ジン

ジン、少しここで休ませてくれる。
そう言って私はジンの隣に座った。

何かあったのか?

うん、なんか疲れちゃって·····。

大丈夫か?
ジンは心配そうな顔をして私の顔をのぞき込んだ。

肉体的にはなんでもないんだけどね·······

そんなに大変か?

今いろんな制約があって、守らなくちゃいけないのは分かってるんだけど、心が少し疲れちゃって·······。

そうか·······。

うん、でもね、いろいろ考えてたらだんだ悔しくなってきて。

悔しく····?

うん、何かこのまま心が疲弊していったら、奴らの思う壺なんじゃないかって·····そう思ったら悔しくて······今にも高笑いが聞こえてきそうだよ。

本当に大丈夫か?
言っておくが、奴らには人格も感情も言語形成もないぞ

そんなこと分かってるけど、そんなふうに考えてたらこのまま思う壺になってたまるかって·······。

相当疲れてるな。
気持ちで負けてる······笑え。

笑えって簡単に言うけど·······

こんな時だからこそ笑え。
笑うことで免疫力が上がるらしい。
笑ってたらそのうちそんな馬鹿なこと考えなくなる。

馬鹿なことって·····ひどいこと言うなぁ。
私は少し落ち込んだふりをする。

ジンは少し苦笑いをした。
悪い少し言い過ぎた······まぁ、だから、あれだな万が一奴らが高笑いをしていたとして········

私はジンの顔を見た。
こういう時のジンは優しい。
私が落ち込んでいると思って、いつもフォローをしようとしてくれる。

本当は分かってる、奴らに人格も感情も言語形成もないことは······。
でも、もしって思ってしまう·····
そう考えたら、何か悔しいと思ってしまった。

聞いてるのか?

えっ、あぁ、うん聞いてるよ。

その返事は聞いてなかったな······
まぁいい、とりあえず笑ってろ。
笑う門には福来たるって言葉があるくらいだ。
笑ってたらそのうち何とかなるかもしれない·······

笑うと免疫力が上がるから?

それだけじゃないかもしれないが········
あとは自分で考えろ。
そう言ってジンは私の頭をクシャッとなでた。

たぶん今の私は、笑うことよりも、今のこの瞬間がいちばん免疫力が上がってると思うけど、その事はジンには内緒だ。

ジン、ありがとう。
おかげで元気が出てきたよ。

そうか、それなら良かった。
また何かあったらいつでも来い、話ぐらいならいつでも聞いてやるから。

そう言うとジンは優しく私をハグしてくれた。

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