も数多くあって、その度に「早く外科矯正したいなぁ」と意欲が高まるばかりでした。長いようであっという間に秋が来て、再び先の矯正歯科さんに予約。ようやく事が進むんだなぁと、後は気持ちがはやるばかりです。ちなみに下顎前突になってしまった理由としては、私の場合「口呼吸」だったと思います。小さい頃から「口開いてるよ」とよく言われてたんですが、口呼吸は下顎前突や中顔面劣成長の原因になったりするので本当に良いことない。小さな子供には親の顔より先に鼻呼吸を覚えさせるべきですよ!誰も教えてくれなかったので私は金で治します。