【二次創作】「萌える」二次小説の書き方
みなさんが「二次創作をしたい」「二次小説を書きたい」と思うきっかけって何ですか。「原作だけでは摂取し足りない!もっとたくさん推しが見たい!」とか、「原作では描き切れていなかった物語の隙間が見たい」「原作のストーリーには描かれていないキャラの日常が見たい」、あるいは「原作ではあり得ないカップリングを実現させたい」など、きっかけは様々だと思います。
一方で、どんなきっかけの方にも共通しているのは「もっと萌えたい」「もっとキュンキュンするような、あるいは身悶えするような萌えを体験/表現したい」という気持ちではないでしょうか。
今回は、二次小説で「もっと萌える」表現ができるようになるためのヒントについて書いていこうと思います。
【1】事実や行動だけではない「肉付け」が大事
せっかく書いた二次小説に「萌え」が不足してしまう原因は、文章が単調になってしまうことです。二次小説を書く人、読む人の目的は、キャラの色々な表情が見たいとか物語のちょっとした隙間を楽しみたいという場合が多いので、ストーリー自体のダイナミックさやドラマチックな展開などは意外と重要視されません。推しキャラがごはんを食べているとか、寝起きのポヤポヤしている場面とか、そういう「日常」からしか得られない萌えもある!とむしろ言えるくらいです。
では、二次小説が単調になってしまう原因は何なのか。それは、ストーリーそのものではなく「文章表現が単調」だからです。「文章表現が単調」とは、「AがBした。そしてBは〇〇と答えた。Aは××と思った」などのように、行動や感情について事実だけを羅列しながらストーリーが進んでいく状態のことです。
これを解消することができれば二次小説は起伏に富んだものとなり、たくさんの萌えを自分と読者に供給できるようになります。そのために必要なのが、「行動や感情に肉付けをすること」です。「肉付け」とは、大筋に対して細かな味付けや飾り付けをして、厚みをつけていくことです。具体的には、キャラの動作や感情について細かく分解したり説明したりして、より詳しく書いていきます。
では、どうすれば、分解や説明ができるようになるのかについて、次の項目以降で解説していきます。
【2】動作を分解してみよう
まずは、「動作」を「分解」する方法について考えます。
「動作を分解する」とは、キャラの動作について、より細かく説明することです。「歩く」であれば、どのように歩いているのか。「笑う」であれば、それはどんな種類の笑顔なのかを細かく分解します。
一つの動作をどのくらい分解できるか、実際にやってみましょう。
■ 分解する動作:「歩く」
早い?遅い?
具体的にはどれくらい早い?遅い?
歩幅は?広い?細かい?
手は?力が入ってる?リラックスしている?
吐息は?落ち着いている?急いでいて浅くなっている?
視線は?まっすぐ?周りを見ている?足下を見ている?
足音は?
なんとなく?目的をもって?どんな感じで歩いている?
どんな道?景色は?周りの音は?人は多い?少ない?
表情は?服装は?靴の様子は?
どうでしょう。10項目に分解しましたが、まだまだ細かくできそうですよね。このように、キャラの動きについて分解して、その中で「ここは感情が伝わるかも」「意外性があっていいかも」「萌えるかも」など、ピンとくるところを実際の文章にしてみると良いと思います。
【3】感情を分解してみよう
次に、「感情」を分解する方法について考えます。
「動作」と同じように、より細かく、より具体的に説明するという点は同じですが、「感情」のほうが「動作」よりも繊細で、かつ曖昧であるため、表現するのが難しいです。しかし、だからこそより強い「萌え」を生み出すことができる部分でもあります。また、絵や漫画では表現しきれない細やかな機微を表現できるのは、小説ならではのメリットでもあります。
では、早速「感情」を分解してみましょう。
■ 分解する感情:「好き」
どこが好き?外見のどこ?内面のどこ?
どんな時にその気持ちは強くなる?
「好き」が伴う感情は?嬉しい?苦しい?切ない?
いつ自覚したの?はっきり自覚しているの?曖昧なの?
優しい好き?激しい好き?独占欲?思いやり?見ているだけで幸せ?
相手とどうなりたい?
「好き」に気づいてから自分はどう変わった?恥ずかしい?浮かれている?苦しんでいる?
相手への接し方は変わった?見え方は変わった?
気づく前と何が違う?
色で例えるなら?音で例えるなら?季節に例えるなら?
いかがでしょう。
「好き」とう感情は、カップリング小説において大事なポイントになる感情ですよね。だからこそ無限に分解できそうですし、推しキャラや推しカプの「らしさ」がたっぷりと表現できるパートになるはずです。
このように「動作」や「感情」を分解し、それを文章表現に落とし込むことで、たくさんの「萌え」が散りばめられた二次小説を書くことができます。いかにもそのキャラらしい!、そのカップリングらしい!と読者に感じさせることができれば、読み手からの評価にもつながるでしょう。
【4】「意外性」や「ギャップ」を演出しよう
動作や行動を分解し、キャラやカップリングの「らしさ」が表現できるようになったら、次に取り組むことは「意外性」や「ギャップ」の演出です。「らしさ」と「意外性」を組み合わせることで、二次小説は一層の萌えを提供でき、オリジナリティを演出することができます。これこそが、まさに「二次創作の醍醐味」ですね。
一方で、意外性やギャップを描く際には、忘れてはいけない注意点があります。それは、意外性やギャップは、「らしさ」の土台があって初めて力を発揮するということです。意外性やギャップは大いなる萌えポイントではありますが、「らしさ」を置き去りにしてしまうと、いわゆる「だれおま状態」になってしまいます。書き手にとっては十分に醸成された妄想であっても、読者にとっては初見です。「ああ、このキャラらしいな」という様子をしっかりと描いた上で、その後で意外性やギャップを付け加えるようにしましょう。
【5】事実や行動の「背景」を描こう
「背景」とは、キャラの行動や感情に対する「説明」のことです。なぜその行動をしたのか、なぜそのような気持ちになったのか、その理由を「シンプルな動機」、「過去の経験」、「内側にある感情」、「実現したい未来」などの視点で説明すると良いでしょう。
「食べる」という行動一つでも、「お腹が空いたから」と「決まった時間になったから」では、表現される内容が変わります。例として、食べるシーンの背景を通じて、①キャラの性格、②キャラの生活・職業を表現する方法について見てみましょう。
①どんな性格?
・お腹が空いたので食事をした
→自由きまま、こだわりのない性格
・決まった時間になったので食事をした
→きっちりした行動を好む性格
②どんな生活をしている?どんな職業?
・お腹が空いたので食事をした
→時間にとらわれない職業、生活。あるいは休日の「自由」を表現
・決まった時間になったので食事をした
→時間で区切られた仕事、生活をしている。あるいは、スポーツをしている、軍人など食事が仕事と結びついている職業
なぜそうしたのか、どうしてそう思ったのか。行動や感情の裏側を表現することでひとつひとつのシーンに深みが増し、さらにリアリティを演出することができます。また、このような「背景」や「理由」は感情と強く紐づくことも多いため、読者が感情移入しやすいポイントでもあります。
いかがでしたでしょうか。
今回考察したような「分解」や「背景の説明」は、二次小説をぐっと「それっぽく」進化させ、読者の共感を呼べる作品づくりにつなげることができます。「自分の書く小説はなんとなく単調で変化がないなあ」とか「日常系のシーンが好きなのにうまく書けない」「もっと読者に共感されたい」と考えている方の参考になれば幸いです。
こういった方法を繰り返し練習していると自然と文章力が上がり、執筆のスピードアップ、ひいては長編小説の執筆へ!など夢も広がると思います。ぜひお試しくださいませ。