【二次小説】「伝わる」!二次小説のヒント
自分のための二次小説、推しに萌えるための二次小説。だけど、もしも同じ趣味、同じ推しの人とその萌えを共有できたら、さらに楽しいですよね。自分の中にある萌えを他の誰かに伝えたい!推しの素晴らしさをわかって欲しい!語り合いたい!そんな小説書きの方向けに、今回は「二次小説が読者にもっと伝わる」ヒントについて考えていこうと思います。
【1】「推し」の人物描写
原作ありきの二次創作なので、推しの見ためや性格は読者の方も勿論知っています。とはいえ、二次小説を通して推しの魅力や萌えポイントを上手に表現できると、書き手はもちろん読む側にとっても「わかるー!」「だよねー!」と一層盛り上がるものです。
では、具体的に二次創作の「人物描写」のポイントはどのようなことがあるのかというと……
■外見
推しのビジュアルにハマっているファンは多いです。また、外見を描写することで原作との結びつきが強くなり、小説で描いている世界を自然に想像できるという効果もあります。美麗な文章やオリジナリティある表現で飾るのも良いですが、原作で用いられている表現、キャラを言い表す定番の描写をあえてそのまま使うことでキャラの存在を読者にはっきりと意識してもらう方法も有効です。
■セリフ
セリフはとても大切です。二次創作だからこそ「原作なら言わないこと」を言わせたい一方で、一歩間違うと「だれおま状態」になってしまう難しいポイント。絶対に守るべきポイントは、「一人称」「他人の呼び方」「語尾」などを原作に忠実にすること。その上で「言わせたいこと」と「言いそうなこと」の微妙なラインを追求していくことが求められます。
■仕草・動作
キャラの「性格」を伝えるのが、「仕草」や「動作」です。原作の推しを観察することも有効ですし、推しの性格を理解して「やりそう」「確かにしてそう」と思える良い仕草をぜひ探してみてください。視線の動きや目の表情、姿勢、手足の動きなどを使って表現するのがおすすめです。
■雰囲気・空気感
「雰囲気」や「空気感」に関する描写も、キャラの「性格」を伝える上で有効です。また、他のキャラやモブたちからどんな性格だと思われているかを描写する際にも使える表現です。
【2】情景描写
情景描写は、二次小説の舞台が「どこなのか」「いつなのか」「どんなシチュエーションなのか」を読者に伝える役割を担っています。物語の導線、ガイドのようなものとも言えます。情景描写を省いてしまうと、「えっ、これって夜のシーンなんだ?!昼間だと思ってた!」とか「あれ、歩きながら話してるの?座ってるんだと思ってた」「二人きりなの?みんなもいるの?」といった迷子状態に読者さんを陥らせてしまうかもしれません。
五感を使って「見えるもの」「聞こえる音」「匂い」「温度」「手触り」などを表現するのが有効です。上手に表現できると小説の雰囲気がぐっとアップして読者に入り込んでもらいやすくなるので、力を入れたいポイントですね。
【3】心理描写
「心理描写」は、読者の「わかる~」という感情を引き出すポイントです。心理描写が上手にできると読者の「共感」を誘うことができ、物語に対する没入度が高まります。「思わずほっとする」とか、「つい泣けてしまう」とか読者さんに思ってもらえたら嬉しいですよね。
そんな良い「心理描写」のポイントは、直接的な表現を用いるのではなく、より具体的に書くことです。例えば、「悲しい」という感情を表現したい時、ストレートに「悲しく感じた」と書くのではなく、「どう悲しいのか」「どのくらい悲しいのか」を細かく書いていく感じです。
「あるある、こういう気持ちになることあるよね」「わかる、こういう時ってあるよね」と読者に思ってもらう、まるで読者自身のことのように感じて共感してもらう、それができたら大成功。心が震える表現で、推しの二次小説をぜひ盛り上げたいところです。
【4】リズム感
文章にもリズムがあります。この「リズム」が悪いと、文章を読み進めるのが難しくなってしまいます。逆にテンポの良い文章だとさくさくと読み進めることができ、読者が物語に入り込みやすくなります。
リズム感のある文章、テンポが良い文章を書くためのポイントには、以下のようなものがあります。
■一文の長さ
一般的に、40~60文字くらいがちょうど良いと言われています。Wordで書いた時に、二行に収まるくらいです。長くてはだめという決まりはないですが、一文が長いと内容もわかりづらくなってしまうことが多いので、もしどうしても長くなってしまう時は、二文に分けられないかを検討してみると良いでしょう。
■句読点の場所
多くても少なくても読みづらいのが句読点(、)です。句読点は、音読した時に「息継ぎ」をする場所にあるイメージです。声に出して読んでみると、「この句読点は要らないかも」「ここで一拍おいたほうが読みやすいかも」というのがわかるので、自分で書いた文章を音読してみるのがおすすめです。
■語尾に気を付ける
「~だ」「~だ」「~だ」と音が重なっても気になるし、「~だ」「~です」とバラバラでも気持ちが悪く感じてしまうのが語尾です。
「語尾被り」は、主語を変えてみたり、情景描写と心理描写を織り交ぜてみたりという工夫することで防ぐことができます。時々「体言止め」を使って名詞で終わる文章を混ぜるなども有効でしょう。語尾を意識することで、単調な文章になることを防ぐことができ、すらすらと読める「読みやすい」小説を書くことができます。
一方で、あえて同じ語尾を重ねることで「韻を踏む」ようなリズム感をつくりだすという逆の方法もあります。
■「言い換え」上手になる
何度も同じ言葉を使ってしまう「表現被り」は、文章のリズムを損ねてしまう可能性があります。これを防ぐために必要なのが、「言い換え」です。例えば、「言う」という言葉は、「話す」「喋る」「伝える」等に言い換えることができますね。このようなシンプルな言い換え以外にも、「桜の花」を「薄紅色の花」とか「空を覆いつくす花弁」等の表現に言い換える等、「言い換え」の幅はとても広いです。
「言い換え」を上手にできるようには、語彙力を鍛え、ボキャブラリーを増やす必要があります。語彙を増やすには、「類語辞典」を使うのも有効ですし、小説やコラム等でたくさんの言葉に触れることも大切です。
ボキャブラリーが増えると表現の幅も自然と広がり、読みやすく、流れるような文章を書けるようになります。語彙が増えれば増えるほど表現力が豊になり、二次創作の世界も広がります。推しのいる世界を美しく彩るためにも、言葉の引き出しを増やしていきたいですね。